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番外編
とある騎士の苦悩(2 SIDE:ダンテ他)
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暫く様子を見ようと思ったダンテが、自分の考えが間違っていたということに気がついたのはそれから一ヶ月程が経ってからだった。
そもそも近衛騎士の任務は、王をはじめとした王族の身辺警護が主な仕事となる。
そのため昼夜を問わずに見回りをする必要があり、交代制で二十四時間王族のプライベートエリアで見張りをする必要がある。
だが、エドアルドによる早朝稽古が始まって以来、その交代制がゆらぎ始めた。
夜勤の者以外は基本的に朝三時に叩き起こされたかと思うと、問答無用で鍛錬場に連行され、みっちり五時間程度の鍛錬が始まる。
はじめの頃こそ、国王自らが稽古をつけてくれるとあって騎士達も喜々として参加していたが、その壮絶なメニューに段々と生気が抜けたようになり、最終的には、精根尽き果てた状態になっているのだった。
かろうじて食事を取り、休憩時間には短い睡眠を補う為に壁に寄りかかったまま眠る者まで現れる始末だった。
「………退団希望者が殺到しております。………いかが致しましょう?」
当然の結果といえば、そのとおりだ。
あまりのキツさに、退団希望者が殺到することとなったのだ。
困り果てたダンテは、エドアルドを止めることが出来る人物………ラファエロに泣きつくことにしたのだった。
「そうですか………。まあ当然と言えば当然の結果なのでしょうけれど…………」
ラファエロは苦笑いを浮かべる。
「もう少しの間で結構ですから、退団希望者の面々を、説得していただけませんか?」
無理難題とまではいかないにしても、ダンテ自身が神経を摩耗している状態で、ラファエロの言葉は死刑宣告のようにすら聞こえた。
「………俺に拒否権など、ありませんよね………」
深く深い溜息をついたダンテに、ラファエロはにこりと微笑みかける。
「とりあえず政敵は消滅しましたし、当面の間は他国と争うような不穏な動きもおりませんから、多少は警備が手薄になっても大丈夫です。それに、兄上の剣の腕は天下無双ですからね。いい勉強になるのではないですか?」
「あ、いや………まあ、そうですけれど………」
流石はエドアルドの懐刀と呼ばれる逸材だけあって、ダンテの懇願は呆気なくラファエロに言い包められて終わってしまっていた。
「この試練を乗り越えてこその、近衛騎士団です。私も一緒に鍛錬に付き合いますので、頑張りましょう」
「は………はい!」
しまった、と気がついたときには、遅かった。
ついうっかり、ラファエロの口車に載せられて返事をしてしまったということを、激しく後悔するのであった。
そもそも近衛騎士の任務は、王をはじめとした王族の身辺警護が主な仕事となる。
そのため昼夜を問わずに見回りをする必要があり、交代制で二十四時間王族のプライベートエリアで見張りをする必要がある。
だが、エドアルドによる早朝稽古が始まって以来、その交代制がゆらぎ始めた。
夜勤の者以外は基本的に朝三時に叩き起こされたかと思うと、問答無用で鍛錬場に連行され、みっちり五時間程度の鍛錬が始まる。
はじめの頃こそ、国王自らが稽古をつけてくれるとあって騎士達も喜々として参加していたが、その壮絶なメニューに段々と生気が抜けたようになり、最終的には、精根尽き果てた状態になっているのだった。
かろうじて食事を取り、休憩時間には短い睡眠を補う為に壁に寄りかかったまま眠る者まで現れる始末だった。
「………退団希望者が殺到しております。………いかが致しましょう?」
当然の結果といえば、そのとおりだ。
あまりのキツさに、退団希望者が殺到することとなったのだ。
困り果てたダンテは、エドアルドを止めることが出来る人物………ラファエロに泣きつくことにしたのだった。
「そうですか………。まあ当然と言えば当然の結果なのでしょうけれど…………」
ラファエロは苦笑いを浮かべる。
「もう少しの間で結構ですから、退団希望者の面々を、説得していただけませんか?」
無理難題とまではいかないにしても、ダンテ自身が神経を摩耗している状態で、ラファエロの言葉は死刑宣告のようにすら聞こえた。
「………俺に拒否権など、ありませんよね………」
深く深い溜息をついたダンテに、ラファエロはにこりと微笑みかける。
「とりあえず政敵は消滅しましたし、当面の間は他国と争うような不穏な動きもおりませんから、多少は警備が手薄になっても大丈夫です。それに、兄上の剣の腕は天下無双ですからね。いい勉強になるのではないですか?」
「あ、いや………まあ、そうですけれど………」
流石はエドアルドの懐刀と呼ばれる逸材だけあって、ダンテの懇願は呆気なくラファエロに言い包められて終わってしまっていた。
「この試練を乗り越えてこその、近衛騎士団です。私も一緒に鍛錬に付き合いますので、頑張りましょう」
「は………はい!」
しまった、と気がついたときには、遅かった。
ついうっかり、ラファエロの口車に載せられて返事をしてしまったということを、激しく後悔するのであった。
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