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本編
第四十七話
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暫くはジェイド様と一緒に、挨拶に回った。
誰に挨拶しても聞こえてくるのは
「あのコーネリアス・マロウの娘」
という一言。
今まで「知識人だけれどボンクラな父親」くらいの認識しか無かった私にとって、エルカリオンでのお父様の認知度は驚き以外の何物でもない。
確かに功績は凄いけれど、そんなに持て囃されるような存在では、ないような気がしてしまうのは、父の実態を知る娘故のことなのでしょうか。
「殿下、少しよろしいでしょうか」
一通り挨拶を終えて、飲み物を頂いていると、若い貴族がジェイド様に話しかけてくる。
「ん、ああ。エリーゼ。少し席を外すが、絶対にここを離れるなよ」
「ええ、心得ておりますわ」
私は静かにジェイド様をお見送りすると、壁の花になることに決めた。ここには知り合いの方もいらっしゃいませんからね。大人しくしているのが得策でしょう。
私は行き交う人々を観察する。
エルカリオンの貴族は、やはり大国だというのもあって、文化水準が高いわ。今は私が着ているようなマーメイドラインのドレスが流行しているようだけれど、刺繍や凝ったデザインは、他国では真似できるようなものではないわね。
私は感心しながら色とりどりのドレスを眺めた。
…………暇ですわね。
と。
「失礼、少しよろしいかしら?」
突然声をかけられる。
そこにはロゼリア嬢と数人の令嬢がいつの間にやら立っていた。
「私に、何かご用でしょうか」
ロゼリア嬢以外は全く面識のない方ですわね。でも、どう見ても「お友達になりましょう」といった雰囲気でないのは確かですわね。
「貴女、一体どういうつもり?」
ロゼリア嬢は、可愛らしい目を釣り上げて、私を睨みつけてくる。まるで威嚇する子猫みたいですわね。
「どういうつもり、とは?」
「しらばっくれないで頂戴、この田舎貴族が」
ロゼリア嬢が意図する所が分からず聞き返すと、あちらはわざと惚けていると捉えたようですわね。
まあ田舎貴族はその通りなので別に何とも思いませんけれど。
「ジェイド様がエスコートしてくださるからって、ジェイド様の瞳の色のドレスに、ジェイド様の髪色のアクセサリーを身に着けるなんて図々しいにも程があるわ。婚約者気取りなんて、分不相応だって気が付かないの?」
はい?ロゼリア嬢は何を仰っているのでしょうね?私のドレスの色は透明感のある黃褐色………これ、琥珀色ですわね………。でも、アクセサリーはブラックパールにブラックダイヤモンド………間違いなく、黒いですわね。
途端に私は、恥ずかしさがこみ上げてきた。背中を冷や汗が伝っていく。
ええと。うん、少し落ち着きましょうか。
誰に挨拶しても聞こえてくるのは
「あのコーネリアス・マロウの娘」
という一言。
今まで「知識人だけれどボンクラな父親」くらいの認識しか無かった私にとって、エルカリオンでのお父様の認知度は驚き以外の何物でもない。
確かに功績は凄いけれど、そんなに持て囃されるような存在では、ないような気がしてしまうのは、父の実態を知る娘故のことなのでしょうか。
「殿下、少しよろしいでしょうか」
一通り挨拶を終えて、飲み物を頂いていると、若い貴族がジェイド様に話しかけてくる。
「ん、ああ。エリーゼ。少し席を外すが、絶対にここを離れるなよ」
「ええ、心得ておりますわ」
私は静かにジェイド様をお見送りすると、壁の花になることに決めた。ここには知り合いの方もいらっしゃいませんからね。大人しくしているのが得策でしょう。
私は行き交う人々を観察する。
エルカリオンの貴族は、やはり大国だというのもあって、文化水準が高いわ。今は私が着ているようなマーメイドラインのドレスが流行しているようだけれど、刺繍や凝ったデザインは、他国では真似できるようなものではないわね。
私は感心しながら色とりどりのドレスを眺めた。
…………暇ですわね。
と。
「失礼、少しよろしいかしら?」
突然声をかけられる。
そこにはロゼリア嬢と数人の令嬢がいつの間にやら立っていた。
「私に、何かご用でしょうか」
ロゼリア嬢以外は全く面識のない方ですわね。でも、どう見ても「お友達になりましょう」といった雰囲気でないのは確かですわね。
「貴女、一体どういうつもり?」
ロゼリア嬢は、可愛らしい目を釣り上げて、私を睨みつけてくる。まるで威嚇する子猫みたいですわね。
「どういうつもり、とは?」
「しらばっくれないで頂戴、この田舎貴族が」
ロゼリア嬢が意図する所が分からず聞き返すと、あちらはわざと惚けていると捉えたようですわね。
まあ田舎貴族はその通りなので別に何とも思いませんけれど。
「ジェイド様がエスコートしてくださるからって、ジェイド様の瞳の色のドレスに、ジェイド様の髪色のアクセサリーを身に着けるなんて図々しいにも程があるわ。婚約者気取りなんて、分不相応だって気が付かないの?」
はい?ロゼリア嬢は何を仰っているのでしょうね?私のドレスの色は透明感のある黃褐色………これ、琥珀色ですわね………。でも、アクセサリーはブラックパールにブラックダイヤモンド………間違いなく、黒いですわね。
途端に私は、恥ずかしさがこみ上げてきた。背中を冷や汗が伝っていく。
ええと。うん、少し落ち着きましょうか。
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