隻眼の騎士王の歪な溺愛に亡国の王女は囚われる

玉響

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104.明かされる真実(1)

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「何をするのですか…………っ!」

アリーチェとスザンナは、控えていた衛兵の手によって呆気なく捕らえられてしまった。

「悪いことをしたのですから、お仕置きが必要でしょう、アリーチェ王女?一国の姫君ともあろう人が、盗み聞きだなど………」

ガチャリ、と重くて冷たい鍵の閉まる音がやけに大きく、部屋の中に響き渡った。

「昔からややお転婆な所はございましたが、盗人の真似事をなさるまで落ちぶれるとは………亡きお父上もさぞかし嘆いておられるでしょうなぁ」

ティルゲルが、不気味に嗤う。
こうして見ると、アリーチェの知る彼とはまるで別人、全く知らない人間のように見えた。

「ティルゲル、あなたは一体、何を…………?」

アリーチェが虹色に輝く瞳をティルゲルに向ける。
先程の話からは、この二人は手を組んでおり、ルドヴィクが陥れられたらしい、ということしか分からなかった。
そして、それはどうやら彼らにとって知られてはならない事だというのも、この行動から読み取れる。
一体何を隠しているのだろう。
考えれば考えるほど、恐ろしい予感が湧き上がってきた。

「それを尋ねたところで、あなたに何ができるというのです?」

アリーチェの問いに反応したのは、ティルゲルではなくセヴランだった。
ゆっくりとアリーチェに歩み寄るセヴランは、まるで獲物を狙う毒蛇のような不気味さがあった。
音もなく忍び寄ってくるような感覚に、アリーチェは自ずと小刻みに体が震えるのを感じた。

「何も知らず、何も考えず、ただ我々の言う通りに動く美しい人形であれば良かったものを………。一体、イザイアにいる間にに何を吹き込まれたのです?」
「あ、あの男………?」

にたり、とセヴランが嗤う。
その様が酷く恐ろしくて、アリーチェは思わず二、三歩後退る。
するとアリーチェを押さえつけていた衛兵が、力任せにアリーチェを前に突き出した。

「分かりませんか?………イザイア国王ルドヴィク・イザイアですよ」

ただルドヴィクの名が告げられただけなのに、アリーチェの不安定な心はたったそれだけで動揺する。

「彼はっ………あの方は違うわ!わたくしには何も………!何も明かしてくださらなかった。だから………っ」
「ははっ」

セヴランは乾いた笑い声を上げた。

「知らないフリをすれば、解放されるとでも?ああ………それともそれもあの男の入れ知恵ですか?」

セヴランの眼差しに狂気じみた光が宿るのを、アリーチェははっきりと見た。
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