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番外編
新婚旅行(26)
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一通りの挨拶を済ませると、クラリーチェはエドアルドとともに用意された椅子へと腰を下ろした。
「お久しぶりです、エドアルド兄上」
「お元気そうで、なによりです」
突然、年若い二人の貴公子がエドアルドに声をかけてきた。
「ルクレツィオにレアンドロか。久しいな」
二人の表情を見た途端にエドアルドの表情がぱっと明るくなる。
「リベラート兄上が私達を扱き使うので中々お会い出来る機会が持てず、ご挨拶が今頃になってしまいました」
一人はややくせの強い栗色の髪に、蒼の瞳、もう一人は真っ直ぐな栗色の長髪に蒼の瞳。どちらも背が高く、そしてリベラートとよく似た顔立ちをしていた。
リベラートを兄と呼んでいるところからも、彼らがリベラートの弟である事は容易に推測出来た。
「遊びに来たわけではなく、視察だからな。そんなにも多忙なのであればわざわざ顔を出さずとも良かったのに…………」
「相変わらずですね、エドアルド兄上」
愉しそうに含み笑いをすると、二人はエドアルドの隣に佇むクラリーチェへと視線を向けた。
「お会いするのは初めてですよね、妃殿下。私はオズヴァルド王国第二王子のルクレツィオと申します」
くせ毛の青年が、柔らかな笑みを浮かべて丁寧に挨拶をすると、もう一人もそれに倣う。
「同じく、オズヴァルド王国第三王子のレアンドロと申します。麗しき妃殿下にこうしてお目にかかれましたこと、嬉しく思います」
「ご丁寧にありがとうございます。オズヴァルドはとても素敵な国ですね」
クラリーチェがふわりと微笑みかけると、途端にエドアルドの表情が険しくなった。
「何という顔をなさっているんですか、エドアルド兄上」
それに気がついたルクレツィオが笑いをを堪えるかのような表情でエドアルドを見る。
「煩い。お前はともかく、レアンドロは未だ婚約者がいない。そういう輩はクラリーチェに近づけたくないのだ」
エドアルドが威嚇するかのような表情で白状すると、我慢しきれなくなったらしいルクレツィオとレアンドロが、笑いだした。
「本当に皆が言うとおり、あのエドアルド兄上が………!」
「女性絡みで嫉妬心丸出しになるエドアルド兄上を見れる日が来るなんて………!」
大笑いする二人の前で、エドアルドは憮然とした表情を浮かべ、クラリーチェは呆気にとられる。
エドアルドの女嫌いはキエザ国内でも有名だったが、それを耳にしたときは、そこまで酷いとはクラリーチェも思っていなかった。
彼という人物を知れば知るほど、彼の周囲から驚きの声が上がり、クラリーチェは彼が自分を好いてくれたという奇跡を神に感謝するのだった。
「お久しぶりです、エドアルド兄上」
「お元気そうで、なによりです」
突然、年若い二人の貴公子がエドアルドに声をかけてきた。
「ルクレツィオにレアンドロか。久しいな」
二人の表情を見た途端にエドアルドの表情がぱっと明るくなる。
「リベラート兄上が私達を扱き使うので中々お会い出来る機会が持てず、ご挨拶が今頃になってしまいました」
一人はややくせの強い栗色の髪に、蒼の瞳、もう一人は真っ直ぐな栗色の長髪に蒼の瞳。どちらも背が高く、そしてリベラートとよく似た顔立ちをしていた。
リベラートを兄と呼んでいるところからも、彼らがリベラートの弟である事は容易に推測出来た。
「遊びに来たわけではなく、視察だからな。そんなにも多忙なのであればわざわざ顔を出さずとも良かったのに…………」
「相変わらずですね、エドアルド兄上」
愉しそうに含み笑いをすると、二人はエドアルドの隣に佇むクラリーチェへと視線を向けた。
「お会いするのは初めてですよね、妃殿下。私はオズヴァルド王国第二王子のルクレツィオと申します」
くせ毛の青年が、柔らかな笑みを浮かべて丁寧に挨拶をすると、もう一人もそれに倣う。
「同じく、オズヴァルド王国第三王子のレアンドロと申します。麗しき妃殿下にこうしてお目にかかれましたこと、嬉しく思います」
「ご丁寧にありがとうございます。オズヴァルドはとても素敵な国ですね」
クラリーチェがふわりと微笑みかけると、途端にエドアルドの表情が険しくなった。
「何という顔をなさっているんですか、エドアルド兄上」
それに気がついたルクレツィオが笑いをを堪えるかのような表情でエドアルドを見る。
「煩い。お前はともかく、レアンドロは未だ婚約者がいない。そういう輩はクラリーチェに近づけたくないのだ」
エドアルドが威嚇するかのような表情で白状すると、我慢しきれなくなったらしいルクレツィオとレアンドロが、笑いだした。
「本当に皆が言うとおり、あのエドアルド兄上が………!」
「女性絡みで嫉妬心丸出しになるエドアルド兄上を見れる日が来るなんて………!」
大笑いする二人の前で、エドアルドは憮然とした表情を浮かべ、クラリーチェは呆気にとられる。
エドアルドの女嫌いはキエザ国内でも有名だったが、それを耳にしたときは、そこまで酷いとはクラリーチェも思っていなかった。
彼という人物を知れば知るほど、彼の周囲から驚きの声が上がり、クラリーチェは彼が自分を好いてくれたという奇跡を神に感謝するのだった。
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