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本編
第八十ニ話
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「コーネリアスは、その計画を知り、綿密に裏付けを取ったところでキャメロット公爵に報告をした。キャメロット公爵も薄々は邪神信仰について気がついていたようで、すぐに動き出し、クーデターは計画止まりで終わった。どうやったのか、コーネリアスは邪神信仰に関わっている貴族のリストまで作ってあったそうだ」
………どちらかというと鈍臭いあのお父様に、そんな隠密まがいの才能まであっただなんて驚きですわ。
「キャメロット公爵の耳にまで邪神信仰が届いていながら、どうしてそれを食い止めることが出来なかったのですか?」
私の手元にある旧貴族名鑑には、公爵家の数は変わりがない。キャメロット公爵家と、グラットフォード公爵家………ロゼリア嬢の家の二つだ。つまり、最高位の貴族で邪神信仰に関わった者はいないという事。それであれば、騎士団や憲兵を使って異端の信仰を排除することだって出来たと思うのですけれど。
「奴らの動きはあくまでも水面下で行われており、証拠がなかったからな。それに、誰が信者なのかも把握は難しかった。もう少し行方不明者が増えていれば違ったのかもしれないがな。どのようにコーネリアスが調べ上げたのかは最後まで話そうとしなかったが、本当に大したものだよ」
何だかあまりに私の中のお父様のイメージと違ってピンとこない話ですけれど、行方不明者が増えていれば、という事は邪神信仰の生贄てされた方がいらっしゃったのですわね………。
もう何年も前の話だというのに、気分が悪くなりますわ。
「そもそも信者となっていた貴族達はエルカリオンの王政自体に不満を持っていた者たちだったらしい。邪神信仰自体はきっかけに過ぎなかったのだろうが、王家に対して、またユピテル神信仰に対して謀反を起こそうという考え自体が表面化したのはエルカリオンの歴史上初めての出来事だった。そのような出来事が自分の治世で起こったことが、厳格な祖父には許せなかったのだろう。祖父は、関係者を徹底的に洗い出し、『粛清』を行われた」
粛清。それが何を指すのかは理解したくなくても分かってしまう。
この旧貴族名鑑の赤い印が付けられた方たちとそれに連なる方々の命がジェイド様のお祖父様なより奪われたという事なのですわね。
………どちらかというと鈍臭いあのお父様に、そんな隠密まがいの才能まであっただなんて驚きですわ。
「キャメロット公爵の耳にまで邪神信仰が届いていながら、どうしてそれを食い止めることが出来なかったのですか?」
私の手元にある旧貴族名鑑には、公爵家の数は変わりがない。キャメロット公爵家と、グラットフォード公爵家………ロゼリア嬢の家の二つだ。つまり、最高位の貴族で邪神信仰に関わった者はいないという事。それであれば、騎士団や憲兵を使って異端の信仰を排除することだって出来たと思うのですけれど。
「奴らの動きはあくまでも水面下で行われており、証拠がなかったからな。それに、誰が信者なのかも把握は難しかった。もう少し行方不明者が増えていれば違ったのかもしれないがな。どのようにコーネリアスが調べ上げたのかは最後まで話そうとしなかったが、本当に大したものだよ」
何だかあまりに私の中のお父様のイメージと違ってピンとこない話ですけれど、行方不明者が増えていれば、という事は邪神信仰の生贄てされた方がいらっしゃったのですわね………。
もう何年も前の話だというのに、気分が悪くなりますわ。
「そもそも信者となっていた貴族達はエルカリオンの王政自体に不満を持っていた者たちだったらしい。邪神信仰自体はきっかけに過ぎなかったのだろうが、王家に対して、またユピテル神信仰に対して謀反を起こそうという考え自体が表面化したのはエルカリオンの歴史上初めての出来事だった。そのような出来事が自分の治世で起こったことが、厳格な祖父には許せなかったのだろう。祖父は、関係者を徹底的に洗い出し、『粛清』を行われた」
粛清。それが何を指すのかは理解したくなくても分かってしまう。
この旧貴族名鑑の赤い印が付けられた方たちとそれに連なる方々の命がジェイド様のお祖父様なより奪われたという事なのですわね。
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