冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

文字の大きさ
上 下
83 / 265
本編

166.罪と罰(6)※残酷・暴力描写あり

しおりを挟む
「あなた方は、王位を手中に収める為に動いていたということで、間違いないのですよね?」

自分の傍らに佇むリリアーナの目に、さり気なく悶え苦しむジュストが映らないように自分の体を盾にしたラファエロが小首を傾げながら尋ねた。

「…………結果的には、そうなった。だが、最初から王位を狙っていた訳ではない。廃太子となった初代はともかくとして、我が父は、王家よりもいい暮らしをして、見返してやろうと考えていたらしい。幼い頃から、どんな手を使ってもいいから、沢山の財を集める努力をしろと教えられて育った。全ては金だと。始めのうちは、真っ当な手段を取っていた。だが、それではいくら努力をしても豊かにはならない。………段々と、私は不正を働くようになった。そんな時、父上が私の補佐役にと連れてきたのがロベルト・フェラーラだった」

自白剤がしっかりと効果を現したらしく、ブラマーニ公爵の意志とは関係なしにすらすらと彼の真実が暴かれていく。
その言葉の中で自分の名が出た事で、フェラーラ侯爵がはっと息を呑んだように見えた。

「………一番手っ取り早く稼ぐには、交易での不正を行うことだ。………だが、ジャクウィントがそれを見抜いた。たかが侯爵家のくせに、名門貴族扱いをされ、名宰相を多く排出する優秀な血筋と持て囃されているのが気に食わなかった。だから腹いせに………たまたま、イズヴェルカから取り寄せた薬を試しに飲ませたのだ………まさかそれが銀の夢ソーニョ・アルジェントだとは、その時は思いもよらなかった………」

少しずつ、ブラマーニ公爵の呂律が回らなくなってきていた。
自白剤は、場合によってはその効果の副作用として廃人になるおそれがあるものもある。
最終的には廃人になろうが、狂おうが構わないが、まだこの状況で話が出来なくなるのは、エドアルドとしては止めたかった。

「おい、少しこやつの目を覚ましてやれるように、足の裏でも火で炙ってやれ」

エドアルドは、ブラマーニ公爵を気遣うような素振りを見せながら、コルシーニ伯爵に視線を合わせると、俊敏な動きで、ブラマーニ公爵の椅子を蹴り倒すと、宙吊り状態になった公爵の足のすぐ近くで、まるで見せつけるような動きをしながら蝋燭に火を灯した。

「ああああっ!!」

熱と、痛みでブラマーニ公爵が叫んだ。

「何だ、威勢はいいな。………それだけの元気があれば、罪の対価である罰を受けることは十分可能だな」

エドアルドが妖艶な笑みを浮かべると、それに倣ってラファエロとリリアーナも同様の笑みを浮かべるのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

俺、悪役騎士団長に転生する。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:8,400pt お気に入り:2,521

俺の愛娘(悪役令嬢)を陥れる者共に制裁を!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:38,398pt お気に入り:4,456

【R18】鎖に繋がれたまま、婚約解消を目指します

恋愛 / 完結 24h.ポイント:413pt お気に入り:568

婚約破棄まで死んでいます。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:2,465

相手不在で進んでいく婚約解消物語

恋愛 / 完結 24h.ポイント:312pt お気に入り:3,598

夜会の夜の赤い夢

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:905

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。