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番外編
新婚旅行(7)
しおりを挟む「随分とゆっくりデートを楽しんできたようだな」
晩餐の席につくと、すかさずリベラートがエドアルドをからかう。
「仲睦まじくて、何よりですわね」
クラリーチェの隣に座るリベラートの妃ジゼルが微笑みかけてきて、クラリーチェもそれに応える。
「明日は、どちらに視察へ行かれるのですか?」
「あまり詳しくは聞いてはおりませんけれど………、明日は王都を見て回る予定なのだそうですわ。何か、お勧めの場所はありますでしょうか?」
「あら、それならスカーレット歌劇場はいかがかしら?二人きりで歌劇場を貸し切って歌劇鑑賞………きっと新婚旅行のいい思い出になるわよ」
「まあ、王妃様!それは素敵なアイディアですわ。クラリーチェ様、是非見に行ってくださいな」
「え、ええ………」
そう遠くない未来に義妹になるリリアーナも中々押しの強い女性だと思っていたが、どうやらオズヴァルド王家の女性陣はそれ以上のようだった。
以前、女性が活き活きと暮らす国は発展するという記述を見かけたことがあったが、オズヴァルドを見ていると、それは真実だという気がしてくる。
それを知れただけでも、この国を訪れて良かったとクラリーチェは思った。
「…………そう言い出すだろうと思って明日は歌劇場は一日抑えてあるぞ」
幸福感を噛み締めていた矢先、突然に告げられたヴァレリオの発言に、一同は一斉に顔を挙げて、ぎょっとした顔をヴァレリオへと向けた。
「伯父上?!」
「父上っ?!そんなの、聞いておりませんよ?」
エドアルドとリベラートが同時に叫んだ。
「ははは。………別に驚くことでもあるまい。少しばかり王家の権力を駆使して、想い出づくりの一助をしただけだ。かわいい甥夫婦への、私からの結婚祝いだとでも思ってくれればなおのこと幸せだな」
結婚祝いの為に、王家の権力を駆使するだなんて、信じられない気持ちでいっぱいだが、同時にそこまでしてくれるヴァレリオには、感謝しかなかった。
「役者も、楽団も、最高の者たちを選んでおいたからな。存分に楽しんで来るといい。演目のリストも作成済みだから、好きなものを選びなさい」
慈愛の笑顔、というのはこういうものを差すのだろうという完璧な笑顔を湛えたヴァレリオに、エドアルドは何故かはにかんで頷いた。
「………しかし、これは公私混同と言われるのでははないかと……。尤も、それが父上らしいと言われれば、それまでですね」
ぼそっと人知れず、リベラートかそう呟いたのを知るものは、誰もいなかったのだという。
晩餐の席につくと、すかさずリベラートがエドアルドをからかう。
「仲睦まじくて、何よりですわね」
クラリーチェの隣に座るリベラートの妃ジゼルが微笑みかけてきて、クラリーチェもそれに応える。
「明日は、どちらに視察へ行かれるのですか?」
「あまり詳しくは聞いてはおりませんけれど………、明日は王都を見て回る予定なのだそうですわ。何か、お勧めの場所はありますでしょうか?」
「あら、それならスカーレット歌劇場はいかがかしら?二人きりで歌劇場を貸し切って歌劇鑑賞………きっと新婚旅行のいい思い出になるわよ」
「まあ、王妃様!それは素敵なアイディアですわ。クラリーチェ様、是非見に行ってくださいな」
「え、ええ………」
そう遠くない未来に義妹になるリリアーナも中々押しの強い女性だと思っていたが、どうやらオズヴァルド王家の女性陣はそれ以上のようだった。
以前、女性が活き活きと暮らす国は発展するという記述を見かけたことがあったが、オズヴァルドを見ていると、それは真実だという気がしてくる。
それを知れただけでも、この国を訪れて良かったとクラリーチェは思った。
「…………そう言い出すだろうと思って明日は歌劇場は一日抑えてあるぞ」
幸福感を噛み締めていた矢先、突然に告げられたヴァレリオの発言に、一同は一斉に顔を挙げて、ぎょっとした顔をヴァレリオへと向けた。
「伯父上?!」
「父上っ?!そんなの、聞いておりませんよ?」
エドアルドとリベラートが同時に叫んだ。
「ははは。………別に驚くことでもあるまい。少しばかり王家の権力を駆使して、想い出づくりの一助をしただけだ。かわいい甥夫婦への、私からの結婚祝いだとでも思ってくれればなおのこと幸せだな」
結婚祝いの為に、王家の権力を駆使するだなんて、信じられない気持ちでいっぱいだが、同時にそこまでしてくれるヴァレリオには、感謝しかなかった。
「役者も、楽団も、最高の者たちを選んでおいたからな。存分に楽しんで来るといい。演目のリストも作成済みだから、好きなものを選びなさい」
慈愛の笑顔、というのはこういうものを差すのだろうという完璧な笑顔を湛えたヴァレリオに、エドアルドは何故かはにかんで頷いた。
「………しかし、これは公私混同と言われるのでははないかと……。尤も、それが父上らしいと言われれば、それまでですね」
ぼそっと人知れず、リベラートかそう呟いたのを知るものは、誰もいなかったのだという。
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