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学園一年生編
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そんな日々が続き、あっという間に一年が過ぎてしまった。
明日はいよいよ学園の入学式。……それは、ゲームのオープニングに当たる日でもある。
ウィステリア王立学園は、十四歳から十六歳までの王族を含めた全ての貴族子女が通う学校で、貴族としてのより高度な知識やマナー、それ以外にも魔法の実技などを学ぶのだけど、何より重要なのは、ここで同年代の貴族子女との交友関係を築くこと。
この国の未来を担う優秀な人材の育成を目的に作られた学園なのだから、そこで人脈づくりをするというのは確かに理にかなっていると思う。
……でも、私には無理。きっと友達だって出来っこない。
ゲームの中のジュリエットは、華やかで話し上手だっただけあって、ヒロインに対しては意地悪だったけれど、常に周りには人がいた。いわゆる取り巻きと呼ばれる人達だけれど、ジュリエットは彼女たちには慕われていた。
悪役令嬢ながら気品があって、女王然としたジュリエットはファンの間でも人気が高く、続編は是非国外追放となったジュリエットをヒロインにして欲しいという要望が強くあったらしい。
「転生してもまた一人ぼっちの学校生活かぁ……」
私は溜息をついた。
小学校も、中学も、そして高校……は一年も通えなかったけど、私には『友達』と呼べるような間柄の人は一人もいなかった。
クラスの中の空気に溶け込んだ、居てもいなくても同じ存在。それが前世での私。
そして今世でもまた同じことを繰り返すかと思うと・・・正直夢も希望もない。
どうせなら、ヒロインに転生したかったな。
そう。明日の入学式で、アルフレッド様はヒロインである、オルティア・ロータスに出会う。
ロータス男爵家の正当な血筋であるにも関わらず、幼少期に不幸な事故で両親を亡くし、後見人となった母方の叔父夫婦に冷遇されて育った、シンデレラみたいな境遇の、可憐で清楚なオルティア。
……実物はきっと物凄く可愛いんだろうな。
そんな事をモヤモヤ考えていたら、部屋の扉がノックされた。
「お嬢様……その、お客様がお見えです!」
顔を出したのは何だか慌てた様子のハンナだった。
お客様?私を訪ねてくるような人はいないと思うけど。そもそも、私にお客様の相手をされるなんて無理だってハンナは分かっているはずなのに。
不思議に思いながらも渋々扉の方へ向かった。
「ジル!」
突然何かが覆い被さってきて、私は頭が真っ白になる。
「先触れも寄越さず、急に訪ねてきてごめん。ジルを驚かせたかったんだ」
お客様とはまさかのアルフレッド様だった。
この一年のうちに殿下呼びを禁止されてしまったので今はアルフレッド様と呼んでいる。
………それはさておき、そのアルフレッド様の腕の中に私の体が収まっている。
ア、アルフレッド様に抱きしめられている……?!
あまりの恥ずかしさに、私は意識がすうっと遠のいていくのを感じた。
明日はいよいよ学園の入学式。……それは、ゲームのオープニングに当たる日でもある。
ウィステリア王立学園は、十四歳から十六歳までの王族を含めた全ての貴族子女が通う学校で、貴族としてのより高度な知識やマナー、それ以外にも魔法の実技などを学ぶのだけど、何より重要なのは、ここで同年代の貴族子女との交友関係を築くこと。
この国の未来を担う優秀な人材の育成を目的に作られた学園なのだから、そこで人脈づくりをするというのは確かに理にかなっていると思う。
……でも、私には無理。きっと友達だって出来っこない。
ゲームの中のジュリエットは、華やかで話し上手だっただけあって、ヒロインに対しては意地悪だったけれど、常に周りには人がいた。いわゆる取り巻きと呼ばれる人達だけれど、ジュリエットは彼女たちには慕われていた。
悪役令嬢ながら気品があって、女王然としたジュリエットはファンの間でも人気が高く、続編は是非国外追放となったジュリエットをヒロインにして欲しいという要望が強くあったらしい。
「転生してもまた一人ぼっちの学校生活かぁ……」
私は溜息をついた。
小学校も、中学も、そして高校……は一年も通えなかったけど、私には『友達』と呼べるような間柄の人は一人もいなかった。
クラスの中の空気に溶け込んだ、居てもいなくても同じ存在。それが前世での私。
そして今世でもまた同じことを繰り返すかと思うと・・・正直夢も希望もない。
どうせなら、ヒロインに転生したかったな。
そう。明日の入学式で、アルフレッド様はヒロインである、オルティア・ロータスに出会う。
ロータス男爵家の正当な血筋であるにも関わらず、幼少期に不幸な事故で両親を亡くし、後見人となった母方の叔父夫婦に冷遇されて育った、シンデレラみたいな境遇の、可憐で清楚なオルティア。
……実物はきっと物凄く可愛いんだろうな。
そんな事をモヤモヤ考えていたら、部屋の扉がノックされた。
「お嬢様……その、お客様がお見えです!」
顔を出したのは何だか慌てた様子のハンナだった。
お客様?私を訪ねてくるような人はいないと思うけど。そもそも、私にお客様の相手をされるなんて無理だってハンナは分かっているはずなのに。
不思議に思いながらも渋々扉の方へ向かった。
「ジル!」
突然何かが覆い被さってきて、私は頭が真っ白になる。
「先触れも寄越さず、急に訪ねてきてごめん。ジルを驚かせたかったんだ」
お客様とはまさかのアルフレッド様だった。
この一年のうちに殿下呼びを禁止されてしまったので今はアルフレッド様と呼んでいる。
………それはさておき、そのアルフレッド様の腕の中に私の体が収まっている。
ア、アルフレッド様に抱きしめられている……?!
あまりの恥ずかしさに、私は意識がすうっと遠のいていくのを感じた。
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