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184.暴露
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その直後、幻影が激しく揺れ動いたかと思うと、アリーチェの悲鳴が聞こえる。
途端にアリーチェは、びくりと肩を震わせた。
「………未だ、気が付かないのですか?『カヴァニスの宝石』………それは、宝石や魔石などではなく………その神秘的な美しい光を宿した双眸を持つ、アリーチェ王女………あなたのことなのですよ」
ねっとりと絡みつくような、気味の悪いセヴランの声が響く。
その場の誰もが、本物のセヴランのほうに、一斉に視線を向けた。
「ち、違う…………っ!これは…………っ!」
否定の言葉を口にし続ける辺りは相変わらずだが、セヴランの狼狽え方は明らかに変化した。
必死になって幻影を止めさせようと手を伸ばすが、ルドヴィクの剣先によって動きを制限されていることもあり、思うようにいかないようだった。
一方、幻影のセヴランは心底悲しんでいるような、苦しげな表情を浮かべると、まるで悲劇の主人公のような様子で語り始めた。
「あなたを手に入れるために、どうするのが最善の方法なのか、必死に考えました。………手っ取り早く現王妃殺害も考えましたが、あれは警戒心が強く、思うように殺せませんでした。ですから仕方なく、私は別の方法を考えました。…………そこでようやく思いついたのが、息子の妃にあなたを据えるということでした。出来損ないは私の所有物ですから、その妃も私のものだ。私が二人目の妃を迎えることが出来ないならば、空席を使えばいいだけのことなのに、どうしてもっと早く気が付かなかったのでしょうね………?」
何の躊躇いもな喋り続ける幻影のセヴランの楽しそうな様子は、アリーチェにとっては怖気がするほどに恐ろしい記憶に違いなかった。
「そうすれば、生まれくる子が私に似ていても、誰も不思議に思いませんから………」
一呼吸置いてから幻影のセヴランが放った一言で、その場の雰囲気は一気に変わった。
文字通り凍りついたような空気が場を支配し、人々は険しい表情を浮かべてチラチラとセヴランの方を見ていた。
だがセヴランはどうしたら良いのか分からず、呻き声とも、溜息ともつかない吐息を零しながら、虚ろな目で周囲を見渡していた。
「陛下…………」
ブロンザルドの宰相は、強い戸惑いと、軽蔑の混在する表情で、己の主の表情を読み取ろうと懸命になっているようだった。
途端にアリーチェは、びくりと肩を震わせた。
「………未だ、気が付かないのですか?『カヴァニスの宝石』………それは、宝石や魔石などではなく………その神秘的な美しい光を宿した双眸を持つ、アリーチェ王女………あなたのことなのですよ」
ねっとりと絡みつくような、気味の悪いセヴランの声が響く。
その場の誰もが、本物のセヴランのほうに、一斉に視線を向けた。
「ち、違う…………っ!これは…………っ!」
否定の言葉を口にし続ける辺りは相変わらずだが、セヴランの狼狽え方は明らかに変化した。
必死になって幻影を止めさせようと手を伸ばすが、ルドヴィクの剣先によって動きを制限されていることもあり、思うようにいかないようだった。
一方、幻影のセヴランは心底悲しんでいるような、苦しげな表情を浮かべると、まるで悲劇の主人公のような様子で語り始めた。
「あなたを手に入れるために、どうするのが最善の方法なのか、必死に考えました。………手っ取り早く現王妃殺害も考えましたが、あれは警戒心が強く、思うように殺せませんでした。ですから仕方なく、私は別の方法を考えました。…………そこでようやく思いついたのが、息子の妃にあなたを据えるということでした。出来損ないは私の所有物ですから、その妃も私のものだ。私が二人目の妃を迎えることが出来ないならば、空席を使えばいいだけのことなのに、どうしてもっと早く気が付かなかったのでしょうね………?」
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「そうすれば、生まれくる子が私に似ていても、誰も不思議に思いませんから………」
一呼吸置いてから幻影のセヴランが放った一言で、その場の雰囲気は一気に変わった。
文字通り凍りついたような空気が場を支配し、人々は険しい表情を浮かべてチラチラとセヴランの方を見ていた。
だがセヴランはどうしたら良いのか分からず、呻き声とも、溜息ともつかない吐息を零しながら、虚ろな目で周囲を見渡していた。
「陛下…………」
ブロンザルドの宰相は、強い戸惑いと、軽蔑の混在する表情で、己の主の表情を読み取ろうと懸命になっているようだった。
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