猫被り令嬢の恋愛結婚

玉響

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新婚編

2.驚き

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思わぬラファエロの反応に、リリアーナは目を瞬いた。
ラファーエロの反応を見る限り、彼はまた、何かを隠しているに違いなかった。

「…………何か、あったのですか?」

どう問いかけるのが正解なのだろうかと迷いながら、リリアーナはおそるおそるラファエロに尋ねる。
するとラファエロは一瞬視線を彷徨わせると、穏やかな笑顔を浮かべ直した。

「実は、ここのところ義姉上が体調を崩しているそうで、執務も休まれているんですよ」
「え………っ」

思いもよらない答えに、リリアーナは小さく声を上げた。
ここ数日は殆どラファエロと二人で過ごしていて、クラリーチェと顔を合わせることがなかったのは事実だが、あちらはあちらで仲睦まじく過ごしているものと思い込んでいたからだ。

「私、何も知らずに…………っ」

青褪めるリリアーナに、ラファエロは静かに首を振った。

「私が、敢えて知らせなかったのです。あなたは義姉上のことになると周囲が見えなくなりますからね。少し様子を見てから知らせた方がいいと判断しました」

リリアーナ自身よりもリリアーナをよく理解しているラファエロだからこその判断に、反論の余地などなかった。
観念したように小さく溜息をついてから、リリアーナはラファエロに向き直る。

「………それで、クラリーチェ様は………?」
「今は部屋で静養されていますよ」


クラリーチェと最後に顔を合わせたのは、あの謁見から数日後だった気がする。
いつから体調を崩していたのかは分からないが、少なくともここ二、三日というわけではなさそうだ。
だとすると、原因は何なのだろうか。
こうしてラファエロがここにいる、ということは命に関わるようなものではないのだろう。
だとすると、毒の類ではなさそうだ。

他に考えられるとすると、クラリーチェは幼少の頃から叔母による激しい虐待を受けていた影響が身体に残っていると聞いたことがあった。
だが、今になってそれが悪化したとは考えにくい。
だとすると、思いつくものは一つだけだった。

「………もしかして………クラリーチェ様…………」
「ええ、どうやらご懐妊されたようですね」

最高の答えに、リリアーナは両手で口元を覆うと、まるで大輪の花が綻ぶような笑顔を浮かべたのだった。
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