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本編
閑話 扉の外(2 SIDE:ラファエロ)※読まなくても本編に影響ありません
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「効果が、出ましたね」
微かな声で、リディアが呟いた。
「クラリーチェ様、可愛らしいですわ…………」
その隣で、リリアーナがうっとりと頬を赤らめる。
クラリーチェがかなり酒に弱いというのは、リディアからの報告で知っていた。今回はその体質を利用し、ほんの少し、二人の背中を後押ししようと考えたのだった。
「クラリーチェ………、愛している………」
「………私も………っ」
聞こえてくる愛を囁く甘い声に、この場にいる誰もが、このまま上手くラファエロの作戦通りになり、二人が身も心も結ばれると、そう信じた。
「………流石にこれ以上覗くのは、まずいと思うのですが………っ」
いつの間にか駆けつけていたダンテが、気まずそうに呟いた。
「………そうですね。ここまでこればもう大丈夫でしょう」
ラファエロも、女性陣もダンテの言葉に同意し、その場を立ち去るために扉を閉めようとした、その時だった。
「すまない………。こんな、つもりではなかったんだ………」
少し掠れたエドアルドの声が聞こえてきて、ラファエロは思わずその場で固まった。
「………貴女の事になると、何もかもが上手くいかない。思い通りにならないのだ。…………守りたいのに………っ、笑顔を見たいのに………っ、大切にしたいのに…………いつも泣かせて、不安にさせるばかりの自分が本当に不甲斐なくて………。なのに、貴女の優しさ甘えて、すぐに自制が効かなくなって………自分の覚悟を伝えるつもりが、危うく貴女を傷つけてしまうところだった。………つくづく自分が嫌になる………」
どうしたら、あの雰囲気からまた懺悔が始まってしまうのだろう。
思いもよらない展開に、ラファエロは無意識のうちに眉間に皺を寄せた。
他の面々にもその声は聞こえていたようで、皆一様にぽかんと口を開けていた。
だが、最愛の人に迫られてなお、手を出さないエドアルドの意思の強さと精神力は目を瞠るものがある。
それもまた、王としては必要な資質だろう。
エドアルドの内心を知るラファエロは、歯痒さを覚えながらも結局、エドアルドは婚姻を結ぶその日まで、己の決心を貫き通すのだと悟った。
だが、クラリーチェはエドアルドに対してどう感じるのだろうか。
「………謝らないで下さい。先に仕掛けたのは、私の方ですもの。………それに、私だっていつまでもただ守られるだけの、か弱い女性ではありません。…………リディアに比べたらまだまだでしょうけれど………。………でも、できれば今日のような思いをするのだけは、遠慮したいですわ」
そんなラファエロの不安を払拭するように、クラリーチェの言葉が聞こえてくる。
(………余計な、お世話だったみたいですね………)
ラファエロは自嘲気味な笑みを浮かべると、静かに扉を閉めた。
「………さて、護衛の者を残して、皆でささやかな祝杯でもあげましょうか」
「え………で、でも………殿下………?」
リディアが珍しく狼狽える。
「………あの二人なら、大丈夫でしょう。これから、結婚式の準備で忙しくなりそうですし、ようやく大掃除が終わったのですから、少しくらいは羽目を外しても問題はありませんよ」
今度は満面の笑みを浮かべ、ラファエロは宣言したのだった。
微かな声で、リディアが呟いた。
「クラリーチェ様、可愛らしいですわ…………」
その隣で、リリアーナがうっとりと頬を赤らめる。
クラリーチェがかなり酒に弱いというのは、リディアからの報告で知っていた。今回はその体質を利用し、ほんの少し、二人の背中を後押ししようと考えたのだった。
「クラリーチェ………、愛している………」
「………私も………っ」
聞こえてくる愛を囁く甘い声に、この場にいる誰もが、このまま上手くラファエロの作戦通りになり、二人が身も心も結ばれると、そう信じた。
「………流石にこれ以上覗くのは、まずいと思うのですが………っ」
いつの間にか駆けつけていたダンテが、気まずそうに呟いた。
「………そうですね。ここまでこればもう大丈夫でしょう」
ラファエロも、女性陣もダンテの言葉に同意し、その場を立ち去るために扉を閉めようとした、その時だった。
「すまない………。こんな、つもりではなかったんだ………」
少し掠れたエドアルドの声が聞こえてきて、ラファエロは思わずその場で固まった。
「………貴女の事になると、何もかもが上手くいかない。思い通りにならないのだ。…………守りたいのに………っ、笑顔を見たいのに………っ、大切にしたいのに…………いつも泣かせて、不安にさせるばかりの自分が本当に不甲斐なくて………。なのに、貴女の優しさ甘えて、すぐに自制が効かなくなって………自分の覚悟を伝えるつもりが、危うく貴女を傷つけてしまうところだった。………つくづく自分が嫌になる………」
どうしたら、あの雰囲気からまた懺悔が始まってしまうのだろう。
思いもよらない展開に、ラファエロは無意識のうちに眉間に皺を寄せた。
他の面々にもその声は聞こえていたようで、皆一様にぽかんと口を開けていた。
だが、最愛の人に迫られてなお、手を出さないエドアルドの意思の強さと精神力は目を瞠るものがある。
それもまた、王としては必要な資質だろう。
エドアルドの内心を知るラファエロは、歯痒さを覚えながらも結局、エドアルドは婚姻を結ぶその日まで、己の決心を貫き通すのだと悟った。
だが、クラリーチェはエドアルドに対してどう感じるのだろうか。
「………謝らないで下さい。先に仕掛けたのは、私の方ですもの。………それに、私だっていつまでもただ守られるだけの、か弱い女性ではありません。…………リディアに比べたらまだまだでしょうけれど………。………でも、できれば今日のような思いをするのだけは、遠慮したいですわ」
そんなラファエロの不安を払拭するように、クラリーチェの言葉が聞こえてくる。
(………余計な、お世話だったみたいですね………)
ラファエロは自嘲気味な笑みを浮かべると、静かに扉を閉めた。
「………さて、護衛の者を残して、皆でささやかな祝杯でもあげましょうか」
「え………で、でも………殿下………?」
リディアが珍しく狼狽える。
「………あの二人なら、大丈夫でしょう。これから、結婚式の準備で忙しくなりそうですし、ようやく大掃除が終わったのですから、少しくらいは羽目を外しても問題はありませんよ」
今度は満面の笑みを浮かべ、ラファエロは宣言したのだった。
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