冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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番外編

新婚旅行(21)

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覚悟しておいたほうがいい、というリベラートの忠告が何となく分かった気がした。

翌日に予定されていた王妃アルベルタのお茶会が急遽前倒しになったが、自力で歩けないクラリーチェは不本意ながらエドアルドに付き添って貰うことになったのも、本来ならばエドアルドは伯父であるヴァレリオと共に意見交換をする予定だったのが、『ヴァレリオは再起不能で今日一日の政務は取り消し』になったために、図らずも丸々予定が空いてしまったというのも、どこかで裏で糸を引いているに違いなかったからだ。

「………伯母上。一体伯父上に何を………?」
「ふふ。………世の中はね、『因果応報』と言う言葉があるの。自分がした事は必ず自分に跳ね返ってくるのよ?………怖いわねえ………?」

穏やかな笑みを浮かべたまま、アルベルタが一口お茶を飲むと、ほうっと溜息をつく。
因果応報………と言うことはやはりらクラリーチェに酒を飲ませた件に関係があるのは間違いないのだが、一体が起きたのかははぐらかされてしまい、真相を聞くことは出来なかった。

暫くすると、ストロベリーブロンドと紺碧の瞳の壮年女性が姿を現した。

「まあ!王太子殿下の顔を見るだなんていつぶりかしら?」

溌剌としたその女性は満面の笑みを浮かべて近づいてくるが、誰かに似ている気がして、クラリーチェは失礼かと思いながらもじっと女性を見つめた。

「ドロエット公爵夫人、私はもう即位したのですが………」
「ああ!そう言えばそうだったわね。即位式もきちんと行わなかったせいですっかり忘れてしまっていたわ。………でも、きちんと結婚式はあげたらしいじゃない」

派手すぎず、かといって地味すぎないのに彼女の良い部分を上手く強調したデザインのドレスの裾を整えると、女性がふわりとクラリーチェに笑いかけた。

「この方が、そうなのですね?………紹介してくださらないのですか?」
「ああ………そうだったな」

エドアルドは微笑むと、クラリーチェに女性の紹介を始めた。

「クラリーチェ、こちらはドロエット公爵夫人………リリアーナ嬢の伯母に当たる方で、幼い頃の私とラファエロの教育係を務めた人だ。………そしてドロエット公爵夫人、彼女が我が愛しい妃、クラリーチェだ」

エドアルドの紹介で、漸く誰に似ているのかの認識が出来た。
言われてみれば、髪も瞳も、そして仕草もリリアーナとよく似ている。
そういえば以前リベラートがキエザを訪問した際にリリアーナの伯母の話が出たことを、今になって思い出した。
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