猫被り令嬢の恋愛結婚

玉響

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ラファエロ編

65.断罪(1)※残酷描写あり

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そのままブラマーニ公爵達を閉じ込めてある部屋へと入ると、中には厳重に鎖で縛り上げられ、椅子に座らされたブラマーニ公爵たちとコルシーニ伯爵夫妻、そして数人の近衛騎士の姿があった。

ラファエロ達の姿を見て、伯爵夫妻と騎士たちはは恭しく頭を下げた。
伯爵夫妻は当然ながら、この場に同席させた騎士たちは皆王の影としての一面も持ち合わせる手練揃いだ。
このように拘束された状態では抵抗のしようがないだろうが、万が一に備えて配置をした。
………全てが、完璧に整ったことに、ラファエロは満足気に微笑んだ。

「エドアルド………!私をこんな目に合わせて………よくも………っ」

エドアルドの姿を見たディアマンテが、真っ先にエドアルドに食って掛かった。

「………あなたも本当に懲りないヒトですね。………罪人の分際で、王である兄上の名を軽々しく口にするとは………」

髪を切られ、手の骨を粉砕されても尚懲りない様子のディアマンテに、ラファエロは呆れながら呟いた。

「お黙り、ラファエロ!この私を罪人扱いするだなんて………、恥を知りなさい!」

反省の色すらも伺えないディアマンテに冷たい視線を送りながら、まだこのような口を聞けるのであれば、両手両足を縛る必要もないように切り落として、失血死はしないように傷口でも焼き潰せばよかったかと考えを巡らせた。

「罪人扱い?何を言っている。立派な罪人なのだから当然だろう。手の骨を踏み砕かれたくらいでは、己の立場が理解出来なかったか………?」
「な、………や、止め………っ!」

靴を脱がされ、抵抗できないように椅子に括り付けられた裸足のままの足を、軽く踏みつけると、それだけでディアマンテは悲鳴を上げた。
兄も同じ事を考えていたと気が付き、ラファエロは嗤う。
同じ血を分けた兄弟同士、思考回路も似るようだ。

「それだけで悲鳴をあげるなどとは、情けないですね。あなた方が殺した人々に味わわせた無念と絶望をたっぷりと味わっていただかなければいけないのですから、もっと頑張って下さい」

残酷なほどに優しい微笑みを浮かべたラファエロは、励ますように囁く。
優しく微笑みながら脅すのは、得意だった。
エドアルドのように凄む事も出来るが、それでは意味がない。両極端な責め方をするからこそ、精神的に相手を追い詰めやすいのだ。

「わ、私は直接手を下していないわっ!やったのはロベルトやカルロッタよ………!それに命令したのだってお兄様だわ………!何も知らない私が、どうして責められなければならないの………?!」

未だに保身に走ろうとするディアマンテを、エドアルドもラファエロも冷ややかな目で見下していた。

「自分は知らない、悪くないと喚くのならば、それを証明し得る証拠を出してみろ」

エドアルドはディアマンテが縛られている椅子を、蹴り倒した。
ディアマンテは冷たい石の床に体ごとたたきつけられ、苦悶の表情を、浮かべ、懲りることなく罪をフェラーラ侯爵夫人へと転嫁しようとしていた。
夫同様に自らの罪を自覚したフェラーラ侯爵夫人は、ディアマンテを諭そうとしているようにも見えたが、ディアマンテは聞く耳をもたなかった。
その姿は、この上なく醜悪で見るに堪えないとラファエロは思った。
そのやり取りを見ているだけ時間の無駄な気がして、ラファエロは剣を引き抜くと、流れるような動作でディアマンテの目の前の床へと突き刺した。
ガキン、と鋭い音が走り、ディアマンテは強すぎる恐怖からか、失神した。
あれだけ騒ぎ立てていた割には情ないと、ラファエロは溜息をついた。
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