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本編
182.ジュストの本心
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「莫迦な………。そんな………はずは………っ!クラリーチェ姫は今頃………っ」
ジュストにとって、クラリーチェに催淫剤を使ったという事実は切り札だったようだった。
明らかに動揺する様子が見て取れる。大きく肩で呼吸を繰り返しすと、頭を振った。
「そんなはずはない?何故だ?」
内心では、ジュストがクラリーチェの名を口にするたびに怒りを覚えていたが、それでもエドアルドは笑顔を崩すことなく、ジュストに向かって首を傾げてみせた。
「私達の計画は完璧だった筈だ………っ!なのに何故………っ?!何故それを阻止出来た………?そうか、さては私を騙そうとしているな………?………そうか?そうなんだろう?!」
自分を納得させようとしているのか、ジュストはエドアルドに怒鳴るように問い掛けた。
先程までは退屈で仕方ないから死にたいと口にしていたというのに、言っていることが支離滅裂なのに、自分では気がついていないのだろうか。
そんな事を考えながらエドアルドはジュストを嘲笑う。
「騙してなどいないさ。そうでなければクラリーチェを害されておきながら、私がこんなにも冷静でいられるはずがないだろう?………しかし、計画は完璧だった筈だと………?それこそ莫迦げているな。現に、そなたらの計画は失敗し、ブラマーニ家は破滅した。その事実が全てだ」
エドアルドに指摘されると、ジュストは狼狽えたように視線を彷徨わせ、そして部屋の隅に静かに佇むフェラーラ侯爵を捉えた。
「フェラーラ侯爵………全てお前のせいだっ!何もかも台無しではないか………っ!クラリーチェ姫を取り込んでエドアルドを操ろうというのも、王位の簒奪も、お前のせいで………!」
フェラーラ侯爵は、一つ溜息をつくと、赤い双眸をジュストへと向けた。
「………もう、何を言っても遅いのですよ。ジュスト殿」
それはジュストを諭すような、それでいてどこか呆れているような、そんな口調でただそう呟いた。
「………うるさい!うるさい、うるさい!!」
癇癪持ちの幼い子供のように、ジュストが騒ぎ出す。
結局彼の本心は、一体全体どこにあるのだろうと、エドアルドは考える。
精神に異常のある人間は、良心が欠落し、他者への思いやりと愛情が持てないと聞いたことがあったが、彼は間違いなくその類だろう。
ブラマーニ家の業が、彼をそうさせたのかもしれないが、その真相は解き明かされることはないだろう。
「あとは、任せた」
エドアルドはコルシーニ伯爵夫妻にそう告げると、騒ぐジュストに目もくれず、部屋を立ち去っていった。
ジュストにとって、クラリーチェに催淫剤を使ったという事実は切り札だったようだった。
明らかに動揺する様子が見て取れる。大きく肩で呼吸を繰り返しすと、頭を振った。
「そんなはずはない?何故だ?」
内心では、ジュストがクラリーチェの名を口にするたびに怒りを覚えていたが、それでもエドアルドは笑顔を崩すことなく、ジュストに向かって首を傾げてみせた。
「私達の計画は完璧だった筈だ………っ!なのに何故………っ?!何故それを阻止出来た………?そうか、さては私を騙そうとしているな………?………そうか?そうなんだろう?!」
自分を納得させようとしているのか、ジュストはエドアルドに怒鳴るように問い掛けた。
先程までは退屈で仕方ないから死にたいと口にしていたというのに、言っていることが支離滅裂なのに、自分では気がついていないのだろうか。
そんな事を考えながらエドアルドはジュストを嘲笑う。
「騙してなどいないさ。そうでなければクラリーチェを害されておきながら、私がこんなにも冷静でいられるはずがないだろう?………しかし、計画は完璧だった筈だと………?それこそ莫迦げているな。現に、そなたらの計画は失敗し、ブラマーニ家は破滅した。その事実が全てだ」
エドアルドに指摘されると、ジュストは狼狽えたように視線を彷徨わせ、そして部屋の隅に静かに佇むフェラーラ侯爵を捉えた。
「フェラーラ侯爵………全てお前のせいだっ!何もかも台無しではないか………っ!クラリーチェ姫を取り込んでエドアルドを操ろうというのも、王位の簒奪も、お前のせいで………!」
フェラーラ侯爵は、一つ溜息をつくと、赤い双眸をジュストへと向けた。
「………もう、何を言っても遅いのですよ。ジュスト殿」
それはジュストを諭すような、それでいてどこか呆れているような、そんな口調でただそう呟いた。
「………うるさい!うるさい、うるさい!!」
癇癪持ちの幼い子供のように、ジュストが騒ぎ出す。
結局彼の本心は、一体全体どこにあるのだろうと、エドアルドは考える。
精神に異常のある人間は、良心が欠落し、他者への思いやりと愛情が持てないと聞いたことがあったが、彼は間違いなくその類だろう。
ブラマーニ家の業が、彼をそうさせたのかもしれないが、その真相は解き明かされることはないだろう。
「あとは、任せた」
エドアルドはコルシーニ伯爵夫妻にそう告げると、騒ぐジュストに目もくれず、部屋を立ち去っていった。
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