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学園二年生編
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「なんか、ごめん。こんな話をするつもりじゃなかったんだけど」
少し困ったように微笑むオルティアに、私は首を振った。
「でもさ、何か話したらほっとした。俺の一方的な気持ちだけどさ。俺がトランスジェンダーってことをカミングアウトした時、驚いてはいたけれど、否定はしなかっただろう?こっちの世界の両親に理解してもらうのに、すっごく苦労したんだよ。この世界にはそんな概念なんて存在しないからさ。………それなのにそれを当たり前のように受け入れたジュリアが、ちょっと不気味だったんだ」
不気味って………失礼じゃない?
いや、言いたい意味は分かるけど。確かに『何なんだ、こいつ』って感じると思うだろうけど。
「やっぱりジュリエット・カラミンサは凄いって思ったよ。………俺さ、女のコにモテるようになりたくて、姉貴がやってたこの乙女ゲームプレイしてさ………ジュリエット・カラミンサに恋をしたって言っても、過言じゃないくらいに夢中になった。まさか二次元の女のコに本気で恋するなんて思ってもみなかったよ。別に俺はオタクとかじゃなかったし、ちょっと悪ぶった高校生たったからさ」
へぇ………ジュリエットにねぇ………。ん?ジュリエット?
私は目をパチクリとさせた。
「ジュリエットみたいないい女、現実にいればなあってずっと思ってた。そんなこと考えながらバイク運転してたら、巻き込まれ事故で多分即死。そんで気がついたら異世界で赤ん坊に、しかもゲームの世界で、何故か俺がヒロインになってるし、マジで何の嫌がらせかと思ったよ。どうせなら王太子になりたかったのにさ」
そう言って深いため息をついた。
「それでさなんていうか………まあ、前世の記憶を悪用して、ルーファスに協力を頼めば、この世界に実在するはずのジュリエット・カラミンサ公爵令嬢が俺のものになるかもしれないって考えたんだけどね………」
オルティアは何故だか遠い目をした。
「………ジュリア、君はアルフレッドの事が好きだろう?」
「………ぇ…………?」
唐突にオルティアが私の顔を覗き込んできた。
私はというと、その顔の近さと、訊かれた内容に固まって、閉口してからこれ以上ないくらいに顔を真っ赤にしたのだった。
少し困ったように微笑むオルティアに、私は首を振った。
「でもさ、何か話したらほっとした。俺の一方的な気持ちだけどさ。俺がトランスジェンダーってことをカミングアウトした時、驚いてはいたけれど、否定はしなかっただろう?こっちの世界の両親に理解してもらうのに、すっごく苦労したんだよ。この世界にはそんな概念なんて存在しないからさ。………それなのにそれを当たり前のように受け入れたジュリアが、ちょっと不気味だったんだ」
不気味って………失礼じゃない?
いや、言いたい意味は分かるけど。確かに『何なんだ、こいつ』って感じると思うだろうけど。
「やっぱりジュリエット・カラミンサは凄いって思ったよ。………俺さ、女のコにモテるようになりたくて、姉貴がやってたこの乙女ゲームプレイしてさ………ジュリエット・カラミンサに恋をしたって言っても、過言じゃないくらいに夢中になった。まさか二次元の女のコに本気で恋するなんて思ってもみなかったよ。別に俺はオタクとかじゃなかったし、ちょっと悪ぶった高校生たったからさ」
へぇ………ジュリエットにねぇ………。ん?ジュリエット?
私は目をパチクリとさせた。
「ジュリエットみたいないい女、現実にいればなあってずっと思ってた。そんなこと考えながらバイク運転してたら、巻き込まれ事故で多分即死。そんで気がついたら異世界で赤ん坊に、しかもゲームの世界で、何故か俺がヒロインになってるし、マジで何の嫌がらせかと思ったよ。どうせなら王太子になりたかったのにさ」
そう言って深いため息をついた。
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「………ぇ…………?」
唐突にオルティアが私の顔を覗き込んできた。
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