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番外編
第十六話 初夜(6)★
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荒い息遣いが、汗ばんだ体が、彼の存在を感じさせる。
体の中に、ジェイド様が入り込んでいるのがはっきりと分かるのに、強すぎる快感のせいなのか、私の意識は朦朧とし始める。
愛しい人と、一番深いところで繋がっている。
そしてその部分から、脊髄を一気に駆け上がるようなめくるめく愉悦感が駆け抜けていって、私は訳も分からず、ただジェイド様が与えてくれるその悦びに身を任せた。
「あ…………あっ…………!」
「エリーゼ…………っ」
もうとっくに砕け散った羞恥心と理性の代わりに私を支配しているのは、この上ない幸福感だと、考えの纏まらない頭ではなく、心で実感する。
「んぅっ………」
意味をなさない言葉と共に、何故か分からないけれど、私の目からはぽろぽろと涙が溢れ出た。
「辛いか…………っ?」
苦しそうな表情で、額に珠のような汗を浮かべたジェイド様が動きを止めて私の頬をそっと撫でて下さる。
私は静かに首を振ると、ふわりと笑顔を浮かべて見せた、
「良く分かりませんけれど、これは嬉し涙だと………思います」
するとジェイド様は一瞬、面食らったように固まると、それからにやりと嗤った。
「………その言葉に偽りはないな?それならばもっとそなたを喜ばせてやろう」
「え……………?………ひぁっ………!」
ジェイド様が再び激しく腰を打ち付け始めて、私はまた彼に縋り付く事しか出来なくなる。
より深く彼の存在を感じる度に、幸福感が私を支配していく。
そして、出来るならばこのまま触れ合う体が全て溶け合って、彼と一体となってしまえば良いとさえ思ってしまう。
それくらいに、幸せだった。
「エリーゼ…………、すまんがそろそろ………、私も限界だ……………っ」
先程よりも更に苦しそうに、ジェイド様が耳元で囁くと、俄にジェイド様の動きがはやく、リズミカルになっていく。
「エリーゼ…………っ」
「ジェイド様っ……………」
互いの名を呼び合った瞬間、先程よりも強く、まるで脳天を突き上げる程とすら感じられるような感じたことのないくらいの快感が、私を襲ってきた。
そしてそれと同時に、体の最奥で、何か熱い飛沫が飛び散るのをかんじた。
ジェイド様はぶるりと身体を震わせたかと思うと、二、三回腰を強く私に向かって打ち付けた。
ああ。
私は今、世界で一番幸せな妃だわ…………。
そう考えただけで、また嬉し涙が自然と零れ落ちていったのだった。
体の中に、ジェイド様が入り込んでいるのがはっきりと分かるのに、強すぎる快感のせいなのか、私の意識は朦朧とし始める。
愛しい人と、一番深いところで繋がっている。
そしてその部分から、脊髄を一気に駆け上がるようなめくるめく愉悦感が駆け抜けていって、私は訳も分からず、ただジェイド様が与えてくれるその悦びに身を任せた。
「あ…………あっ…………!」
「エリーゼ…………っ」
もうとっくに砕け散った羞恥心と理性の代わりに私を支配しているのは、この上ない幸福感だと、考えの纏まらない頭ではなく、心で実感する。
「んぅっ………」
意味をなさない言葉と共に、何故か分からないけれど、私の目からはぽろぽろと涙が溢れ出た。
「辛いか…………っ?」
苦しそうな表情で、額に珠のような汗を浮かべたジェイド様が動きを止めて私の頬をそっと撫でて下さる。
私は静かに首を振ると、ふわりと笑顔を浮かべて見せた、
「良く分かりませんけれど、これは嬉し涙だと………思います」
するとジェイド様は一瞬、面食らったように固まると、それからにやりと嗤った。
「………その言葉に偽りはないな?それならばもっとそなたを喜ばせてやろう」
「え……………?………ひぁっ………!」
ジェイド様が再び激しく腰を打ち付け始めて、私はまた彼に縋り付く事しか出来なくなる。
より深く彼の存在を感じる度に、幸福感が私を支配していく。
そして、出来るならばこのまま触れ合う体が全て溶け合って、彼と一体となってしまえば良いとさえ思ってしまう。
それくらいに、幸せだった。
「エリーゼ…………、すまんがそろそろ………、私も限界だ……………っ」
先程よりも更に苦しそうに、ジェイド様が耳元で囁くと、俄にジェイド様の動きがはやく、リズミカルになっていく。
「エリーゼ…………っ」
「ジェイド様っ……………」
互いの名を呼び合った瞬間、先程よりも強く、まるで脳天を突き上げる程とすら感じられるような感じたことのないくらいの快感が、私を襲ってきた。
そしてそれと同時に、体の最奥で、何か熱い飛沫が飛び散るのをかんじた。
ジェイド様はぶるりと身体を震わせたかと思うと、二、三回腰を強く私に向かって打ち付けた。
ああ。
私は今、世界で一番幸せな妃だわ…………。
そう考えただけで、また嬉し涙が自然と零れ落ちていったのだった。
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