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22.報告(SIDE:ジークヴァルト)
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「ノイマン伯爵は、本当に碌でもない人間でしたよ」
帰還したダミアンが、開口一番にそう告げた。
「お前から見れば、ヒトなどどれも碌でもないだろう?」
ジークヴァルトは金色の双眸を、ちらりとダミアンへと向けた。
「まあ、確かにその通りですが………。では控え目に言って救いようのないクズ、率直に言ってゴミのような生き物と申し上げればよろしいでしょうか?」
ダミアンは首を傾げてみせた。
彼も魔鳥とはいえ、長い月日をジークヴァルトと共にしてきたせいで、かなりヒトという生き物には詳しくなっている。
そんなダミアンがそこまで酷評するのだから、余程酷いのだろうとジークヴァルトは薄っすらと嘲笑を浮かべた。
「………で、そいつはどんなクズなんだ?」
軽く溜息をつくと、ジークヴァルトは手にしていたペンを机に置いた。
「数年前に父親が死んで襲爵したらしいですが、贅沢三昧の生活で、社交界でも悪評の絶えない人物です。様々な女性と浮名を流していますね。領内での評判も最悪で、代替わりしてからかなり増税しているせいで、領民の不満も蓄積していました。………それから、モルゲンシュテルン侯爵家との関係ですが………どうやら、先代ノイマン伯爵との約束で、ノイマン伯爵とモルゲンシュテルン侯爵令嬢は婚約を結んでいたようですが、ノイマン伯爵はクラネルト男爵令嬢と恋仲になり、一方的にモルゲンシュテルン侯爵令嬢との婚約を破棄したようですね」
「婚約………破棄………?」
思いもよらぬダミアンの報告に、ジークヴァルトは呆然とした。
そしてすぐに、沸々と怒りが湧き上がってくるのを感じる。
アンネリーゼの隣に、堂々と立てる権利を持っていながら、彼女と共に歩む未来が約束されていながら、彼女を傷付け、彼女を捨てた事が、ジークヴァルトには許せなかった。
それがただの嫉妬であることは、ジークヴァルトも理解していた。
そして、それが理不尽な怒りであるということも。
既に、どうしようもないくらいに、アンネリーゼへの気持ちは膨らんでしまっていた。
「モルゲンシュテルン侯爵は、激怒したそうですよ。………今後一切、モルゲンシュテルン侯爵家傘下の商会と取引を禁止しただけでなく、モルゲンシュテルン侯爵領内へ足を踏み入れることも禁止したそうです。勿論侯爵令嬢には二度と会わせないと公言していますね。余程娘が可愛いのでしょう」
「………は。アンネリーゼには一切非はないのだから、当然だろう」
自分の中の怒りと、アンネリーゼへの気持ちを抑えるかのように、ジークヴァルトは拳を強く握りしめた。
帰還したダミアンが、開口一番にそう告げた。
「お前から見れば、ヒトなどどれも碌でもないだろう?」
ジークヴァルトは金色の双眸を、ちらりとダミアンへと向けた。
「まあ、確かにその通りですが………。では控え目に言って救いようのないクズ、率直に言ってゴミのような生き物と申し上げればよろしいでしょうか?」
ダミアンは首を傾げてみせた。
彼も魔鳥とはいえ、長い月日をジークヴァルトと共にしてきたせいで、かなりヒトという生き物には詳しくなっている。
そんなダミアンがそこまで酷評するのだから、余程酷いのだろうとジークヴァルトは薄っすらと嘲笑を浮かべた。
「………で、そいつはどんなクズなんだ?」
軽く溜息をつくと、ジークヴァルトは手にしていたペンを机に置いた。
「数年前に父親が死んで襲爵したらしいですが、贅沢三昧の生活で、社交界でも悪評の絶えない人物です。様々な女性と浮名を流していますね。領内での評判も最悪で、代替わりしてからかなり増税しているせいで、領民の不満も蓄積していました。………それから、モルゲンシュテルン侯爵家との関係ですが………どうやら、先代ノイマン伯爵との約束で、ノイマン伯爵とモルゲンシュテルン侯爵令嬢は婚約を結んでいたようですが、ノイマン伯爵はクラネルト男爵令嬢と恋仲になり、一方的にモルゲンシュテルン侯爵令嬢との婚約を破棄したようですね」
「婚約………破棄………?」
思いもよらぬダミアンの報告に、ジークヴァルトは呆然とした。
そしてすぐに、沸々と怒りが湧き上がってくるのを感じる。
アンネリーゼの隣に、堂々と立てる権利を持っていながら、彼女と共に歩む未来が約束されていながら、彼女を傷付け、彼女を捨てた事が、ジークヴァルトには許せなかった。
それがただの嫉妬であることは、ジークヴァルトも理解していた。
そして、それが理不尽な怒りであるということも。
既に、どうしようもないくらいに、アンネリーゼへの気持ちは膨らんでしまっていた。
「モルゲンシュテルン侯爵は、激怒したそうですよ。………今後一切、モルゲンシュテルン侯爵家傘下の商会と取引を禁止しただけでなく、モルゲンシュテルン侯爵領内へ足を踏み入れることも禁止したそうです。勿論侯爵令嬢には二度と会わせないと公言していますね。余程娘が可愛いのでしょう」
「………は。アンネリーゼには一切非はないのだから、当然だろう」
自分の中の怒りと、アンネリーゼへの気持ちを抑えるかのように、ジークヴァルトは拳を強く握りしめた。
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