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249.失踪者の末路※少し残酷描写あり
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「………ぇ………?」
あまりの衝撃に、アリーチェの口から零れたのは微かな声だけだった。
魔石が人体に与える影響が計り知れないものだということは、つい先日、嫌という程に思い知った。
それにアリーチェ自身も転移魔法でその影響がどれほどのものなのかを身を以て学んでいる。
だからこそその実験が、どれほど恐ろしいものなのかは容易に想像出来た。
「………彼らは変わり果てた姿で、アドニスの街を出た先にある森の中で見つかった。………皆、内臓を焼き尽くされ、獣に食い荒らされていた。そして、若い娘は一人も見つからなかったが………彼女たちはティルゲルの慰み者にされて、その後ブロンザルドの貧民街にある売春宿に売られていったらしい」
「………………っ」
ルドヴィクから告げられた、失踪事件の被害者達の悲惨過ぎる末路に、アリーチェは言葉を失う。
両手で口元を覆い、漏れ出そうになる悲鳴を堪えるが、体は小刻みに震えていた。
「すまない。………やはりあなたに、聞かせるべきではなかったな………」
みるみる青褪めていくアリーチェの様子に、ルドヴィクの眉間の皺が更に深くなる。
だがアリーチェは今にも気を失いそうな様子にも関わらず、静かに首を振った。
「…………いえ。この件もまた、ティルゲルが仕組んだ事なのですから、きちんと聞いておかなければなりません」
アリーチェの虹色の瞳には、真っ青な顔色に似つかわしくない程の強い意志が宿っていた。
「わたくしたちは将来を誓い合った婚約者であり、そしてわたくしたちはそれぞれの国を背負う立場にあります。………だからこそ、両国が一つになるためには僅かな禍根も残してはいけないと思うのです。………互いの民が持つ負の感情を受け止めなければ、それは成し得ないでしょう」
アリーチェが懸命に紡ぎ出したのは、今にも消え入りそうな程にか細い、けれどもしっかりと耳に残るような声だった。
それでもルドヴィクは、心配そうな面持ちでアリーチェを見つめていた。
「………わたくしは、大丈夫です。これでも王族として、幼い頃から教育を受けて参りましたから」
ドレスの裾をぎゅっと握り締め、アリーチェが顔を上げると、ルドヴィクは優しく微笑んだ。
「………そうか………。そうだな」
納得するようにそう呟くと、深いエメラルド色の隻眼でアリーチェを見つめた。
あまりの衝撃に、アリーチェの口から零れたのは微かな声だけだった。
魔石が人体に与える影響が計り知れないものだということは、つい先日、嫌という程に思い知った。
それにアリーチェ自身も転移魔法でその影響がどれほどのものなのかを身を以て学んでいる。
だからこそその実験が、どれほど恐ろしいものなのかは容易に想像出来た。
「………彼らは変わり果てた姿で、アドニスの街を出た先にある森の中で見つかった。………皆、内臓を焼き尽くされ、獣に食い荒らされていた。そして、若い娘は一人も見つからなかったが………彼女たちはティルゲルの慰み者にされて、その後ブロンザルドの貧民街にある売春宿に売られていったらしい」
「………………っ」
ルドヴィクから告げられた、失踪事件の被害者達の悲惨過ぎる末路に、アリーチェは言葉を失う。
両手で口元を覆い、漏れ出そうになる悲鳴を堪えるが、体は小刻みに震えていた。
「すまない。………やはりあなたに、聞かせるべきではなかったな………」
みるみる青褪めていくアリーチェの様子に、ルドヴィクの眉間の皺が更に深くなる。
だがアリーチェは今にも気を失いそうな様子にも関わらず、静かに首を振った。
「…………いえ。この件もまた、ティルゲルが仕組んだ事なのですから、きちんと聞いておかなければなりません」
アリーチェの虹色の瞳には、真っ青な顔色に似つかわしくない程の強い意志が宿っていた。
「わたくしたちは将来を誓い合った婚約者であり、そしてわたくしたちはそれぞれの国を背負う立場にあります。………だからこそ、両国が一つになるためには僅かな禍根も残してはいけないと思うのです。………互いの民が持つ負の感情を受け止めなければ、それは成し得ないでしょう」
アリーチェが懸命に紡ぎ出したのは、今にも消え入りそうな程にか細い、けれどもしっかりと耳に残るような声だった。
それでもルドヴィクは、心配そうな面持ちでアリーチェを見つめていた。
「………わたくしは、大丈夫です。これでも王族として、幼い頃から教育を受けて参りましたから」
ドレスの裾をぎゅっと握り締め、アリーチェが顔を上げると、ルドヴィクは優しく微笑んだ。
「………そうか………。そうだな」
納得するようにそう呟くと、深いエメラルド色の隻眼でアリーチェを見つめた。
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