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本編
164.罪と罰(4)※残酷・暴力描写あり
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「そんなの決まっているわ。小賢しくて、生意気な…………その反抗的な目つきを見ると腹が立つのよ。いくら穏健派への牽制の為とは言え、このような娘と婚約しなければならなかったジュストは本当に可哀想だわ」
リリアーナの人格をまるで無視したその物言いに、ラファエロの顔から笑顔が消えた。
「………あなた方は、本当に何様のつもりなのですか?」
リリアーナはその碧色の瞳を僅かに見開いて、はっと息を呑んだように見えた。
一方のエドアルドは黙ったまま、ラファエロを見つめる。
ラファエロが、エドアルドの前以外で笑顔を消すのは今までにない事だった。
「そのように他人の人格を踏みにじる権利が、自分にはあるとお思いですか?………はっ。本当に、愚か者はどこまで行っても愚か者なのですね。ブラマーニは、公爵でこそあるものの、王位継承権も持たない、傍系の………王族を名乗ることも許されていないんですよ?」
その穏やかな声色に、嘲りが乗せられた。
「………そもそも、彼女はあなた方のような欲まみれの大罪人には勿体ない、素晴らしいご令嬢です。可憐な出で立ちからは想像もできないような、自分の正しいと思う道を貫き通せる強さを持っています。………ねぇ、ブラマーニ公爵子息、あなたは元婚約者の、一体何を見ていたのですか?」
ラファエロが、ジュストを睨めつけると、ジュストは両親同様椅子に縛り付けられたまま、笑いだした。
「はははっ。お前には私の思考など理解できまい。母上も言っただろう?私は従順で美しく、嫋やかな令嬢が好きなのだ。………そんな令嬢を甚振って、心を壊してやるのが堪らなく刺激的でね………!」
ジュストの大きく見開かれた目は、完全なる狂気に支配されていた。
途端にエドアルドが、凄まじい怒りを滲ませた顔で、ジュストの喉元に剣を突きつけた。
ブラマーニ公爵夫人が、その様子に悲鳴を上げた。
フェラーラ侯爵夫妻は、項垂れたまま黙っている。
「貴様………、クラリーチェをそのような目に合わせようとしていたのか?」
「はっ。あの女は私の理想そのものだ。………だから、お前から奪い取って、調教し、外界から隔絶された場所で大切に飼ってやるつもりだったのに………お前が全てを台無しにした………!………がっ………!?」
ジュストが大きく口を開けた瞬間、エドアルドは剥き出しの剣の切っ先を、ジュストの腔内に突っ込んだ。
「…………何だと?」
さすがのジュストも、一気に青褪めた。
少しでも口を動かせば、口内は血だらけになるだろう。
父親とは別の理由で口を閉じることも出来ず、ジュストはだらだらと涎を垂らし始めた。
リリアーナの人格をまるで無視したその物言いに、ラファエロの顔から笑顔が消えた。
「………あなた方は、本当に何様のつもりなのですか?」
リリアーナはその碧色の瞳を僅かに見開いて、はっと息を呑んだように見えた。
一方のエドアルドは黙ったまま、ラファエロを見つめる。
ラファエロが、エドアルドの前以外で笑顔を消すのは今までにない事だった。
「そのように他人の人格を踏みにじる権利が、自分にはあるとお思いですか?………はっ。本当に、愚か者はどこまで行っても愚か者なのですね。ブラマーニは、公爵でこそあるものの、王位継承権も持たない、傍系の………王族を名乗ることも許されていないんですよ?」
その穏やかな声色に、嘲りが乗せられた。
「………そもそも、彼女はあなた方のような欲まみれの大罪人には勿体ない、素晴らしいご令嬢です。可憐な出で立ちからは想像もできないような、自分の正しいと思う道を貫き通せる強さを持っています。………ねぇ、ブラマーニ公爵子息、あなたは元婚約者の、一体何を見ていたのですか?」
ラファエロが、ジュストを睨めつけると、ジュストは両親同様椅子に縛り付けられたまま、笑いだした。
「はははっ。お前には私の思考など理解できまい。母上も言っただろう?私は従順で美しく、嫋やかな令嬢が好きなのだ。………そんな令嬢を甚振って、心を壊してやるのが堪らなく刺激的でね………!」
ジュストの大きく見開かれた目は、完全なる狂気に支配されていた。
途端にエドアルドが、凄まじい怒りを滲ませた顔で、ジュストの喉元に剣を突きつけた。
ブラマーニ公爵夫人が、その様子に悲鳴を上げた。
フェラーラ侯爵夫妻は、項垂れたまま黙っている。
「貴様………、クラリーチェをそのような目に合わせようとしていたのか?」
「はっ。あの女は私の理想そのものだ。………だから、お前から奪い取って、調教し、外界から隔絶された場所で大切に飼ってやるつもりだったのに………お前が全てを台無しにした………!………がっ………!?」
ジュストが大きく口を開けた瞬間、エドアルドは剥き出しの剣の切っ先を、ジュストの腔内に突っ込んだ。
「…………何だと?」
さすがのジュストも、一気に青褪めた。
少しでも口を動かせば、口内は血だらけになるだろう。
父親とは別の理由で口を閉じることも出来ず、ジュストはだらだらと涎を垂らし始めた。
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