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本編
第十九話
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「陛下。私はこの度の責任を取り、賜った公爵位を返上したく存じます」
ジャーマンダー公爵様はゆっくりと、頭を垂れた。
後継者を、死刑という最悪の形で失うこととなった公爵家の存続は、確かに難しいでしょうね。保守的な貴族は醜聞を嫌いますものね。いくら公爵といえども、養子のなり手もないでしょうし。
「………そうか」
陛下は、それだけ答えると目を閉じた。
ジャーマンダー公爵様は、アーロン様の件を除けばとても優秀なお方だ。陛下の右腕となり、国の発展に尽力されている。
爵位を返上するという事は、貴族ではなくなるということ。つまり、陛下はその優秀な右腕を失うことになる。
「我が国において、そなたの力は大きかった。息子の起こした騒動の幕引きで引退するのは勝手だが、そなたの抜けた穴をどう埋めるのだ?」
「もし、許されるのであれば、こちらのマロウ侯爵を私の後任に推薦したく存じます」
公爵様は、初めからその質問を想定していたかのように答えられた。
マロウ侯爵?ってお父様じゃない!
当のお父様は、目をパチクリさせている。
「なるほど。コーネリアスは気弱なところはあるが、ベルナルドと同じ位優秀だからな。何と言っても、我が国に留学中に私の教師を務めた男だ」
突然、それまで黙っていた第二王子殿下が話に割って入ってきた。
お父様、エルカリオン王国に留学してらっしゃったの?しかも、第二王子殿下の教師をしていたですって?だから殿下とお知り合いでしたのね。………どちらも初耳ですけれど。
「ですが、我がマロウ侯爵家もまた今回の騒動の渦中にあります。アーロン殿の婚約者である娘に対しての批判をする者も現れるでしょう」
お父様は冷静だ。私もそれは覚悟しております。婚約者の振る舞いが横暴で、姦通罪という重罪に当たるとはいえ、婚約破棄を言い渡された身ですものね。
「確かにそれはあり得るだろう。だが、今回の件は公爵子息と男爵家に非がありすぎる。あの男爵令嬢は、元々異教徒の平民、しかも娼婦との間に生まれた庶子だったようだ。最近になって男爵が『養子』として引き取ったとの報告がある。本人は十六歳だと吹聴していたが、実年齢も二十六だったようだな。男爵家にせ来てからも、使用人や家に出入りする商人を相手にしていたそうだが、父親に唆されて高位貴族の子息を狙い、夫人の座を得ようと画策したと………。とんでもない色狂いだな。まあ、庶子を持つような者の子としては当然なのかもしれぬが………」
陛下は報告書を淡々と読み上げる。
さすがの殿下も顔が引き攣ってらっしゃるわ。
私よりも九つも年上であの喋り方………。気持ち悪い以外、表現のしようがありませんわね。
ジャーマンダー公爵様はゆっくりと、頭を垂れた。
後継者を、死刑という最悪の形で失うこととなった公爵家の存続は、確かに難しいでしょうね。保守的な貴族は醜聞を嫌いますものね。いくら公爵といえども、養子のなり手もないでしょうし。
「………そうか」
陛下は、それだけ答えると目を閉じた。
ジャーマンダー公爵様は、アーロン様の件を除けばとても優秀なお方だ。陛下の右腕となり、国の発展に尽力されている。
爵位を返上するという事は、貴族ではなくなるということ。つまり、陛下はその優秀な右腕を失うことになる。
「我が国において、そなたの力は大きかった。息子の起こした騒動の幕引きで引退するのは勝手だが、そなたの抜けた穴をどう埋めるのだ?」
「もし、許されるのであれば、こちらのマロウ侯爵を私の後任に推薦したく存じます」
公爵様は、初めからその質問を想定していたかのように答えられた。
マロウ侯爵?ってお父様じゃない!
当のお父様は、目をパチクリさせている。
「なるほど。コーネリアスは気弱なところはあるが、ベルナルドと同じ位優秀だからな。何と言っても、我が国に留学中に私の教師を務めた男だ」
突然、それまで黙っていた第二王子殿下が話に割って入ってきた。
お父様、エルカリオン王国に留学してらっしゃったの?しかも、第二王子殿下の教師をしていたですって?だから殿下とお知り合いでしたのね。………どちらも初耳ですけれど。
「ですが、我がマロウ侯爵家もまた今回の騒動の渦中にあります。アーロン殿の婚約者である娘に対しての批判をする者も現れるでしょう」
お父様は冷静だ。私もそれは覚悟しております。婚約者の振る舞いが横暴で、姦通罪という重罪に当たるとはいえ、婚約破棄を言い渡された身ですものね。
「確かにそれはあり得るだろう。だが、今回の件は公爵子息と男爵家に非がありすぎる。あの男爵令嬢は、元々異教徒の平民、しかも娼婦との間に生まれた庶子だったようだ。最近になって男爵が『養子』として引き取ったとの報告がある。本人は十六歳だと吹聴していたが、実年齢も二十六だったようだな。男爵家にせ来てからも、使用人や家に出入りする商人を相手にしていたそうだが、父親に唆されて高位貴族の子息を狙い、夫人の座を得ようと画策したと………。とんでもない色狂いだな。まあ、庶子を持つような者の子としては当然なのかもしれぬが………」
陛下は報告書を淡々と読み上げる。
さすがの殿下も顔が引き攣ってらっしゃるわ。
私よりも九つも年上であの喋り方………。気持ち悪い以外、表現のしようがありませんわね。
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