冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

文字の大きさ
上 下
135 / 268
本編

210.海との結婚

しおりを挟む
騙された?
「シャル、早く逃げろ…こいつと戦うのは無謀だ。」
倒れたオルクスが言う。
「逃げるのも無謀ですよ。」
銃口をこちらに向けるプロフェート。
ヨシュカである俺の力ならば、倒せる気がする。しかし、あのオルクスがこうして倒れている事はオルクスの言葉を裏付けていた。その上銃があっては下手に動けない。つまり、プロフェートから逃げる事も不可能だ。
オルクスの血は止まらない。いつの間にかhpが表示されている。この空間は謎だが、プロフェートが作ったというのなら仕様も自由自在なのだろう。オルクスは死ぬのか?今はあまりその事が気にならなかった。俺を助けてくれたけど、その命が今危ないのだから仕方ない。
自分の力を信じて戦うか?
オルクスの言葉を信じて逃げるか?
俺にはその選択が出来そうにない。
俺に関わった人は皆死んでいく。それならもういっそ、ここで終わらせようか?でも、俺にはそんな勇気も無い。
「お二人とも、さようなら。」
プロフェートが引き金に指を掛けた。

【剣士・メッサー『正義の剣』】

「…死ね。」
プロフェートの少年が、首から鮮血を撒き散らしながら倒れた。上から落ちてきたのは、ユスティーツだった。
「ユスティー…ツ…どうしてここに。」
「あ!シャルさん!…と、オルクス。」
彼は血がこびりついた顔で無邪気に笑った。笑顔のまま剣を少年に突き刺す。何度も何度も、狂ったように突き刺した。汚い音と共に血が広がっていく。
「大丈夫ぅ?二人とも。こんな所で何してたのぉ?」
「フェイ…!」
すると、オルクスが身を起こした。
「本体がいない…逃げたぞ。」
言われてみれば、ユスティーツが来た時から見当たらない。話しているのは少年の方だったから、つい忘れてしまっていた。
「紅糸を付けるよう、イデー嬢には頼んでおいたけど。」
「駄目だ。糸を切られた…絶対に防げない、あの紅糸を。」
ヴイッツに、イデー。これでヨシュカは全員揃ってしまった。
「シュピッツが教えてくれたんだ!シャルさん達がどこかに行く所を見たって!」
シュピッツが?あった覚えはない。どこかで見られていたのだろうか。それとも、ミスィオーンが見てシュピッツに報告したのだろうか。
「二人だけで正義のヒーローになるのは狡いよ!オレもヴェルトを救う!」
「状況は最悪だよ、オル君。シュティレ嬢が亡くなって…君も重症だ。ここから出る方法すら分からない。」
ヴイッツはオルクスに近付くと、綺麗な紫色の瓶を差し出した。
「シュティレ嬢の遺体から回収した。…回復薬だ、瀕死でも助かる程の強力な物。」
オルクスはそれを奪い取る様に受け取ると、一気に飲み干した。すぐに効果が出たのか立ち上がる。
「僕の推測では、あのヒビを壊せばどうにかなる気がする。違う?」
俺は慌てて答える。
「そ…そうです、何故かオルクスがあれを攻撃して…」
「オル君。」
見事にスルーされると、ヴィッツはオルクスを見詰めた。
「ヒビを壊すのは説明を聞いた後だ。…君は何を知っている?」
しおりを挟む
感想 641

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。