冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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本編

194.処分※やや残酷描写あり

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五日後に招集された議会では、ブラマーニ公爵家とフェラーラ侯爵家、そして彼らに加担した全ての貴族が奪爵、貴族籍からの除籍処分に加えて財産没収となることが告げられた。

また、首謀者であるカスト・ブラマーニ並びにアマンダ・ブラマーニは長時間に渡り恥辱と苦痛を味わう事になる『十字架刑』に処されることになった。
ディアマンテ・レアーレ・キエザは、王族としての身分も剥奪され、罪人として両頬と額に罪人の焼印を押された上で火あぶりの刑に、そしてジュスト・ブラマーニは舌を切られ、両目を潰された上で、日の当たらない、外界から隔絶された幽閉塔に死ぬまで幽閉されることが決まった。

間違いなくブラマーニ家の者達は、何を伝えたとしても一切反省などしないだろう。ならば、せめてこの世に生まれてきたことを後悔する程の苦痛を与えるようにと、各々が最も大切にしているものを失う形で、処刑されるよう考えられた結果だった。

一方、共犯者であるロベルト・フェラーラ、カルロッタ・フェラーラはブラマーニ家に対する証言を行ったことから、苦痛の少ないとされる斬首刑に処させることになった。

「此度の粛清で、大幅に貴族が減ることになった。残った者達には大きな負担を掛けることになるが、働きに応じた報賞を与えよう。これからもキエザの為に尽くしてもらいたい。………まずは、台無しになってしまった開港祭をやり直そうと思うが、どうだろうか?」

強い意思の籠もった双眸が、議場をゆっくりと見回した。
すると、まばらに拍手が沸き起こり、それはいつしか大きな歓声と共に議場を包んだ。
クラリーチェは、安堵の笑顔を浮かべながら、エドアルドを見つめる。
彼は約束通り、全ての憂いをその手で取り除いたのだった。

「………開港祭が終われば………次は、お二人の結婚式ですな」

隣に佇むレッジ子爵が、クラリーチェに囁く。
途端にクラリーチェは頬を真っ赤に染める。

「え、ええ………」

どう反応すれば良いのかが分からずに、クラリーチェは曖昧な返事を返した。

エドアルドの決心は堅いらしく、人前で抱き上げたりする事はしばしばあるものの、口付け以上の事をクラリーチェにする事はなかった。
式までは手を出さないと言われると、クラリーチェは結婚式を心待ちにするようになっていた。
だが、具体的な日取りなどについては全くの白紙だ。
一国の王の結婚式なのだから、簡単に事が進むものではないことは分かっているつもりだが、それでも気が急いてしまう自分に気がつく。
クラリーチェは自嘲の笑みを口元に浮かべるのだった。
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