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235.互いに
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それでも心配そうにアリーチェの顔を覗き込んだルドヴィクは、まるで繊細な硝子細工の宝飾品にでも触れるように、慎重にアリーチェの肩に触れた。
「あなたに触れると………少しでも力を込めたら壊れてしまいそうで………」
まるで言い訳をするかのように、僅かに目を逸らしながらルドヴィクが呟く。
その不器用さと優しさに、アリーチェは心からの笑顔を向けた。
「わたくしは、そんなに脆くはありません。確かにルドヴィク様のように剣を振るったり、馬を乗りこなしたりすることは出来ませんけれど………それでも、様々な逆境を乗り越えられるくらいの強かさはありますもの」
そのまま、アリーチェはルドヴィクの背中に回した手に、そっと力を込めた。
すると微かにルドヴィクが笑った気配がして、大きな掌がしっかりとアリーチェを包み込む。
「アリーチェ姫………」
吐き出された吐息は酷く優しくて、アリーチェはその心地よさに身を委ねた。
すると、ルドヴィクがゆっくりと頷いた。
「まだまだ、あなたについては知らないことだらけだな」
「それは、わたくしも同じですわ」
アリーチェが笑うと、ルドヴィクはアリーチェを抱きしめていた右手を離し、その手でアリーチェの艷やかに煌めくアッシュブロンドの髪を一房掬い上げた。
「ならば、これから互いに互いの事を知れば良い。好きなこと、好きなもの、楽しい思い出も辛かった気持ちも全て………。こうして抱き合ったり、手を繋いで歩いたり………。そうやってこれから共にある時間を過ごし、互いを理解し、尊重しあえる関係になれれば、嬉しく思う」
ややぶっきらぼうだが、飾らない、ルドヴィクらしい言葉に、アリーチェは大きく頷くと、徐ろにルドヴィクが手を離して身を屈めた。
「ルドヴィク様………?」
アリーチェが不思議そうに首を傾げると、突然体がふわりと浮き上がった。
「まだ、体力も戻っていないのだろう?あまり無理をしてはいけない。イザイアまでの道のりは遠いからな」
ルドヴィクは少しいたずらっぽく笑うと、アリーチェの額に口づけを落とした。
「ルドヴィク様…………」
ルドヴィクからの不意打ちに、アリーチェはまた頬を染めると、ゆっくりと目を瞑り、ルドヴィクの唇へと己の唇を重ねたのだった。
「あなたに触れると………少しでも力を込めたら壊れてしまいそうで………」
まるで言い訳をするかのように、僅かに目を逸らしながらルドヴィクが呟く。
その不器用さと優しさに、アリーチェは心からの笑顔を向けた。
「わたくしは、そんなに脆くはありません。確かにルドヴィク様のように剣を振るったり、馬を乗りこなしたりすることは出来ませんけれど………それでも、様々な逆境を乗り越えられるくらいの強かさはありますもの」
そのまま、アリーチェはルドヴィクの背中に回した手に、そっと力を込めた。
すると微かにルドヴィクが笑った気配がして、大きな掌がしっかりとアリーチェを包み込む。
「アリーチェ姫………」
吐き出された吐息は酷く優しくて、アリーチェはその心地よさに身を委ねた。
すると、ルドヴィクがゆっくりと頷いた。
「まだまだ、あなたについては知らないことだらけだな」
「それは、わたくしも同じですわ」
アリーチェが笑うと、ルドヴィクはアリーチェを抱きしめていた右手を離し、その手でアリーチェの艷やかに煌めくアッシュブロンドの髪を一房掬い上げた。
「ならば、これから互いに互いの事を知れば良い。好きなこと、好きなもの、楽しい思い出も辛かった気持ちも全て………。こうして抱き合ったり、手を繋いで歩いたり………。そうやってこれから共にある時間を過ごし、互いを理解し、尊重しあえる関係になれれば、嬉しく思う」
ややぶっきらぼうだが、飾らない、ルドヴィクらしい言葉に、アリーチェは大きく頷くと、徐ろにルドヴィクが手を離して身を屈めた。
「ルドヴィク様………?」
アリーチェが不思議そうに首を傾げると、突然体がふわりと浮き上がった。
「まだ、体力も戻っていないのだろう?あまり無理をしてはいけない。イザイアまでの道のりは遠いからな」
ルドヴィクは少しいたずらっぽく笑うと、アリーチェの額に口づけを落とした。
「ルドヴィク様…………」
ルドヴィクからの不意打ちに、アリーチェはまた頬を染めると、ゆっくりと目を瞑り、ルドヴィクの唇へと己の唇を重ねたのだった。
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