冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

文字の大きさ
上 下
64 / 268
本編

146.暴かれる罪(6)

しおりを挟む
今日は王妃様のお茶会だった。


私は行きたくなかったが、国王陛下の肝いりだ。それに王妃様のお茶会をやると知って皆とても喜んでくれたのだ。

特にノエルが。


私は王宮のアドの部屋から出るとすぐに、ノエルの家に謝りに行った。

だって、私のために誘拐されてひどい目に合ったノエルの見舞いにもいかずに、アドにかかりきりになっていたのだ。さすがに友人として良くないだろう。


土下座せんばかりに謝る私をノエルはあっさりと許してくれた。

何でも、すぐに私の代わりにジェドが見舞いに来てくれたらしい。さすが弟だ。

それに両親も。

「まさか、公爵ご夫妻がいらっしゃって頂けるとは思ってもいなくて、私の両親も恐縮していたわ」
ノエルも驚いていた。

「『娘のために大変な目に合わせて、ごめんなさいね。もし、今回の件でなにか困ったことが起こったら、遠慮なく言ってね。何でもするから』ってフランのお母様におっしゃってもらえたの。『出来たら領地にも遊びにいらっしゃい。来てもらえたら歓待するから』っておっしゃって頂けたのよ。本当に行っても良いのかしら?」

「それは良いけれど、うちの領地に来ても魔の森しかないわよ」
うちの領地は魔の森しかない。魔物と戦うなら良いけれど、それ以外はあまり何もないのだけれど。

「えっ、でも、あなたの領地の館ってかの有名なルブラン城でしょう。絶対に行ってみたいわ」
世間ではうちの要塞が有名みたい。まあ、見た目は白鳥城みたいできれいかもしれないけれど、中身はあまり改修もしていないので、幽霊屋敷みたいなんだけど、そんなのでいいのかな?


まあ、ノエルに許してもらえて私はホッとした。

その時にお茶会の話をしたら

「えっ、本当に良いの。嘘ーーーー。王妃様のお茶会に呼ばれるなんてもう死んでも良い」
とかメチャクチャ喜ばれたのだ。

なんか変だ。私は死んでも行きたくないんだけど。世間では違うらしい。


と言うことで、今日は王城の入り口直ぐ側にある待合室に集合にしたのだ。



「フラン様を嵌めようとした私が行く権利なんてないです」
と嫌がるオリーブも強引にジャッキーとメラニーで攫って連れてきたのだ。


「あなた、そんな事言ったら、殿下からの花束をメチャクチャにした私も行く権利なんてないわよ」
「それに、フランはあの帝国と組んだ聖女のことですら命乞いしたのよ」
「えっ、そうなのですか。ローズの命を助けて頂けたのですか」
オリーブは驚いて私を見た。

「まあ、私がもう少しうまくやってたら、あの子もここまでひどくならなかったかもしれないし、教会が帝国の進出を許していたことも原因だと思うのよね」


「ありがとうございます」
オリーブは私に頭を下げてきた。
うーん、頭下げられたけれど、あのピンク頭は聖魔術だけは一級品なのよね。それが惜しいという面もあるし、なんか、ピンク頭はヴァンに良いように使われているだけのような気もするんだよね。それは、ピンク頭の友達には言わないほうが良いだろうと思うんだけど。

私は笑って誤魔化した。
その上で強引にオリーブを着替えさせたのだけど、「フラン様が許して頂けるのなら」と仕方なしに付いてきてくれたのだ。



で、クラスの40人全員揃った。

ここまで色々あったけれど、クラスも大分まとまったと思うのよね。全員欠けること無くここまでこれて本当に良かった。


私は王女様の侍女に合図して、全員で立ち上がった。

私は嫌だけど、皆の熱意に負けて王妃様のお茶会に向かったのだった。



みんな、王宮の広さに唖然としていた。

私が仕方なしに、次々に案内する。

「あれが政務堂で、A組のグレースのお父様が宰相をしておられるわ」
私は嫌だけど、グレースの父親の事も紹介しておいた。


私はその父親がまさか、私達を迎えに来ているとは思ってもいなかったのだ。

王妃様のお茶会は中庭で開かれたのだけど、その前には大集団が待ちかえまえていたのだ。
な、なんだ、これは。

なんとその先頭にはグレースの父親の公爵もいる。というか、うちの両親もいるんだけど。

「えっ、なんでいるの?」
「いや、王妃様に頼まれたのよ。フランのクラスを呼んでいるから歓待要員として手伝って欲しいって。それにあなたの日頃の活躍とか知りたいじゃない」
「いや、そんなの良いから」
「あっ、ノエルさん」
母は私を無視して、ノエルに声をかけていた。

「る、ルブラン公爵夫人」
いきなり呼びかけられて、ノエルは固まっていた。

「そんな堅苦しくなくていいのよ。私はアンナって呼んでもらえると嬉しいわ」
「あ、アンナ様」
「緊張しちゃって、あちらにあなたの好きなケーキがあるわ。さっ、こちらに」
あっさりとノエルは母に連れて行かれてしまった。

いつも能面のメラニーはフェリシー先生に連れて行かれて、頬が引きつっていた。それはいい気味だ。私がフェリシー先生でなくて良かった。

でも、安心したのはそれまでだった。

ソレンヌは、アリスがって、ちょっとなんであなたがここにいるのよ。私が文句を言う前にソレンヌがアリスに連れて行かれた。ちょっとあんた、私の余計なこと言うんじゃないわよ。
脅したいが皆の手前、目で合図だけするけれど、アリスは無視してくれた。
そうだ、こいつが私の言うことなんて聞くわけはない。絶対に黒歴史を一杯話すに違いない。
よく見ると中央騎士団長とかその下の騎士隊長とか、あれはアルマンの父親だし、ノエルの父親もいる。

私の余計なことを言うなと皆に釘を指しておこうと思った私はいきなりアドに手を取られたのだ。

「フランソワーズ嬢。今日は私があなたのお相手をさせて頂きます」
えっ、ちょっと、アド、私それどころじゃないんだけど。皆に釘刺しておかないと。
そう思うのに、その前に、強引にテーブルの一角に連れて行かれてしまったのだった。

*********************************************************************

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

来月か8月にこの話の続編書くことにしました。



新作絶好調更新中です。

今日中にランキングベスト10に入っくれるとは思います。

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/337638866

ぜひともお読みください。
しおりを挟む
感想 641

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。