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婚約編
18.ラファエロの演出
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「リリアーナ!よく来てくれました」
王宮に馬車が到着すると、ラファエロが満面の笑みで出迎えてくれた。
いつもの青い軍服ではなく、式典用の真っ白な軍服に身を包んだラファエロは、地上に降り立った大天使のようにすら見える。
「ラファエロ様、お心遣いありがとうございます」
リリアーナはラファエロの用意してくれた花束を、嬉しそうに手にして、深いエメラルド色のドレスの裾を摘むと、くるりと回って見せる。
「喜んでいただけたようで良かったです。本当にお似合いです。………しかし、どんなに沢山の花を集めても、やはりあなたの美しさの前では全て、霞んでしまいますね」
物語の中でしか聞いたことのないような甘やかな言葉に、リリアーナは一瞬で頬を朱に染めた。
「ラ………ラファエロ様ったら、本当にお上手ですこと!」
「おや、お世辞ではなく本心からの言葉だったのですが………」
ラファエロは目を細めてリリアーナを眩しそうに見つめると、リリアーナの持っていた花束から一輪、濃いピンク色の薔薇を抜き出した。
そして、綺麗に纏められたリリアーナの髪へと刺す。
「うん、やはり綺麗だ」
満足そうにリリアーナの顔を見、それからリリアーナの手を取るとそっと口付けを落とした。
「では、クラリーチェ嬢をお迎えに行きましょうか?」
「は、はい」
あまりの演出に、リリアーナは一瞬、自分が何のために王宮へ来たのか忘れてしまいそうになった。
実際まだ胸は煩いくらいに高鳴っていて、落ち着きそうもなかった。
何とかしてそれを誤魔化そうと、大きく深呼吸を繰り返しながらラファエロのエスコートを受けて進んでいくと、エントランスホールにエドアルドとリベラートの姿を見つけた。
「グロッシ侯爵令嬢。よく来てくれた」
「ご機嫌麗しゅう、陛下」
「今日の装いは、一段と美しいですね、レディ?」
「お褒めに預かり光栄ですわ、殿下」
優雅に挨拶をしながら、リリアーナはいつも通りの作り笑いを貼り付けた。
ラファエロ同様にリベラートも甘い言葉を囁くが、彼の言葉にリリアーナの心は微塵も動かなかった。
やはり、ラファエロは特別なのだ。
そう実感すると、ますます体温が上がってきそうな気がした。
「リリアーナ様。来てくださったのですね」
ちょうどその時、水色の豪奢なドレスを纏ったクラリーチェがリディアとアンナを伴い姿を見せた。
「クラリーチェ様、今日はまた一段と素敵ですわ………!」
リリアーナは目を輝かせながら出迎える。
クラリーチェはまるで女神の如き美しさで、その場に立っているだけでも場を支配するほどの圧倒的な美しさだった。
そのお陰でラファエロから意識を逸らせたのは、リリアーナにとっては幸いだった。
「リリアーナ様も、とても良く似合っているわ」
嫋やかな微笑みを浮かべたクラリーチェがリリアーナを褒めてくれる。
ラファエロとクラリーチェ。
リリアーナにとって『特別』な二人と共に開港祭に参加出来るということが、本当に幸せだとリリアーナは心から思うのだった。
王宮に馬車が到着すると、ラファエロが満面の笑みで出迎えてくれた。
いつもの青い軍服ではなく、式典用の真っ白な軍服に身を包んだラファエロは、地上に降り立った大天使のようにすら見える。
「ラファエロ様、お心遣いありがとうございます」
リリアーナはラファエロの用意してくれた花束を、嬉しそうに手にして、深いエメラルド色のドレスの裾を摘むと、くるりと回って見せる。
「喜んでいただけたようで良かったです。本当にお似合いです。………しかし、どんなに沢山の花を集めても、やはりあなたの美しさの前では全て、霞んでしまいますね」
物語の中でしか聞いたことのないような甘やかな言葉に、リリアーナは一瞬で頬を朱に染めた。
「ラ………ラファエロ様ったら、本当にお上手ですこと!」
「おや、お世辞ではなく本心からの言葉だったのですが………」
ラファエロは目を細めてリリアーナを眩しそうに見つめると、リリアーナの持っていた花束から一輪、濃いピンク色の薔薇を抜き出した。
そして、綺麗に纏められたリリアーナの髪へと刺す。
「うん、やはり綺麗だ」
満足そうにリリアーナの顔を見、それからリリアーナの手を取るとそっと口付けを落とした。
「では、クラリーチェ嬢をお迎えに行きましょうか?」
「は、はい」
あまりの演出に、リリアーナは一瞬、自分が何のために王宮へ来たのか忘れてしまいそうになった。
実際まだ胸は煩いくらいに高鳴っていて、落ち着きそうもなかった。
何とかしてそれを誤魔化そうと、大きく深呼吸を繰り返しながらラファエロのエスコートを受けて進んでいくと、エントランスホールにエドアルドとリベラートの姿を見つけた。
「グロッシ侯爵令嬢。よく来てくれた」
「ご機嫌麗しゅう、陛下」
「今日の装いは、一段と美しいですね、レディ?」
「お褒めに預かり光栄ですわ、殿下」
優雅に挨拶をしながら、リリアーナはいつも通りの作り笑いを貼り付けた。
ラファエロ同様にリベラートも甘い言葉を囁くが、彼の言葉にリリアーナの心は微塵も動かなかった。
やはり、ラファエロは特別なのだ。
そう実感すると、ますます体温が上がってきそうな気がした。
「リリアーナ様。来てくださったのですね」
ちょうどその時、水色の豪奢なドレスを纏ったクラリーチェがリディアとアンナを伴い姿を見せた。
「クラリーチェ様、今日はまた一段と素敵ですわ………!」
リリアーナは目を輝かせながら出迎える。
クラリーチェはまるで女神の如き美しさで、その場に立っているだけでも場を支配するほどの圧倒的な美しさだった。
そのお陰でラファエロから意識を逸らせたのは、リリアーナにとっては幸いだった。
「リリアーナ様も、とても良く似合っているわ」
嫋やかな微笑みを浮かべたクラリーチェがリリアーナを褒めてくれる。
ラファエロとクラリーチェ。
リリアーナにとって『特別』な二人と共に開港祭に参加出来るということが、本当に幸せだとリリアーナは心から思うのだった。
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