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209.不老不死の呪い(1)
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ざわり、と大気が揺れるようだった。
先程の魔法陣とも、紅い月が出現した時よりも更に禍々しく重苦しい闇の気配を感じた。
肌に触れる空気は生暖かいのに、何故かひやりとするような、それに何だか息苦しいような、妙な感じだった。
「…………場の空気が、変わった………?」
戦いを見守っていたアンネリーゼが、その気配を感じて、怪訝そうに眉を顰めた。
この距離感では何を話しているのかまでははっきりとは聞き取れなかったが、ジークヴァルトが禍月の魔女のレイピアを弾き飛ばしたのははっきりと見ていた。
だからジークヴァルトが有利だと思っていたのに。
「………ダミアンさん………、一体何が………起きているのですか………?」
得体の知れない不安に苛まれながらアンネリーゼは問いかけるが、ダミアンもふるふると首を横に振るばかりだった。
「分かりません。ただ………あの魔力の気配は…………」
ダミアンははっきりと顔を歪めた。
「あまり思い出したくもないのですが………、主があの忌まわしい呪いを受けた時のものに似ている気がします」
途端にアンネリーゼの顔色が変わった。
「ダミアンさん、それは…………っ」
「似ている、というだけで魔女が何を企んでいるのか………、何をしようとしているのかは全て推測することしか出来ませんが…………」
ダミアンは言い淀んだ。
嫌な、予感がする。
言い知れない胸騒ぎを感じたアンネリーゼは、ジークヴァルトに向けて強い視線を送った。
丁度その時、魔女のレイピアの先が、ジークヴァルトの純白の騎士服の胸元を切り裂き、ジークヴァルトの逞しい胸板が顕になるのが見て取れた。
「ジーク様っ…………!」
アンネリーゼが悲鳴に近い声を上げ、ジークヴァルトが一瞬アンネリーゼの方を見た。
その刹那、暴かれたジークヴァルトの胸元、丁度彼の心臓が埋まっている部分の肌に、禍々しい紋章が刻まれているのが見えた。
「……………っ!」
アンネリーゼは思わず息を呑んだ。
初めて目にする、愛しい人の呪いの証。
あの紋章こそが、ジークヴァルトの魂と肉体を永遠にこの世に留め、生物の理から除外させている、諸悪の根源。
理解ってはいたのに、呪いの証を目の当たりにすると、恐ろしさがこみ上げてきた。
だからこそ、ジークヴァルトはアンネリーゼの目に触れないように配慮してくれていたのだろうと今更ながら思った。
「私があげた呪いの証…………」
魔女が恍惚とした表情で呟いたのが、何故かはっきりとアンネリーゼにも聞き取れた。
先程の魔法陣とも、紅い月が出現した時よりも更に禍々しく重苦しい闇の気配を感じた。
肌に触れる空気は生暖かいのに、何故かひやりとするような、それに何だか息苦しいような、妙な感じだった。
「…………場の空気が、変わった………?」
戦いを見守っていたアンネリーゼが、その気配を感じて、怪訝そうに眉を顰めた。
この距離感では何を話しているのかまでははっきりとは聞き取れなかったが、ジークヴァルトが禍月の魔女のレイピアを弾き飛ばしたのははっきりと見ていた。
だからジークヴァルトが有利だと思っていたのに。
「………ダミアンさん………、一体何が………起きているのですか………?」
得体の知れない不安に苛まれながらアンネリーゼは問いかけるが、ダミアンもふるふると首を横に振るばかりだった。
「分かりません。ただ………あの魔力の気配は…………」
ダミアンははっきりと顔を歪めた。
「あまり思い出したくもないのですが………、主があの忌まわしい呪いを受けた時のものに似ている気がします」
途端にアンネリーゼの顔色が変わった。
「ダミアンさん、それは…………っ」
「似ている、というだけで魔女が何を企んでいるのか………、何をしようとしているのかは全て推測することしか出来ませんが…………」
ダミアンは言い淀んだ。
嫌な、予感がする。
言い知れない胸騒ぎを感じたアンネリーゼは、ジークヴァルトに向けて強い視線を送った。
丁度その時、魔女のレイピアの先が、ジークヴァルトの純白の騎士服の胸元を切り裂き、ジークヴァルトの逞しい胸板が顕になるのが見て取れた。
「ジーク様っ…………!」
アンネリーゼが悲鳴に近い声を上げ、ジークヴァルトが一瞬アンネリーゼの方を見た。
その刹那、暴かれたジークヴァルトの胸元、丁度彼の心臓が埋まっている部分の肌に、禍々しい紋章が刻まれているのが見えた。
「……………っ!」
アンネリーゼは思わず息を呑んだ。
初めて目にする、愛しい人の呪いの証。
あの紋章こそが、ジークヴァルトの魂と肉体を永遠にこの世に留め、生物の理から除外させている、諸悪の根源。
理解ってはいたのに、呪いの証を目の当たりにすると、恐ろしさがこみ上げてきた。
だからこそ、ジークヴァルトはアンネリーゼの目に触れないように配慮してくれていたのだろうと今更ながら思った。
「私があげた呪いの証…………」
魔女が恍惚とした表情で呟いたのが、何故かはっきりとアンネリーゼにも聞き取れた。
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