冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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番外編

新婚旅行(20)

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結局、クラリーチェはその日、腰痛だけではなく、全く足に力も入らない状態だった。

「あの………、私は部屋で休んでおりますので…………っ!」
「気にするな。そもそも昨夜の件は伯父上が悪い」

昨夜の晩餐の席で、クラリーチェに酒が提供されたという事をエドアルドから聞かされたものの、それととは話は別だ。
というのも、まともに立ち上がることさえ出来ないクラリーチェを、エドアルドは横抱きにして移動しようとしているのだ。

「ですがエドアルド様っ………」
「おや、朝から仲睦まじい事だな」

何とか降ろしてもらおうとしていると、リベラートとジゼルに遭遇した。

「あ、あの………これはっ………」

事情を説明しようとしたクラリーチェは、はっとした。
自分は何を暴露しようとしているのだろう。
まさか、足腰が立たなくなったので抱き抱えられているなどと知れたら、しかもそれを自らの口から告白するなど、慚愧に堪えないどころの話ではない。

「………本当に、お前はこれ以上ないくらいに素晴らしい妃を迎えたな。美しく聡明で完璧な淑女なのに可愛らしいところもあるとは…………」

リベラートがふっと嗤って目を細めると、横でコホン、とジゼルが咳払いをした。

「あら、私には可愛らしいところが無くて申し訳ありませんでしたわね」
「………嫉妬かい、ジジ?私にとって君以上に魅力的で素敵な女性はいないさ」

そっとジゼルを抱き寄せて額へと口付けをするリベラートとそれを平然と受け入れているジゼルは流石としか言いようがない。


「………クラリーチェがこうなったのは伯父上とリベラートのせいだからな」
「………ふ。まだまだ子供だな、エドアルド。あまり露骨にそういう事を口に出すのはデリカシーに欠ける。特に初心なレディを伴っている時は、言葉を選んだ方がいいぞ?」
「…………っ!」

リベラートの言葉の意味を瞬時に理解したエドアルドとクラリーチェは、示し合わせたかのように、同時に顔を真っ赤に染めていく。

「ついでに、父上は昨晩母上からこってりと絞られたようで今日は再起不能だ。よって今宵の舞踏会は明日の夜に延期にしておいた。代わりに明日の予定を繰り上げるからしておいたほうがいいぞ?」

再起不能とは、オズヴァルド国王夫妻の間で何が行われたのだろうか。………気になったが、何故か聞いてはいけない事のような気がして、聞くことが出来ない。
しかしそれよりも、覚悟しておかねばならない予定とは一体何なのだろう。

クラリーチェがエドアルドを見上げると、何故かエドアルドは複雑そうな表情を浮かべているのだった。
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