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学園一年生編

23(アルフレッド視点)

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それから、私はなるべくジルと共に過ごす時間を増やし、少しでも彼女の信頼を得ようと努力した。
愛しいジルのためならば、どんな事でもできる。………その反面、彼女が私から距離を取ろうとするなら、誰の目にも触れない場所に閉じ込めてしまいたいという気持ちも湧いてくる。
……早く、ジルを妃に迎えたい………。そうすればジルは私から逃げられない。何よりも、彼女は私のものだと知らしめられる。

熟考した結果、ジルの身辺警護も兼ねて、学園への通学は私が公爵家迄の送迎をするのが一番だという結論に行き着いた。
そうすれば、ジルに声を掛ける不届者からジルを守れるし、ジルといられる時間も増える。そして私達の仲睦まじさを周囲に見せつけることも出来る。………メリットしかない。
私は、早速父上とカラミンサ公爵に掛け合った。

「娘の送迎を、殿下が………?」

父上は苦笑いしただけだったが、カラミンサ公爵は滅相もないというような顔をした。

「その方が、公爵も安心するでしょう?学園に通うのは一緒ですし、王宮と公爵家は目と鼻の先ですから。………それに、私だってジルと過ごす時間が増えるのは、嬉しいですしね」

私は満面の笑みを浮かべながらカラミンサ公爵に圧力を掛けた。
すると、カラミンサ公爵は何か言いたげな顔をしながらも、頷いてくれた。

「王太子殿下自ら娘の送迎をして頂くなど、畏れ多い事ですが、何卒娘をよろしくお願い致します」
「無理を言ってすまないな、公爵」

この二人の許可を取り付けてしまえば後は私の思い通りだ。
私はすぐに学園へ手紙を送り、ジルは体が弱い為、付き添いが必要な為、彼女と私を同じクラス……席も隣にする事を手紙を早馬で送った。
使える力は全て使う。そうでもしなくてはジルが私の手から逃れてしまいそうな、そんな不安がいつも私に付き纏っていた。

大人しくて従順なジルは、私が命令すれば逆らわないだろう。私の側にいろと命じれば、その通りにするに違いなかった。
でも、そうではない。
私は、ジルの心が………彼女の全てが欲しい。
私の命令で従うのではなく、彼女自らの意志で私の側にいて欲しい。

そんな事を考えながら明日からの事を伝えに、公爵邸へとむかったのだけれど、抱きしめた途端、ジルは倒れてしまった。
多分、緊張のせいであまり眠れず、碌に食事も取っていないのだろう。
私は彼女を寝台へと運び、こっそりと回復魔法を掛ける。
そして、意識のない彼女の唇に、そっと口付けを落とした。
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