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271.ルドヴィクの怒り
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更に魔石の秘密とそれに纏わる『人体実験』の話が終わると、場面がまた移り変わった。
陰湿な雰囲気の石牢が映し出され、同時にパトリスの声が響いた。
「名乗って、信じてもらえるかは分からないが………私は、パトリス。パトリス・ブロンザルドだ」
名を聞いただけで、パトリスがブロンザルドの王太子だと気がつく者は何人もいないだろうが、それはいずれアリーチェとの会話の中で明かされていく筈だ。
だが名に『ブロンザルド』が付くと言うことがどういう身分の者なのかは簡単に推測が出来るはずだ。
アリーチェが映像に見入る人々の表情を確認する為に視線を移すと、皆が明らかに動揺しながら、耳を澄ましていた。
映像はアリーチェが目にしていた石牢の壁や床を映し出すのみ。
その映像の隅の方から、パトリスによるセヴランの裏の顔についての話が聞こえてきた。
「ブロンザルドの国王陛下が、そのような方だったとは…………」
誰が呟いたのかは定かではなかったが、はっきりとした軽蔑の含まれた言葉だということが明らかだった。
「………ブロンザルドの前国王もセヴランと同様に善人の皮を被った、悪魔のような人間です」
憎しみの籠った目をティルゲルに向け、呟いた。
するとティルゲルはぎり、と歯を食いしばり俯いた。
「………せ」
「何だ?」
からからに干からびたティルゲルの唇が微かに動いたのを、ルドヴィクは見逃さなかった。
「殺せ。お前たちの望みは、私の破滅だろうっ?だったら意味もなく、このような映像を垂れ流すよりも、さっさと私を処分すれば…………」
「誰が、発言を許すと言った?そなたには、自由にできることなど一つもない。………増して、自分の罪に対する処罰に対する意見に従う道理がどこにある?」
やや早口で捲し立てるルドヴィクの声は、今まで聞いたことないような、低くて冷たかった。
「それに、肝心なのはここから先の話のはずだ。アリーチェ姫はカヴァニスの民が、全ての真実を知った上で、そなたの処遇を決めると言っている。………その口を切り裂かれたくなければ黙っていることだな」
ルドヴィクの顔からは表情が一切消えていた。
彼のずば抜けた美しさのせいなのか、その横顔は無表情のはずなのに、この上ない怒気を孕んでいるようにアリーチェの目には映ったのだった。
陰湿な雰囲気の石牢が映し出され、同時にパトリスの声が響いた。
「名乗って、信じてもらえるかは分からないが………私は、パトリス。パトリス・ブロンザルドだ」
名を聞いただけで、パトリスがブロンザルドの王太子だと気がつく者は何人もいないだろうが、それはいずれアリーチェとの会話の中で明かされていく筈だ。
だが名に『ブロンザルド』が付くと言うことがどういう身分の者なのかは簡単に推測が出来るはずだ。
アリーチェが映像に見入る人々の表情を確認する為に視線を移すと、皆が明らかに動揺しながら、耳を澄ましていた。
映像はアリーチェが目にしていた石牢の壁や床を映し出すのみ。
その映像の隅の方から、パトリスによるセヴランの裏の顔についての話が聞こえてきた。
「ブロンザルドの国王陛下が、そのような方だったとは…………」
誰が呟いたのかは定かではなかったが、はっきりとした軽蔑の含まれた言葉だということが明らかだった。
「………ブロンザルドの前国王もセヴランと同様に善人の皮を被った、悪魔のような人間です」
憎しみの籠った目をティルゲルに向け、呟いた。
するとティルゲルはぎり、と歯を食いしばり俯いた。
「………せ」
「何だ?」
からからに干からびたティルゲルの唇が微かに動いたのを、ルドヴィクは見逃さなかった。
「殺せ。お前たちの望みは、私の破滅だろうっ?だったら意味もなく、このような映像を垂れ流すよりも、さっさと私を処分すれば…………」
「誰が、発言を許すと言った?そなたには、自由にできることなど一つもない。………増して、自分の罪に対する処罰に対する意見に従う道理がどこにある?」
やや早口で捲し立てるルドヴィクの声は、今まで聞いたことないような、低くて冷たかった。
「それに、肝心なのはここから先の話のはずだ。アリーチェ姫はカヴァニスの民が、全ての真実を知った上で、そなたの処遇を決めると言っている。………その口を切り裂かれたくなければ黙っていることだな」
ルドヴィクの顔からは表情が一切消えていた。
彼のずば抜けた美しさのせいなのか、その横顔は無表情のはずなのに、この上ない怒気を孕んでいるようにアリーチェの目には映ったのだった。
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