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学園一年生編

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それにしてもアルフレッド様がオルティアと接することを咎めもせずに許可してくれたのか、全く分からなかった。
だって、あれほどオルティアが私に近づくのを嫌っていたのに………。

「ただし、条件がある」

ほっとしたのも束の間、アルフレッド様は紺碧色の瞳をふっと細めた。

「オルティアとは、あくまで友達同士だ。それ以上親密にはならない事。それから、二人きりで出掛けたりしない事。それから、ランチは必ず私と食べる事。これを必ず守るんだ。………いいね?」

うん?何だか条件の意味がよく分からないけど、そんなに厳しい条件じゃなかった。

「分かりましたわ、アルフレッド様」

私がまた淀みなく答えると、アルフレッド様の表情が、少しだけ寂しそうに変化したように見えた。

「………ジル、オルティアに何か言われたのかい?」
「え………?」

私は驚いた。だって、アルフレッド様、鋭すぎでしょう。
昨日オルティアに言われた言葉が、私の中の何かを変えたのは事実だ。
でもその変化に気がつくなんて………。
確かにこのアルフレッド様はヤンデレ気味だけど、そこまで敏感じゃないと思うんだけど……。
そこまで考えて私ははっとした。
まさか、アルフレッド様は今まで私に執着していたけれど、別に誰か好きな人が出来て、私に興味かなくなったからオルティアと仲良くすることを許可してくれたとか………?
……それ、大いにあり得るかも………。

「………どうしたんだい?答えられないのかい?」

アルフレッド様の瞳が、急に冷たくなった気がした。

「い、いえ……。あの、実は昨日オルティア様に『勿体無い』と言われたのです………」
「勿体無い?何が?」

アルフレッド様は、形のいい眉をぴくりと動かした。

「私の事を色々褒めてくださって………私が自分に自信を持ってないのが勿体無いと、そう言われたのです。確かに、私は………」

バン!!

突然、大きな音がして私は体をビクリと揺らした。
それは、アルフレッド様が両手てテーブルを叩いた音だった。

「あいつ、そんな事を言ったんだ?それで、ジルはそれを鵜呑みにするのかい?」

………私は目の前にいるアルフレッド様が怖かった。以前一度だけ見たことのある、仄暗い笑みを浮かべながら私を覗き込んできたからだ。

「う、鵜呑みと言うわけでは………。ただ、それを指摘されて初めて気がついたのです」
「ふーん?」

アルフレッド様は面白くなさそうだ。
基本は穏やかなのに、時々こうやって地雷を踏むと大変だと感じたのだった。
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