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リリアーナ編
65.断罪(6)※残酷描写あり
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「い、痛っ………!」
普段の穏やかなラファエロからは想像も出来ないその行いに、エドアルドですらも目を瞠っている。
「痛いですか?………しかし、あなたに傷付けられ、あなたの采配で命を落とした人の痛みはこんなものではありませんよ?………何年にも渡って苦しめられたリリアーナ嬢とて、心の傷はこんな痛み程度では済まないでしょう。………その節穴だらけの眼球でも抉り出せば、少しは己の愚かさが身に染みますか?」
「ひっ…………!」
ラファエロがいつの間にか空いている手の方に握ったナイフが、ゆっくりと自分の顔に近づいて来るのを見て、恐怖のあまりアマンダは小さく悲鳴を上げた。
エドアルドは怒りを隠そうともせず、壮絶な怒気で周囲を恐怖に陥れるが、ラファエロのそれはまた違った恐ろしさがあった。
ある意味、怒らせるとエドアルドよりも恐ろしいのかもしれないとすらリリアーナは思う。
だがその反面、自分の為にそこまで彼が怒りを感じてくれているという事実に、嬉しさが込み上げてくる。
「あ、謝りますっ………、謝ればいいんでしょう?!」
全く反省の気持ちが見られない発言だったが、アマンダを屈服させられたという事実に、ラファエロは僅かに殺気を抑えた。
「………わ、悪かったわね…………」
悔しそうに体を震わせながら、そっぽを向いたままアマンダは蚊の鳴くような声での謝罪と言えないような謝罪に、リリアーナは苦笑いを浮かべた。
子供でも知っている謝罪の言葉もまともに紡げないらしいが、それでも彼女にとって己の非を認める事がどれ程屈辱的だろうと思うと、それを引き出したラファエロは流石だ。
「………謝罪の仕方もご存知ないのですか?本当に、ブラマーニ家の人間は碌でもない………」
呆れたようにわざとらしく溜息をつくと、ラファエロは押さえつけたアマンダの頭を力任せに前に倒した。
椅子に縛り付けられたままの体制で、無理矢理頭部を押さえつけられ、体を縛る鎖に胸が圧迫され、声にならない悲鳴がアマンダから漏れる。
「『今まで本当に申し訳ございませんでした。愚かな私をお許しください』と言うんですよ。………さあ、私が優しくしているうちに、とっとと謝罪してください。でないと、公開処刑前にあなたの体をズタズタにしてしまいそうです」
甘く囁くラファエロは、ぞっとする程に妖艶な笑みを浮かべていた。
「処刑するときに、息さえしていれば、形状はどうであれ構わんが、せめて民衆の目に触れても問題なさそうな状態にしておいてくれ」
全く意味のない忠告をするエドアルドの声を聞きながら、リリアーナは、ただ真っ直ぐにラファエロを見つめていた。
彼は、自分の為にどうしてここまでしてくれるのだろう。
彼の本心は、何処にあるのだろう。
「い………まで、………も………しわけ………ござい………っ、でした………っ。おろか………、わた………を……、おゆるし……くださ………」
途切れ途切れに、苦しそうに言葉を吐き出すアマンダに一瞬だけ目を向けた後、リリアーナはそっとラファエロに近づく。
「王弟殿下。私の為に怒ってくださって、ありがとうございます。………この女の口から謝罪が聞けるなんて思ってもみませんでしたわ。お陰で、溜飲を下げる事が出来ました」
そう告げると、リリアーナは心からの感謝と、尊敬の念を込めてふわりと微笑んで見せたのだった。
普段の穏やかなラファエロからは想像も出来ないその行いに、エドアルドですらも目を瞠っている。
「痛いですか?………しかし、あなたに傷付けられ、あなたの采配で命を落とした人の痛みはこんなものではありませんよ?………何年にも渡って苦しめられたリリアーナ嬢とて、心の傷はこんな痛み程度では済まないでしょう。………その節穴だらけの眼球でも抉り出せば、少しは己の愚かさが身に染みますか?」
「ひっ…………!」
ラファエロがいつの間にか空いている手の方に握ったナイフが、ゆっくりと自分の顔に近づいて来るのを見て、恐怖のあまりアマンダは小さく悲鳴を上げた。
エドアルドは怒りを隠そうともせず、壮絶な怒気で周囲を恐怖に陥れるが、ラファエロのそれはまた違った恐ろしさがあった。
ある意味、怒らせるとエドアルドよりも恐ろしいのかもしれないとすらリリアーナは思う。
だがその反面、自分の為にそこまで彼が怒りを感じてくれているという事実に、嬉しさが込み上げてくる。
「あ、謝りますっ………、謝ればいいんでしょう?!」
全く反省の気持ちが見られない発言だったが、アマンダを屈服させられたという事実に、ラファエロは僅かに殺気を抑えた。
「………わ、悪かったわね…………」
悔しそうに体を震わせながら、そっぽを向いたままアマンダは蚊の鳴くような声での謝罪と言えないような謝罪に、リリアーナは苦笑いを浮かべた。
子供でも知っている謝罪の言葉もまともに紡げないらしいが、それでも彼女にとって己の非を認める事がどれ程屈辱的だろうと思うと、それを引き出したラファエロは流石だ。
「………謝罪の仕方もご存知ないのですか?本当に、ブラマーニ家の人間は碌でもない………」
呆れたようにわざとらしく溜息をつくと、ラファエロは押さえつけたアマンダの頭を力任せに前に倒した。
椅子に縛り付けられたままの体制で、無理矢理頭部を押さえつけられ、体を縛る鎖に胸が圧迫され、声にならない悲鳴がアマンダから漏れる。
「『今まで本当に申し訳ございませんでした。愚かな私をお許しください』と言うんですよ。………さあ、私が優しくしているうちに、とっとと謝罪してください。でないと、公開処刑前にあなたの体をズタズタにしてしまいそうです」
甘く囁くラファエロは、ぞっとする程に妖艶な笑みを浮かべていた。
「処刑するときに、息さえしていれば、形状はどうであれ構わんが、せめて民衆の目に触れても問題なさそうな状態にしておいてくれ」
全く意味のない忠告をするエドアルドの声を聞きながら、リリアーナは、ただ真っ直ぐにラファエロを見つめていた。
彼は、自分の為にどうしてここまでしてくれるのだろう。
彼の本心は、何処にあるのだろう。
「い………まで、………も………しわけ………ござい………っ、でした………っ。おろか………、わた………を……、おゆるし……くださ………」
途切れ途切れに、苦しそうに言葉を吐き出すアマンダに一瞬だけ目を向けた後、リリアーナはそっとラファエロに近づく。
「王弟殿下。私の為に怒ってくださって、ありがとうございます。………この女の口から謝罪が聞けるなんて思ってもみませんでしたわ。お陰で、溜飲を下げる事が出来ました」
そう告げると、リリアーナは心からの感謝と、尊敬の念を込めてふわりと微笑んで見せたのだった。
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