国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

文字の大きさ
216 / 389
本編(アルフォンシーナ視点)

215.断罪(26)

しおりを挟む
「…………だそうですが、陛下?」

にやりと皮肉げな笑みを口元に浮かべたベルナルドは、フェルディナンドの肩を叩いた。
するとフェルディナンドは大袈裟な程に溜息をついた。

「そなたが本気でそう信じているのならば、ある意味幸せだろうな」
「そ………それは、どういう…………?」

ベッリーニ侯爵は、言われている意味が分からず、瞬きを繰り返している。
すると、フェルディナンドはすうっと目を細めた。

「マヌエル・ベッリーニ。………私はね、そなたが必死になって父に媚びへつらう態度に、ずっと不信感を抱いていた。………そして、それは父も同じだった。あの者を信用してはならないと、私に何度も忠告してくれた。………それが、ある日突然父が病に倒れた途端、その意思が真逆に変わるだなんて、………あまりにも奇妙だと思わないか?」

穏やかで優しい、フェルディナンドの声から温かみが消えた。
だがアルフォンシーナがそれ以上に驚いたのは、フェルディナンドによって語られ始めた過去の出来事だった。

(………確かに、ベッリーニ侯爵は先王陛下が病でお倒れになった直後に宰相に任命されたと聞いているけれど…………)

フェルディナンドが話し始めた途端、室内は重苦しい空気で満たされた。
それは、フェルディナンドの国王としての威厳というよりも、彼自身から醸し出される雰囲気の影響だろう。
彼の隣にいるベルナルドも、フェルディナンドと同じく、暗い空気を纏っていた。

「わ………私は…………」

今までにないほどに唇を戦慄かせるベッリーニ侯爵の言葉は、消え入りそうな程に、小さかった。

「………病を利用して、意識の戻らない父から『宰相』に任命されたという事実を捏造したと、確信したよ。ここにいる者達も知っているように、父はそう簡単に意見を曲げるような方ではなかったからね」

フェルディナンドの言葉に、何人かの貴族達が小さく頷くのが見える。
アルフォンシーナ自身は先王がどのような人物であったのかは知らないが、周囲の反応を見る限り、フェルディナンドの言っている事は間違いないだろう。

「そ…………れは…………」

言い訳すら浮かんでこないらしいベッリーニ侯爵は狼狽し、言い訳すらも出来ずにただ青褪めた顔を強張らせていた。
しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。

アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。 今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。 私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。 これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。

半日だけの…。貴方が私を忘れても

アズやっこ
恋愛
貴方が私を忘れても私が貴方の分まで覚えてる。 今の貴方が私を愛していなくても、 騎士ではなくても、 足が動かなくて車椅子生活になっても、 騎士だった貴方の姿を、 優しい貴方を、 私を愛してくれた事を、 例え貴方が記憶を失っても私だけは覚えてる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるゆる設定です。  ❈ 男性は記憶がなくなり忘れます。  ❈ 車椅子生活です。

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~

桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜 ★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました! 10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。 現在コミカライズも進行中です。 「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」 コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。 しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。 愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。 だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。 どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。 もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。 ※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!) 独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。 ※誤字脱字報告もありがとうございます! こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。

処理中です...