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225.事後処理

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「随分と顔色が良くなりましたね。少し、ほっとしました」

 姿を見せたアリーチェに対して、パトリスが最初に掛けたのはそんな言葉だった。
 昨日は朝から生気のない顔をしていた自覚はあったが、パトリスにまで心配をかけてしまっていたということを、アリーチェは申し訳なく思う。
 そういうパトリスはというと、痩せ細った体はそのままだが、身なりは綺麗に整えられていた。

「昨日の今日で、お疲れのところお呼び立てして申し訳ありません」

 パトリスに促され、ルドヴィクとアリーチェは揃って部屋の中央に置かれた長椅子セティに腰を下ろす。
 静まり返った部屋を、アリーチェはぐるりと見渡した。
 入ったときにも感じたが、広いのに物が雑然と積まれ、何だかあまり王城らしくない部屋だと感じる。

「………ここは、私の執務室なんです。ブロンザルド国王の、ではなく王太子用の…………。これでも片付けた方なのですが、やはり長らく使っていないと荒れてしまうものですね」

 はは、とパトリスが気の入らない声で笑った。

「王の執務室は使いたくないんです」

 まるで言い訳のように、ぼそりと呟いた声だけが妙に部屋に響いた。
 もはやパトリスにとって『生物学上父親だった人』という事実でさえも認めたくなくなるのような存在だということが、ひしひしと伝わってくる。

「………余計な話をしてしまいましたが、そろそろ本題に入りましょうか」

 ふう、と溜息をつくとパトリスは笑う。
恐らくこれから、その『父』について語らなければならない辛さを隠そうとしているように見え、アリーチェは悲しげに顔を歪めた。

「………まずは父の事ですが、本日、ブロンザルド国民に父の死を知らせる手筈となりました」

まるで赤の他人について語っているような抑揚のない声は、淡々と事実を紡いでいく。
それはまず当然の流れとしてアリーチェは受け止めた。

「そして今回公表に合わせ、て父の悪事の公表と、それからカヴァニス滅亡におけるイザイアの無実の証明を公表するつもりです」

パトリスの言葉にアリーチェは驚き、半ば無意識的にして隣に座るテレーゼの顔を見た。
するとテレーゼは『全て承知の上』とでもういように微笑みを浮べたかと思うと、ゆっくりと頷いた。
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