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結婚編
59.王女の従者
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「少し落ち着きましょうか、リリアーナ?」
苦笑しながらラファエロが、リリアーナを隣にもう一度座らせた。
「あなたは義姉上のことが絡むとなりふり構わず動く癖がありますからね。………まあそこがあなたの魅力でもあるのですが。………それに、もとはと言えば私の責任と言えなくもないですし………」
「ラファエロ様の責任、ですか?」
リリアーナのクラリーチェへの強い憧れとラファエロに何の関係があるのだろう。
クラリーチェへの話し相手を依頼してきたのはエドアルドだったと記憶しているが、もしかするとラファエロの発案だったのだろうか。
「………余計なことまで喋ってしまいましたね。しかしあの王女の暴言は目に余るものがあります。兄上もそろそろ我慢の限界に来ているでしょう。宰相やグロッシ侯爵、それにラビア伯爵には早速動いて貰ってはいますが、人手が足りないというのは本当に苦しいものです」
エメラルド色の瞳を静かに細め、ラファエロはウルバーノを見た。
「それで、例の件はどうでした?」
「ああ、そう言えば報告を忘れていました」
ラファエロの問いかけに、思い出したように、ウルバーノがぱちんと指を鳴らした。
「殿下の見越したとおりでした」
「やはりですか」
突然の二人のやり取りについていけず、リリアーナは首を傾げる。
「一体、何の話ですの?」
するとラファエロとウルバーノは、顔を見合わせてからにやりと笑った。
「実は、王女が伴ってきた護衛騎士の中に、騎士でない者が混じっていたのですよ」
「護衛騎士ではない者、ですか………?」
ラファエロの言葉に、リリアーナは顔を顰めた。
「まさか、あの王女は遊学という名目で、恐ろしい企みを………?」
伴ってきたのが騎士でないとすると、ぱっと思い浮かぶのは暗殺者か諜報か。
どちらにしてもろくな物ではない。
もしかするとオルカーニャは、王女に横暴な振る舞いをさせてキエザを挑発し、それにかこつけて戦でも仕掛けるつもりなのだろうか。
嫌な予感ばかりが頭を過る。
しかし、返ってきたのは意外な答えだった。
「いや、それが………至って普通の、侯爵家の次男だそうだ。ついでに言うなら、王女の幼馴染らしいぞ」
「………何ですって?」
信じられない事実に、リリアーナは目を丸くした。
苦笑しながらラファエロが、リリアーナを隣にもう一度座らせた。
「あなたは義姉上のことが絡むとなりふり構わず動く癖がありますからね。………まあそこがあなたの魅力でもあるのですが。………それに、もとはと言えば私の責任と言えなくもないですし………」
「ラファエロ様の責任、ですか?」
リリアーナのクラリーチェへの強い憧れとラファエロに何の関係があるのだろう。
クラリーチェへの話し相手を依頼してきたのはエドアルドだったと記憶しているが、もしかするとラファエロの発案だったのだろうか。
「………余計なことまで喋ってしまいましたね。しかしあの王女の暴言は目に余るものがあります。兄上もそろそろ我慢の限界に来ているでしょう。宰相やグロッシ侯爵、それにラビア伯爵には早速動いて貰ってはいますが、人手が足りないというのは本当に苦しいものです」
エメラルド色の瞳を静かに細め、ラファエロはウルバーノを見た。
「それで、例の件はどうでした?」
「ああ、そう言えば報告を忘れていました」
ラファエロの問いかけに、思い出したように、ウルバーノがぱちんと指を鳴らした。
「殿下の見越したとおりでした」
「やはりですか」
突然の二人のやり取りについていけず、リリアーナは首を傾げる。
「一体、何の話ですの?」
するとラファエロとウルバーノは、顔を見合わせてからにやりと笑った。
「実は、王女が伴ってきた護衛騎士の中に、騎士でない者が混じっていたのですよ」
「護衛騎士ではない者、ですか………?」
ラファエロの言葉に、リリアーナは顔を顰めた。
「まさか、あの王女は遊学という名目で、恐ろしい企みを………?」
伴ってきたのが騎士でないとすると、ぱっと思い浮かぶのは暗殺者か諜報か。
どちらにしてもろくな物ではない。
もしかするとオルカーニャは、王女に横暴な振る舞いをさせてキエザを挑発し、それにかこつけて戦でも仕掛けるつもりなのだろうか。
嫌な予感ばかりが頭を過る。
しかし、返ってきたのは意外な答えだった。
「いや、それが………至って普通の、侯爵家の次男だそうだ。ついでに言うなら、王女の幼馴染らしいぞ」
「………何ですって?」
信じられない事実に、リリアーナは目を丸くした。
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