394 / 473
結婚編
156.言い訳
しおりを挟む
「この度の娘の無礼については、本当に何と申し上げれば良いのか………!しかし、それで何か被害が出た訳では…………」
やはり蛙の子は蛙、ということなのだろうかとリリアーナは考えた。
エドアルドとラファエロ、それにキエザの貴族達が何に対して腹を立てているのかを、アメリーゴは全く理解していないようだった。
「………貴殿は、一体何年オルカーニャの国王として生きてきたのです?」
怒りを通り越して呆れた様子のエドアルドが、深い溜息と共にアメリーゴを睨んだ。
「二十八の頃に即位しましたから………かれこれ三十年ほど経ちますかな」
エドアルドは別に年数を訊きたかった訳では無いにも関わらず、大真面目に答えてくるアメリーゴに、今度はラファエロが嘲笑を浮かべた。
「オルカーニャは気候のせいか、大らかな国民性だと言われていますが…………それにしてもこれで王が務められるということは、国民が誰一人としてあなたの無能さを気にしていないか、宰相や重鎮が驚くほどに優秀かのどちらか………或いはその両方なのか、でしょうね?」
「なっ…………!」
莫迦にされたということには気がついたようだったが、それでもまだ肝心なことには気がついていないらしい。
「私やラファエロが腹を立てているのは一体何に対しての事なのか、本当にまだ理解できていないらしい………」
苛立たしげに顔を歪めたエドアルドが一歩、前に進み出た。
「ーーーそもそも此度の件の発端は、こちらの意向などまるで無視するような形で、オルカーニャ国王が娘御の我儘をそのまま聞き入れる形で、我が国に寄越したことだということにすら、気が付けないのですか?」
鋭さを増した視線が、アメリーゴを貫く。
自らの息子よりも更に年若い、しかも即位して日の浅いの王から感じる圧倒的な威厳と凄まじい殺気に、自ずと身体が震え始める。
「そ、それは娘の希望を叶えるためで………、私としてもとても不本意でしたよ。この滞在で、お分かりになったでしょう?娘は言い出したら聞かない性格なのです!親である私共も手を焼いているんですよ」
はは、と情けない作り笑いを浮かべたアメリーゴは、己の哀れさを訴えかけるようにエドアルドとラファエロを、交互に見た。
やはり蛙の子は蛙、ということなのだろうかとリリアーナは考えた。
エドアルドとラファエロ、それにキエザの貴族達が何に対して腹を立てているのかを、アメリーゴは全く理解していないようだった。
「………貴殿は、一体何年オルカーニャの国王として生きてきたのです?」
怒りを通り越して呆れた様子のエドアルドが、深い溜息と共にアメリーゴを睨んだ。
「二十八の頃に即位しましたから………かれこれ三十年ほど経ちますかな」
エドアルドは別に年数を訊きたかった訳では無いにも関わらず、大真面目に答えてくるアメリーゴに、今度はラファエロが嘲笑を浮かべた。
「オルカーニャは気候のせいか、大らかな国民性だと言われていますが…………それにしてもこれで王が務められるということは、国民が誰一人としてあなたの無能さを気にしていないか、宰相や重鎮が驚くほどに優秀かのどちらか………或いはその両方なのか、でしょうね?」
「なっ…………!」
莫迦にされたということには気がついたようだったが、それでもまだ肝心なことには気がついていないらしい。
「私やラファエロが腹を立てているのは一体何に対しての事なのか、本当にまだ理解できていないらしい………」
苛立たしげに顔を歪めたエドアルドが一歩、前に進み出た。
「ーーーそもそも此度の件の発端は、こちらの意向などまるで無視するような形で、オルカーニャ国王が娘御の我儘をそのまま聞き入れる形で、我が国に寄越したことだということにすら、気が付けないのですか?」
鋭さを増した視線が、アメリーゴを貫く。
自らの息子よりも更に年若い、しかも即位して日の浅いの王から感じる圧倒的な威厳と凄まじい殺気に、自ずと身体が震え始める。
「そ、それは娘の希望を叶えるためで………、私としてもとても不本意でしたよ。この滞在で、お分かりになったでしょう?娘は言い出したら聞かない性格なのです!親である私共も手を焼いているんですよ」
はは、と情けない作り笑いを浮かべたアメリーゴは、己の哀れさを訴えかけるようにエドアルドとラファエロを、交互に見た。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
786
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる