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207.暴走の果て ※残酷描写あり

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「ぅ゙………ぁ゙ぁ゙ぁ゙?」

セヴラン自身も己の身体が思うように動かなくなってきていることに気がついたのだろうか。
そこまでの理性が残っているのかは分からなかったが、困惑しているような呻き声がだらしなく半開きになった口から漏れてきた。

「どんなに大きく質の良い魔石でも、力を使い続ければいずれ封じられた魔力は枯渇し、ただの石ころになること位は知っていただろう。………そして、魔石が肉体を掌握した場合は魔力が尽きるのと同時に己の命も終わりを迎えることも………」

自身の呟きがセヴランに届かないことが分かっていても尚、ルドヴィクはセヴランに語りかける。
やはりルドヴィクがセヴランを一撃で仕留めず、じわじわと弱体化させていたというクロードの見解は正しかったようだった。

「自我を無くしても、五感はあるはずだから痛みは感じるだろう。………だが、お前が自身の欲望を満たす為だけに踏み躙ってきた者達の痛みや無念は、そんなものではない」

ルドヴィクの深いエメラルド色の隻眼が、明確な憎悪を浮かべながらセヴランを捉える。
その直後だった。

「ぅ゙お゙お゙お゙っ!!」

セヴランの眼が飛び出しそうなほどに大きく見開かれ、くぐもった咆哮が響き渡る。
びしゃり、と不快な音がしてセヴランの四肢が飛ばされた。

「あ…………」

信じられないような速度でルドヴィクが動き、セヴランの四肢をほぼ同時に切断したのだと理解するのに、暫しの間が必要だった。
身体を支える事が出来なくなったセヴランは真っ赤な鮮血を撒き散らしながらのたうつ。

「ぁ゙ぁ゙ぁ゙っ………、お………のれ………!」

失われた手足がゆっくりと再生していくが、ようやく元に戻っても先端から屑炭のようにボロボロと崩れ、形を失っていく。
同時に化け物のようだったセヴランの身体が徐々に小さくなり、元通りになっていく。
呻き声もようやく意味を成すようになってはきたが、その声は酷く弱々しくなっていた。

「悔しいか?………悔しいだろう。カヴァニスの国王夫妻も王太子も、お前の采配によって生命を落とした者達や、我が兄、そして今なお苦しみ続けているパトリス殿やテレーゼ妃の気持ちが、少しは分かったか?」

血に塗れた刃の先端を、仰向けに転がったセヴランの喉元に突きつけながら、ルドヴィクはセヴランを見下ろした。
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