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番外編
騎士団長の恋愛事情(40 SIDE:アンナ)
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頭で理解が追いつかないアンナは、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
ダンテが口にした言葉が、胸の中でぐるぐると回っているようだった。
恋しくて恋しくて、けれども決して手の届かない相手だと思っていた人から、愛の告白を受けるとは予想もしていなかった。
舞い上がりたくなってしまうような、表現し難いほどの強い喜びと、俄には信じがたいという戸惑いの気持ちがアンナを支配していて、何をどうしていいのかすら分からなかった。
いつもは堂々としていて、どんなことにも動じないダンテが、今はひどく不安そうにしている。
それに、彼は何故こんなにも苦しそうな表情をしているのだろう。
「ダンテ様…………」
震える声で、アンナは愛しい彼の名を囁いた。
「あの………顔を背けず、私を見てくれませんか…………?」
するとダンテは一瞬驚いたように瞠目し、それからゆっくりとアンナへと視線を向けてくれた。
栗色の瞳はやはり酷く不安そうに揺れている。
だがおそらく自分も同じような表情をしているのだろうとアンナは思った。
自分がダンテを慕っているというのは紛れもない事実だ。その想いはどんどん強くなり、手に負えないくらいに膨らんでいることだって自覚している。
だが、このまま彼の想いに応え、彼の手を取っていいのだろうかという葛藤が、アンナの心に生じていた。
もし自分が彼に想いを告げたら、彼はどうするだろうか。
彼には立派な身分も地位もあるが、自分には何もない。
初めから釣り合うものなど何もないのに、彼と共に歩む未来を思い描いて、本当にいいのだろうか。
己の中の劣等感と、ダンテへの想いが胸の中で鬩ぎあう。
そうして暫くの間沈黙を貫いていたアンナは、覚悟を決めたようにゆっくりと、唇を開いた。
「私も……ダンテ様のことをお慕いしております……」
口から飛び出したのは、リディアに己の気持ちを吐露したときとは真逆の、か細く消え入りそうなくらいに小さな声だった。
それでもはっきりとその声は届いていたようで、ダンテの切れ長な栗色の瞳は今まで見たこともないくらいに大きく見開かれていて、口も呆けたように半開きになっていた。
「私のような者がダンテ様をお慕いするなど、ご迷惑なのではと思って……ずっと胸に秘めていたのです。………ダンテ様………本当に、……本当に私でいいんですか?もっと立派な家柄の、素敵なご令嬢を望むことだってできるじゃないですか。それなのに……!」
正直な気持ちが、堰を切ったように溢れ出した。
また泣いてしまいそうになるのを堪えるアンナの視界を、突然大きくて分厚い胸が遮った。
ダンテが口にした言葉が、胸の中でぐるぐると回っているようだった。
恋しくて恋しくて、けれども決して手の届かない相手だと思っていた人から、愛の告白を受けるとは予想もしていなかった。
舞い上がりたくなってしまうような、表現し難いほどの強い喜びと、俄には信じがたいという戸惑いの気持ちがアンナを支配していて、何をどうしていいのかすら分からなかった。
いつもは堂々としていて、どんなことにも動じないダンテが、今はひどく不安そうにしている。
それに、彼は何故こんなにも苦しそうな表情をしているのだろう。
「ダンテ様…………」
震える声で、アンナは愛しい彼の名を囁いた。
「あの………顔を背けず、私を見てくれませんか…………?」
するとダンテは一瞬驚いたように瞠目し、それからゆっくりとアンナへと視線を向けてくれた。
栗色の瞳はやはり酷く不安そうに揺れている。
だがおそらく自分も同じような表情をしているのだろうとアンナは思った。
自分がダンテを慕っているというのは紛れもない事実だ。その想いはどんどん強くなり、手に負えないくらいに膨らんでいることだって自覚している。
だが、このまま彼の想いに応え、彼の手を取っていいのだろうかという葛藤が、アンナの心に生じていた。
もし自分が彼に想いを告げたら、彼はどうするだろうか。
彼には立派な身分も地位もあるが、自分には何もない。
初めから釣り合うものなど何もないのに、彼と共に歩む未来を思い描いて、本当にいいのだろうか。
己の中の劣等感と、ダンテへの想いが胸の中で鬩ぎあう。
そうして暫くの間沈黙を貫いていたアンナは、覚悟を決めたようにゆっくりと、唇を開いた。
「私も……ダンテ様のことをお慕いしております……」
口から飛び出したのは、リディアに己の気持ちを吐露したときとは真逆の、か細く消え入りそうなくらいに小さな声だった。
それでもはっきりとその声は届いていたようで、ダンテの切れ長な栗色の瞳は今まで見たこともないくらいに大きく見開かれていて、口も呆けたように半開きになっていた。
「私のような者がダンテ様をお慕いするなど、ご迷惑なのではと思って……ずっと胸に秘めていたのです。………ダンテ様………本当に、……本当に私でいいんですか?もっと立派な家柄の、素敵なご令嬢を望むことだってできるじゃないですか。それなのに……!」
正直な気持ちが、堰を切ったように溢れ出した。
また泣いてしまいそうになるのを堪えるアンナの視界を、突然大きくて分厚い胸が遮った。
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