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番外編
新婚旅行(28)
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それから暫く、ルクレツィオとレアンドロにより二人が結婚に至った経緯について白状させられたが、それによりエドアルドの態度も次第に軟化していった。
「せっかくの舞踏会だというのに、随分と話し込んでしまいました。でもお陰でとても興味深く楽しい………まるで巷で流行っている恋物語さながらのお話が聞けました」
「………そうか」
レアンドロの言葉に、何故か少し引き攣った笑みを浮かべたエドアルドがぎゅっとクラリーチェの手を握り締めた。
「愛しい我が妃も少し疲れてしまったようだから、悪いと思っているのなら、そろそろ解放してくれ」
するとレアンドロが苦笑いしながら、バルコニーを指さした。
「少し、夜風に当たられるといいでしょう。キエザ王宮での夜景は港までを見渡せる素晴らしいものですが、我が国の夜景もなかなか美しいですよ」
「まあ、それは是非拝見させて頂けねばなりませんわね」
にこりと笑みを浮かべたクラリーチェに、ルクレツィオ達は大きく頷いた。
「本当に、お幸せそうで何よりです」
「………ああ。お前たちも結婚したら、新婚旅行にはキエザを選ぶといい。もてなしてやるぞ」
「ええ、是非そうさせて頂きます」
ルクレツィオ達に向けて、水色の瞳に薄く笑顔を浮かべると、クラリーチェの腰へと手を回して、ゆったりとした足取りで開放されたバルコニーへと向かったのだった。
「本当に、オズヴァルドは素敵な国ですね」
給仕からノンアルコールカクテルを受け取るとゆっくりと口の中で転がしてから飲み込むと、ほんのり柑橘類の香りが立ち上る。
ルクレツィオの言うとおり、美しく幻想的なオズヴァルドの夜景は、この国の豊かさを象徴しているようだった。
「そうだな。………私も、負けないように頑張らねばならないな」
カクテルのグラスの中に月が浮び上がる。
美しく平穏な月を眩しそうに眺めながら、エドアルドは目を細めた。
「私も、微力ではありますがお手伝い致しますわ。………二人で、キエザをより素敵な国にしていかれるように努めて参りましょう」
クラリーチェが、月明かりを浴びながらふわりと微笑んだ。
「………本当に、貴女には敵わない」
エドアルドは堪らないと行った様子で、クラリーチェをぎゅっと抱き締めた。
「エ………エドアルド様?ここからですと皆様に見えてしまいます………」
ホールからの続きになったバルコニーは開け放たれ、こちらの様子を覗こうと思えば簡単に見えることをクラリーチェは気にしているようだった。
「………そんなもの、構わない。見たい奴には見せておけ」
エドアルドはにやりと笑うと、己の広い背中をホール側に向けてクラリーチェの体を覆い隠すと、そのままクラリーチェの唇へと口づけたのだった。
「せっかくの舞踏会だというのに、随分と話し込んでしまいました。でもお陰でとても興味深く楽しい………まるで巷で流行っている恋物語さながらのお話が聞けました」
「………そうか」
レアンドロの言葉に、何故か少し引き攣った笑みを浮かべたエドアルドがぎゅっとクラリーチェの手を握り締めた。
「愛しい我が妃も少し疲れてしまったようだから、悪いと思っているのなら、そろそろ解放してくれ」
するとレアンドロが苦笑いしながら、バルコニーを指さした。
「少し、夜風に当たられるといいでしょう。キエザ王宮での夜景は港までを見渡せる素晴らしいものですが、我が国の夜景もなかなか美しいですよ」
「まあ、それは是非拝見させて頂けねばなりませんわね」
にこりと笑みを浮かべたクラリーチェに、ルクレツィオ達は大きく頷いた。
「本当に、お幸せそうで何よりです」
「………ああ。お前たちも結婚したら、新婚旅行にはキエザを選ぶといい。もてなしてやるぞ」
「ええ、是非そうさせて頂きます」
ルクレツィオ達に向けて、水色の瞳に薄く笑顔を浮かべると、クラリーチェの腰へと手を回して、ゆったりとした足取りで開放されたバルコニーへと向かったのだった。
「本当に、オズヴァルドは素敵な国ですね」
給仕からノンアルコールカクテルを受け取るとゆっくりと口の中で転がしてから飲み込むと、ほんのり柑橘類の香りが立ち上る。
ルクレツィオの言うとおり、美しく幻想的なオズヴァルドの夜景は、この国の豊かさを象徴しているようだった。
「そうだな。………私も、負けないように頑張らねばならないな」
カクテルのグラスの中に月が浮び上がる。
美しく平穏な月を眩しそうに眺めながら、エドアルドは目を細めた。
「私も、微力ではありますがお手伝い致しますわ。………二人で、キエザをより素敵な国にしていかれるように努めて参りましょう」
クラリーチェが、月明かりを浴びながらふわりと微笑んだ。
「………本当に、貴女には敵わない」
エドアルドは堪らないと行った様子で、クラリーチェをぎゅっと抱き締めた。
「エ………エドアルド様?ここからですと皆様に見えてしまいます………」
ホールからの続きになったバルコニーは開け放たれ、こちらの様子を覗こうと思えば簡単に見えることをクラリーチェは気にしているようだった。
「………そんなもの、構わない。見たい奴には見せておけ」
エドアルドはにやりと笑うと、己の広い背中をホール側に向けてクラリーチェの体を覆い隠すと、そのままクラリーチェの唇へと口づけたのだった。
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