232 / 389
本編(アルフォンシーナ視点)
231.降伏
しおりを挟む
「…………そんな…………莫迦な…………」
絶望に打ちひしがれたベッリーニ侯爵は、呆然と呟いた。
そこまで徹底的に証拠を集められていたという事実を知り、最早何を言っても無駄だということをようやく悟ったのだろう。
アルフォンシーナは、暗い気持ちを抱えながらも、そんな状況になるまで気が付かなかったベッリーニ侯爵の愚かさに呆れ、またそれだけ動いても気が付かれなかったベルナルドの手腕に感嘆せざるを得なかった。
「………全て、ベルナルドの説明のとおりだ。これでもまだ、反論する気があるか?」
静かに、だが突き放すように、フェルディナンドが問い掛けると、ベッリーニ侯爵は項垂れたまま、力なく首を横に振った。
「………そうか」
その様子を見たフェルディナンドは、ぽつりと呟くと、天を仰いだ。
「………不正により宰相になったこと、王璽の複製品の作成及び使用、ラパロ王国との不正取引に機密情報漏洩、そして我が妻の誘拐事件………。他にも細かく挙げていけばきりが無いが、それら全てについて、お前が仕組んだ事に、相違ないな?」
最後にベルナルドが、念押しをする。
するとベッリーニ侯爵は、自由の利かない身体を一瞬だけ強張らせ、それから悔しそうにベルナルドを睨んだ。
「………………」
返事こそしなかったが、否定しないということは、是、ということなのだろう。
ベルナルドはベッリーニ侯爵が抵抗する素振りがないことを確認し、控えていた兵士達に顎で合図をした。
「地下牢の最奥へ、閉じ込めておけ。そこの男と娘もだ。………ああ、一緒にしておくとやかましいだろうから、別々の牢に入れておけよ」
「はっ!」
ベルナルドの命令に従い、兵士達はテキパキと動き始める。
「やめろ!僕にさわるな!」
「いたぁい!何で私がこんな目に………っ!」
ブルーノとレベッカはまさか自分が捕らえられるとは思ってもみなかったのだろう。
ばたばたと手足を動かし、懸命に抵抗をするが、兵士達は難なく二人を捕らえ、運んでいく。
「アリー!アリー!!お願いだ、助けて………!」
アルフォンシーナが呆然としながら連行されていくブルーノを見つめていると、ふと、彼と目が合った。
先程アルフォンシーナが突き放したにも関わらず、アルフォンシーナに対するブルーノの態度は変わらないようだった。
絶望に打ちひしがれたベッリーニ侯爵は、呆然と呟いた。
そこまで徹底的に証拠を集められていたという事実を知り、最早何を言っても無駄だということをようやく悟ったのだろう。
アルフォンシーナは、暗い気持ちを抱えながらも、そんな状況になるまで気が付かなかったベッリーニ侯爵の愚かさに呆れ、またそれだけ動いても気が付かれなかったベルナルドの手腕に感嘆せざるを得なかった。
「………全て、ベルナルドの説明のとおりだ。これでもまだ、反論する気があるか?」
静かに、だが突き放すように、フェルディナンドが問い掛けると、ベッリーニ侯爵は項垂れたまま、力なく首を横に振った。
「………そうか」
その様子を見たフェルディナンドは、ぽつりと呟くと、天を仰いだ。
「………不正により宰相になったこと、王璽の複製品の作成及び使用、ラパロ王国との不正取引に機密情報漏洩、そして我が妻の誘拐事件………。他にも細かく挙げていけばきりが無いが、それら全てについて、お前が仕組んだ事に、相違ないな?」
最後にベルナルドが、念押しをする。
するとベッリーニ侯爵は、自由の利かない身体を一瞬だけ強張らせ、それから悔しそうにベルナルドを睨んだ。
「………………」
返事こそしなかったが、否定しないということは、是、ということなのだろう。
ベルナルドはベッリーニ侯爵が抵抗する素振りがないことを確認し、控えていた兵士達に顎で合図をした。
「地下牢の最奥へ、閉じ込めておけ。そこの男と娘もだ。………ああ、一緒にしておくとやかましいだろうから、別々の牢に入れておけよ」
「はっ!」
ベルナルドの命令に従い、兵士達はテキパキと動き始める。
「やめろ!僕にさわるな!」
「いたぁい!何で私がこんな目に………っ!」
ブルーノとレベッカはまさか自分が捕らえられるとは思ってもみなかったのだろう。
ばたばたと手足を動かし、懸命に抵抗をするが、兵士達は難なく二人を捕らえ、運んでいく。
「アリー!アリー!!お願いだ、助けて………!」
アルフォンシーナが呆然としながら連行されていくブルーノを見つめていると、ふと、彼と目が合った。
先程アルフォンシーナが突き放したにも関わらず、アルフォンシーナに対するブルーノの態度は変わらないようだった。
133
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
半日だけの…。貴方が私を忘れても
アズやっこ
恋愛
貴方が私を忘れても私が貴方の分まで覚えてる。
今の貴方が私を愛していなくても、
騎士ではなくても、
足が動かなくて車椅子生活になっても、
騎士だった貴方の姿を、
優しい貴方を、
私を愛してくれた事を、
例え貴方が記憶を失っても私だけは覚えてる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるゆる設定です。
❈ 男性は記憶がなくなり忘れます。
❈ 車椅子生活です。
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~
桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜
★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました!
10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。
現在コミカライズも進行中です。
「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」
コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。
しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。
愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。
だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。
どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。
もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。
※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!)
独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。
※誤字脱字報告もありがとうございます!
こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる