冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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本編

196.王太子の人柄

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既に殆どの準備は整っているため、開港祭の準備は順調だった。
沈んでしまった祝祭船ブチントーロの代わりの船が出来上がるのを待つばかりの状態となり、王宮内もやや落ち着きを取り戻していた。

「オズヴァルドの王太子殿下………ですか?」

式典のドレスの手直しを終えてリリアーナとの恒例のお茶会の席で、思い切ってリリアーナにオズヴァルド王太子について訊ねてみると、リリアーナは不思議そうな顔をした。

「ええ。エドアルド様が妙に気にしてらっしゃって………。その、随分と女性関係が派手でいらっしゃるような口ぶりだったのが気になったのです。ひょっとしたらリリアーナ様なら何かご存知かと思ったのですが………」
「まあ………。私も詳しくは存じ上げませんけれど、言われてみれば確かに………見た目は女性に好まれそうな雰囲気でしたわね」

リリアーナは落ち着いた様子でティーカップを口につける。
オズヴァルド王太子リベラート・オズヴァルドについてはクラリーチェも肖像画を見たことがあった。
癖のある栗毛に、空のような蒼い瞳の美しい顔立ちの男性だったと記憶していた。

「私はエドアルド様以外に心を動かされないと何度もお伝えしているのに、何故か心配そうな素振りをされるので………私、どうすればいいのか分からないのです。………もしかしたら私は、エドアルド様に信頼されていないのでしょうか………?」

不安とはまた少し違う、モヤモヤとした気持ちを、リリアーナに打ち明ける。

「………何となく………ラファエロ様が、嘆かれている意味が分かった気が致しますわ」

リリアーナは微妙な表情を浮かべると、溜息をついた。
ラファエロの呼び方がいつの間にか『王弟殿下』から『ラファエロ様』に変わっていることに気がついた。ここのところ二人は頻繁に面会をしているようだ。
奥手な二人の間を取り持つために、ラファエロが一人奮闘していたことなど知らないクラリーチェは何のことだろう首を傾げたが、リリアーナはそれに気が付かないふりをした。
ティーカップを静かに置くと、リリアーナはクラリーチェを見つめた。

「私から、ラファエロ様にお尋ねしてみますわ。ラファエロ様なら陛下のお心をよくご理解なさっておりますし、オズヴァルド王太子殿下の事もご存知でしょうし。………ですから、クラリーチェ様はあまり気になされないで下さいね。何かあれば、私がクラリーチェ様をお守り致しますわ」

クラリーチェを励ますように、リリアーナが微笑むと、クラリーチェもつられて微笑んだ。
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