冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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本編

199.リベラートへの謝罪

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「何を言いに来たのかと思えば………愛しの婚約者を見せびらかし足りなかったか?」

結局追いかけてきたクラリーチェを追い返す訳にもいかず、彼女を伴って顔を出したエドアルドに対して、皮肉げな笑いを浮かべたリベラートが、長い脚を組み直しながら問いかけた。

「………先程の仕返しのつもりなら、挑発には乗らない。流石に先程の態度は悪かったと思って、謝罪に来たんだ」
「へぇ………少しは大人になったじゃないか」

リベラートが形の良い眉を片方上げて、感心したようにせせら笑った。

「彼女の美しさに免じて、お前の無礼な態度には目を瞑ってやろうと思っていた所だが、わざわざ謝罪に来るとは予想外だったな」
「………すまなかった」

二人の会話を聞く限り、リベラートはわざわざエドアルドを怒らせるような言葉を選んで口にしているように感じた。

「ジャクウィント女侯爵………レディ・クラリーチェとお呼びしても?」

エドアルドの傍らで静かにリベラートの様子を伺っていたクラリーチェに、リベラートが声を掛けた。

「どうぞ、殿下のお好きなようにお呼び下さいませ」

エドアルドに言われたとおり、視線を合わせずに、無表情のまま、クラリーチェは機械的に答えた。

「ふぅん………」

少しつまらなそうにリベラートは唸ると、立ち上がってクラリーチェに歩み寄った。
近くで見ると、かなり背が高い。エドアルドも高いが、リベラート程ではない。
リベラートから発せられる威圧感に、クラリーチェは思わずたじろいだ。

「………彼女は、今まで散々辛い思いをしてきたんだ。………あまり、怯えさせないでくれ」

クラリーチェの心を感じ取ったかのように、エドアルドがクラリーチェを庇うように自分の腕に閉じ込めた。
エドアルドのその行動に、リベラートは驚いたようだった。

「………お前、本当にあの女嫌いのエドアルドか?」
「王を騙る痴れ者は先日処分したはずだが?」

エドアルドは淡々とした様子で切り替えしているが…内心は穏やかではなかった。
だが、ここでリベラートの挑発に乗って怒り出したらまたクラリーチェに呆れられてしまう。
その気持ちだけがエドアルドを冷静にさせていた。

「そう言えばそうだったな。………父親の作り上げた後宮を解体し、腹違いの兄弟姉妹を追放したと聞いたときは本当に驚いたが、そんな面白いことを何故私に知らせてくれなかった?」

にやり、とリベラートは笑ったのをクラリーチェは見た。
その真意は読めないが、エドアルドが心底面倒くさそうに溜息をついたのが、エドアルドの肌伝いに聞こえてきた。
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