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番外編
騎士団長の恋愛事情(2)
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「………我が家で、そちらのお嬢さんを………?」
国王として即位したばかりのエドアルドから、その提案を聞かされた時、ダンテは驚愕した。
そこに立っていたのは、亜麻色の髪に榛色の瞳の、ふんわりとした雰囲気の小柄な少女だった。
「は、初めまして!アンナと申しますっ。どうぞ、よろしくお願い致しますっ」
まだあどけなさの残るその少女は、妹のリディアとは一つ年下の十八だと言うが、年齢よりも幼く見えた。
そして何より、彼女は今まで先王フィリッポの後宮で、エドアルドの想い人であるクラリーチェの侍女として働いていたと聞いて更に驚く。
「クラリーチェがこの娘の事をかなり信頼している。これから先の事を考えると、こちらの味方は少しでも多いほうがいいだろう」
エドアルドの水色の瞳が、鋭さを増す。
己の主が何を言わんとしているのかを察し、ダンテも頷いた。
「確かに、その通りですが………こちらのお嬢さんの身元は確かなのですか?………それに、我が家で身柄を預かるということが、どういうことなのかを、彼女は理解しているのですか?」
ダンテがちらりとアンナに視線を移すと、アンナはびくりと体を強張らせる。
その様子はまるで、肉食の獣に遭遇した哀れな子ウサギのようだった。
「………確か王都にあった小さな雑貨店の娘だったそうだが、両親を早くに亡くし、住み込みで働ける場所を探し、後宮の下女になったのだな?」
「は、はい!そのとおりでございます!」
問いかけられたアンナは勢いよく返事をするが、どこかおどおどとした様子で、落ち着かないようだった。
「………その働きぶりが認められ、クラリーチェ嬢が後宮入りした際に彼女の侍女になったらしい。恐らくは平民出身ということが大きかったのだろうが………女官長であるフェラーラ侯爵夫人の人選だったので、警戒してリディアに探らせた。だが、ブラマーニ公爵家との繋がりは一切なかったから安心しろ。………それに、コルシーニ伯爵夫妻は既に今回の件を快諾しているし、その娘もコルシーニ家の教育を受けることを望んでいる。…………しっかり面倒を見てやれ」
エドアルドはにやりと嗤う。
流石に、神童と謳われた王と言うべきか。いつもの事ながら、その素早く正確な仕事ぶりに、ダンテは安堵の笑みを漏らした。
「…………承知致しました」
ダンテが軽く頭を下げると、アンナの榛色の大きな瞳が嬉しそうに輝くのが見えた。
この小柄な、虫も殺せないような少女がコルシーニの辛い訓練に耐えられるのだろうかとダンテは一抹の不安を覚えたのだった。
国王として即位したばかりのエドアルドから、その提案を聞かされた時、ダンテは驚愕した。
そこに立っていたのは、亜麻色の髪に榛色の瞳の、ふんわりとした雰囲気の小柄な少女だった。
「は、初めまして!アンナと申しますっ。どうぞ、よろしくお願い致しますっ」
まだあどけなさの残るその少女は、妹のリディアとは一つ年下の十八だと言うが、年齢よりも幼く見えた。
そして何より、彼女は今まで先王フィリッポの後宮で、エドアルドの想い人であるクラリーチェの侍女として働いていたと聞いて更に驚く。
「クラリーチェがこの娘の事をかなり信頼している。これから先の事を考えると、こちらの味方は少しでも多いほうがいいだろう」
エドアルドの水色の瞳が、鋭さを増す。
己の主が何を言わんとしているのかを察し、ダンテも頷いた。
「確かに、その通りですが………こちらのお嬢さんの身元は確かなのですか?………それに、我が家で身柄を預かるということが、どういうことなのかを、彼女は理解しているのですか?」
ダンテがちらりとアンナに視線を移すと、アンナはびくりと体を強張らせる。
その様子はまるで、肉食の獣に遭遇した哀れな子ウサギのようだった。
「………確か王都にあった小さな雑貨店の娘だったそうだが、両親を早くに亡くし、住み込みで働ける場所を探し、後宮の下女になったのだな?」
「は、はい!そのとおりでございます!」
問いかけられたアンナは勢いよく返事をするが、どこかおどおどとした様子で、落ち着かないようだった。
「………その働きぶりが認められ、クラリーチェ嬢が後宮入りした際に彼女の侍女になったらしい。恐らくは平民出身ということが大きかったのだろうが………女官長であるフェラーラ侯爵夫人の人選だったので、警戒してリディアに探らせた。だが、ブラマーニ公爵家との繋がりは一切なかったから安心しろ。………それに、コルシーニ伯爵夫妻は既に今回の件を快諾しているし、その娘もコルシーニ家の教育を受けることを望んでいる。…………しっかり面倒を見てやれ」
エドアルドはにやりと嗤う。
流石に、神童と謳われた王と言うべきか。いつもの事ながら、その素早く正確な仕事ぶりに、ダンテは安堵の笑みを漏らした。
「…………承知致しました」
ダンテが軽く頭を下げると、アンナの榛色の大きな瞳が嬉しそうに輝くのが見えた。
この小柄な、虫も殺せないような少女がコルシーニの辛い訓練に耐えられるのだろうかとダンテは一抹の不安を覚えたのだった。
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