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本編
141.暴かれる罪(1)
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ブラマーニ公爵と、フェラーラ侯爵夫妻はすぐさまその場で近衛騎士に取り押さえられた。
「本来ならば、このまま投獄し、然るべき処分を下すところだが、そなたたちの犯した数多の罪にを詳らかにすべきだろう。………先に言っておくが、言い逃れしようとすればするほど罪は重くなるぞ」
エドアルドは冷たい視線を投げかける。
「クラリーチェの両親を事故死に見せかけて殺したのは、フェラーラ侯爵………そなただな?」
フェラーラ侯爵は、俯くとわなわなと肩を震わせている。隣に蹲る侯爵夫人は、顔面蒼白のまま視線を彷徨わせていた。
「答えろ」
短い命令の言葉には、言い表し難いほどの威圧感が込められていた。
フェラーラ侯爵は、ぎり、と歯ぎしりをすると強く手を握りしめる。
自白しても、言い訳をしても、自分の末路は決まっていることは分かりきっていた。
「…………その、とおりでございます」
ぽつりと吐き出されたフェラーラ侯爵の声は震えていた。
「トゥーリ伯爵を懐柔し、ジャクウィント前侯爵夫妻の領地で問題を起こさせ、そして侯爵家の馬車に細工を施して、崖から転落させました。………全て、ブラマーニ公爵の指示によるものです」
「なっ…………、貴様!!」
「……………っ!」
その一言に慌てふためいたのはブラマーニ公爵だった。
そして、その後ろで立ち尽くしたディアマンテもみるみる青褪めていくのを、クラリーチェは見た。
「…………先に私を切り捨てたのは、公爵………貴方の方ですよ」
まるで白蛇を思わせる赤い双眸に浮かび上がるのは、憎しみと諦めの色だった。
「自分たちだけは助かろうなどとは、最早考ええるだけ無駄でしょう。…
………陛下のお望みの通り、全てをお話致しましょう」
口元に薄っすらと笑みを浮かべると、フェラーラ侯爵は近衛騎士に押さえつけられたまま語りだした。
「そもそもの原因は、陛下並びに王弟殿下の母君………リオネッラ王女がフィリッポ陛下に輿入れされたところまで遡ります」
クラリーチェは、怪訝そうに眉を顰めた。
何故両親が殺される事になった原因に、エドアルド達の生母が関係あるというのだろうか。
「フィリッポ陛下が立太子された直後、すぐにオズヴァルド王国よりリオネッラ王女との婚約の打診がなされました。しかし、ブラマーニ公爵家はそれを良しとせずに、返事を先延ばしにするように王に進言し続けました。………正妃にディアマンテ様を据える為に、何とかリオネッラ王女の輿入れを阻止しようとしていたのです」
腹を括ったフェラーラ侯爵の言葉は、淀みなく紡がれていった。
「本来ならば、このまま投獄し、然るべき処分を下すところだが、そなたたちの犯した数多の罪にを詳らかにすべきだろう。………先に言っておくが、言い逃れしようとすればするほど罪は重くなるぞ」
エドアルドは冷たい視線を投げかける。
「クラリーチェの両親を事故死に見せかけて殺したのは、フェラーラ侯爵………そなただな?」
フェラーラ侯爵は、俯くとわなわなと肩を震わせている。隣に蹲る侯爵夫人は、顔面蒼白のまま視線を彷徨わせていた。
「答えろ」
短い命令の言葉には、言い表し難いほどの威圧感が込められていた。
フェラーラ侯爵は、ぎり、と歯ぎしりをすると強く手を握りしめる。
自白しても、言い訳をしても、自分の末路は決まっていることは分かりきっていた。
「…………その、とおりでございます」
ぽつりと吐き出されたフェラーラ侯爵の声は震えていた。
「トゥーリ伯爵を懐柔し、ジャクウィント前侯爵夫妻の領地で問題を起こさせ、そして侯爵家の馬車に細工を施して、崖から転落させました。………全て、ブラマーニ公爵の指示によるものです」
「なっ…………、貴様!!」
「……………っ!」
その一言に慌てふためいたのはブラマーニ公爵だった。
そして、その後ろで立ち尽くしたディアマンテもみるみる青褪めていくのを、クラリーチェは見た。
「…………先に私を切り捨てたのは、公爵………貴方の方ですよ」
まるで白蛇を思わせる赤い双眸に浮かび上がるのは、憎しみと諦めの色だった。
「自分たちだけは助かろうなどとは、最早考ええるだけ無駄でしょう。…
………陛下のお望みの通り、全てをお話致しましょう」
口元に薄っすらと笑みを浮かべると、フェラーラ侯爵は近衛騎士に押さえつけられたまま語りだした。
「そもそもの原因は、陛下並びに王弟殿下の母君………リオネッラ王女がフィリッポ陛下に輿入れされたところまで遡ります」
クラリーチェは、怪訝そうに眉を顰めた。
何故両親が殺される事になった原因に、エドアルド達の生母が関係あるというのだろうか。
「フィリッポ陛下が立太子された直後、すぐにオズヴァルド王国よりリオネッラ王女との婚約の打診がなされました。しかし、ブラマーニ公爵家はそれを良しとせずに、返事を先延ばしにするように王に進言し続けました。………正妃にディアマンテ様を据える為に、何とかリオネッラ王女の輿入れを阻止しようとしていたのです」
腹を括ったフェラーラ侯爵の言葉は、淀みなく紡がれていった。
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