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番外編
新婚旅行(22)
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「とても可愛らしいでしょう?」
アルベルタが得意そうに笑みを浮かべると、ドロエット公爵夫人は満足そうに頷いた。
「可愛らしいなんてものではありませんわ!想像以上の、素晴らしい方だわ」
「あ、あの………お褒めに預かり、光栄ですわ………」
冷遇され続けてきたせいで自分に自信がなかったクラリーチェは、近頃になって漸く他人からの褒め言葉に慣れてきたところだったが、こう手放しに褒められるのにはまだまだ抵抗があるようだった。
「それにしてもあのエドアルド殿下………いえ、陛下が妃を迎える日が来るだなんて…………」
ドロエット公爵夫人はエドアルドをまじまじと見つめた。
「………ドロエット公爵夫人。まるで私が妃を娶ったのが奇跡のような言い方ですね?」
「あら!あなたという人間を知っている者なら誰もが同じことを考えているはずよ?あれだけ女性を嫌っていたエドが、一目惚れした令嬢との初恋を成就させただなんて………初めは冗談だと思ったわ」
「伯母上…………」
口元に扇を当ててふふふ、と上品に笑うアルベルタの横で、ドロエット公爵夫人も大きく頷いた。
「殿下の女性嫌いは筋金入りでしたものね。私は教育係だったから良かったものの、同じくらいの令嬢が話し掛けても一言もお話にならないし、それどころか令嬢に目を向ける事すらも嫌がられて…………」
「エドは特にリオネッラ様によく似ていて子供の頃から可愛らしかったから、年齢を問わずに女性の関心を引いてしまったのよねぇ。まさに天使のような子供だったわ」
「そうでしたわね。オズヴァルドへと来た時に、私のドレスの裾に隠れていた頃が昨日の事のように思い出されますわ」
「まあ…………。リベラート殿下やラファエロ様からは幼い頃のお話を少しお聞きしたことはありますけれど、エドアルド様はそんなに可愛らしかったのですね」
アルベルタのお茶会の席に、ドロエット公爵夫人が招かれていたと知った時にさっさと退席しておけば良かったと、エドアルドは盛大に後悔した。
明らかに、話が嫌な方向に向かっている。
何しろアルベルタとドロエット公爵夫人そしてヴァレリオはエドアルドが頭が上がらないと自認している数少ない人物だ。
そのうちの二人がこの場にいるのだから、エドアルドにとってはこの上なく居心地が悪かった。
だが、自分のせいで足腰が立たなくなってしまったクラリーチェを一人残してこの場を去るという選択肢はエドアルドにはなかった。
「……………」
嫌な予感を残しながら、エドアルドは憮然とした表情でお茶を啜るのだった。
アルベルタが得意そうに笑みを浮かべると、ドロエット公爵夫人は満足そうに頷いた。
「可愛らしいなんてものではありませんわ!想像以上の、素晴らしい方だわ」
「あ、あの………お褒めに預かり、光栄ですわ………」
冷遇され続けてきたせいで自分に自信がなかったクラリーチェは、近頃になって漸く他人からの褒め言葉に慣れてきたところだったが、こう手放しに褒められるのにはまだまだ抵抗があるようだった。
「それにしてもあのエドアルド殿下………いえ、陛下が妃を迎える日が来るだなんて…………」
ドロエット公爵夫人はエドアルドをまじまじと見つめた。
「………ドロエット公爵夫人。まるで私が妃を娶ったのが奇跡のような言い方ですね?」
「あら!あなたという人間を知っている者なら誰もが同じことを考えているはずよ?あれだけ女性を嫌っていたエドが、一目惚れした令嬢との初恋を成就させただなんて………初めは冗談だと思ったわ」
「伯母上…………」
口元に扇を当ててふふふ、と上品に笑うアルベルタの横で、ドロエット公爵夫人も大きく頷いた。
「殿下の女性嫌いは筋金入りでしたものね。私は教育係だったから良かったものの、同じくらいの令嬢が話し掛けても一言もお話にならないし、それどころか令嬢に目を向ける事すらも嫌がられて…………」
「エドは特にリオネッラ様によく似ていて子供の頃から可愛らしかったから、年齢を問わずに女性の関心を引いてしまったのよねぇ。まさに天使のような子供だったわ」
「そうでしたわね。オズヴァルドへと来た時に、私のドレスの裾に隠れていた頃が昨日の事のように思い出されますわ」
「まあ…………。リベラート殿下やラファエロ様からは幼い頃のお話を少しお聞きしたことはありますけれど、エドアルド様はそんなに可愛らしかったのですね」
アルベルタのお茶会の席に、ドロエット公爵夫人が招かれていたと知った時にさっさと退席しておけば良かったと、エドアルドは盛大に後悔した。
明らかに、話が嫌な方向に向かっている。
何しろアルベルタとドロエット公爵夫人そしてヴァレリオはエドアルドが頭が上がらないと自認している数少ない人物だ。
そのうちの二人がこの場にいるのだから、エドアルドにとってはこの上なく居心地が悪かった。
だが、自分のせいで足腰が立たなくなってしまったクラリーチェを一人残してこの場を去るという選択肢はエドアルドにはなかった。
「……………」
嫌な予感を残しながら、エドアルドは憮然とした表情でお茶を啜るのだった。
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