11 / 49
第1章 念願の国外追放
Subの本能 ※
しおりを挟む
「本当にオーナーかっこ良かったんだから!」
「ウルはまぁだ言ってんのか」
いつも尻揉んでくるお客さんが呆れたように笑うけど、そんなもん何度言ったって言い足りないくらいだよ。
当のオーナーも厨房で苦笑いしてるんだけどさ。
「だって本当にかっこ良かったんだもん!」
あのマッドベアの件から1ヶ月。
あの日オーナーが来てからの現場はオーナーとティールだけで足りてしまうくらいあっけないものだった。
尤もティールの至らない所をオーナーがフォローしながら自分の獲物も倒す、みたいな事をやってのけててもうほぼオーナーが倒したようなもんだ。本当にかっこ良すぎてより推せる。
現場が血生臭い凄惨な状態じゃなかったら「抱いて」ってうちわ持ってオーナーの髪の色に合わせた赤のサイリウム振り回してる所だったよ!
そのティールは自分だけじゃマッドベアの群れに対処出来なかった事にショックを受けてしばらく武者修行に出てしまった。
そういやティールってまだ光魔法使えないけど、どうやって光の勇者になったんだったけな?今みたいに修行して、だったんなら武者修行もいいんだろうけど……いや、魔王的には良くないけど、僕は魔王じゃないからね!
というか教会の方の用心棒的な役割はどうしたんだよ、と思ったけどそっちはマリオットの護衛騎士が担ってくれてるらしい。
っていうかもう普通に教会の人みたいに馴染んでたよ……。屋根の修理の人かと思ったら護衛の人だった時は二度見しちゃったよね。
「ルピは見てなかったんだよね。勿体ないな~!」
『ぴぃ!』
僕の肩から元気な声がする。
実はあの魔力欠乏症で孵らなかった卵の中身。僕らが同じ道を帰ってたらあの蜘蛛の巣の近くで瀕死状態で落っこちてたんだ。
マリオット曰くギガントタランチュラが殻の部分を溶かした事で中にいた未熟なハルピュイアが外に出てしまったんじゃないかって。
体の形はもうちゃんとハルピュイアになってるけど魔力もほとんどない、僕の手のひらより少しだけ大きなくらいのハルピュイア。
小さな声でぴぃぴぃ鳴いてて、今にも力尽きそうな様が小説のウルと重なって思わず両手でそっと持ち上げてしまった。
頭の形はヒヨコみたいで、体は胸が控えめな女の子みたい。腕の部分は鳥の羽、腰から下は普通の鳥と同じ。本来若草色なんだけど冷えた体の所為で羽毛のないところがどどめ色みたいになってる。手のひらで包んだら弱々しい呼吸が伝わってきた。
「マリオット……」
2級危険種だから孵すつもりはない、って言ってた。大体僕も農村が危険だから孵したらダメ、って言ったし……だからきっと無理だろうな、って思いながら見たマリオットは盛大なため息を1つ。
それからハルピュイアの体を隅々まで調べて、魔力を通して全体のサーチもして、ふ、っと息を吐く。
「弱ってるから普通のハルピュイアみたいな大きさにはならないし強くもならない。形のおかしい小鳥みたいなもんだな」
ちら、っと見たオーナーもため息を1つ溢して飼うことを了承してくれた。
安易だと思うけどルピと名付けたハルピュイアは僕の影を家にして住んでて気ままに出てきては僕の肩に乗って過ごしてる。
流石に初日は驚いてたお姉さんやお客さん達も1ヶ月も経てば慣れたもんだ。
本物のハルピュイアは恐ろしくて見たくないけど、ハルピュイアになり損ねた小さなルピなら見てみたいってお客さんも多いからお店にいる間はルピもご機嫌で僕の肩に乗ってるんだ。だってみんなおやつくれるからね。
「それにしたって魔物も懐くんだな~」
「ルピが特別なんだよ。魔物みたいな魔力も攻撃性もないから」
だから自分も魔物を手懐けようなんて思わないでね~、って言ったらそんな命知らずな事試すのはお前くらいなもんだ、って大笑いされちゃった。
(ルピが僕に懐くのはもう1つ理由があるけどね……)
あとからマリオットがこっそり教えてくれた。
本来魔物は懐かない。でも凶鳥と言いこのハルピュイアといい、どちらかと言えば賢い部類に入る魔物達が僕を頼るのは僕が魔王だからじゃないか、って。
魔王の定義がなんなのか良くわからないけど、それならあのマッドベアの群れも僕が頼んだら帰ってくれたかな?って訊いたら、『本能だけで生きてる魔物には本物の魔王じゃないと通用しないと思う』って事だったから平和的に解決しようと群れに飛び込んでいかなくて良かったよ。危うく美味しくいただかれてしまう所だった。
でも1つ言いたい。僕は魔王じゃないからね!魔王になんてならないんだから!
そんなこんなでお客さん達にからかわれたりオーナーの手伝いで厨房に入ったりしながらいつもみたいに過ごしてたんだけど。
「あれっ」
お客さんがいなくなったテーブルを拭いてたらお財布が床に落ちてるのに気が付いた。
多分さっき出ていったお客さんのだ。あの人連れの人が払ってたからお財布出さなかったし、落としてるの気付いてないんだろう。
パッと見たらオーナーは丁度部屋の空調が悪いとかで呼ばれて2階に上がったところだったから、近くにいたリリアナ姉さんに声をかける。
「リリアナ姉さん、落とし物届けてくるからちょっとだけお店お願いね!」
「え、ちょっとウル――」
姉さんの声がドアの向こうに消える。
確かさっきの2人組が帰ってからそんなに時間も経ってない筈。お酒飲んでたし、ここでお姉さん達と夜過ごさないなら他の酒場に行ったのかもしれない。近くを捜していなかったら諦めよう、って敷地から出て少しだけ進んだ所で。
「んん……ッ!?」
がば、と後ろから抱え込まれたと思ったら口には分厚い布の感触。
え、何々!?誘拐!?僕なんか誘拐しても身代金払ってくれる人なんていないよ!?
びっくりしてジタバタ暴れたんだけど、いつの間にか目の前に来たおじさんが暴れる僕の足を抱えてしまって、後ろから僕の口を押さえてる人も体を抱えるから僕は宙ぶらりんの体勢になってしまった。
っていうかこの人財布落とした疑惑の人じゃん!まさか最初から誘拐が目的!?
「んー!!んんーーーー!!!」
必死で叫ぶんだけど、防音に優れたお店の中の喧騒は聞こえないものの出てくる前も賑やかだったお店に僕のくぐもった叫びが届くわけない。
だったらルピに呼んでもらおうと思って影を見るけど、それを見越してたらしいおじさんが網で捕まえてしまった。
『ぴぃ!ぴぃぃぃぃ!!!』
網の中でジタバタ暴れるルピをぽい、っと茂みに投げてそのまま僕を抱えたまますたこら歩き出す。
体に回った腕はこんなに必死で暴れてるのに全然解けなくて逆に変な風に動いた所為で体中痛くて最悪だ。
もしかして僕がまだ公爵家の人だって誤解してるのかな?
そう思ってさっきのルピみたいにぽい、っと汚い小屋に投げ込まれて手が外れた時に言ってみたんだ。
「僕お金持ってないし、オーナーも僕なんかに身代金なんて払わないよ?」
教会のみんなとかお店のお姉さん達ならまだしも、ここに押し掛けてきて半年経ってないような僕に払うお金なんてないだろう。
そう言って首を傾げる僕をおじさん達はバカにしたような顔で笑った。
(あ、しかもこのおじさんリリアナ姉さんが好きじゃないねちっこいお客さんじゃん)
にやにや見下ろしてくる1人はお店の常連さんだから僕も顔見知りだ。もう1人は知らないけど。
「お、財布ちゃんと持ってきてくれたんだな~。偉いぞ、ウルちゃん」
「おじさんの忘れ物であってた?」
「おお、合ってる合ってる。店で預かる方向にならなくて助かったぜ」
なんかさっきから体がゾワゾワ変な感じがする。
小さな虫が体を這ってる、みたいな不快感が気持ち悪くて身動ろいだ。
何か変。何か、って言えないんだけど、何かが。
「ウルちゃん、『おすわり』」
――瞬間、体をビリっとした電気が走ったみたいな感覚があって。
「え……」
どうして?
どうして今僕は跪いてるの?
だって今のは『命令』だ。
僕のSubとしての本能はダメになってた筈。なのに、体が言うことを聞かない。
嫌なのに、気持ち悪くて今すぐここから去りたいのにおじさんの手が僕の頬を撫で回すのを黙って許してしまう。
「やっぱりな!最近どうにもSubくせぇと思ってたんだ!あの店にいるSubはウルちゃんだけだもんなぁ」
「本当はエオローと夜な夜なセックスしてたんだろ?俺達にもちょっとわけてもらおうと思ってさ」
「か、勝手な事言わないで!オーナーはこんな事しない!」
そもそもオーナーも僕の本能がダメになってるって知ってるし。
……ダメになってる筈なんだ。
だからこれはびっくりして従ってしまっただけなんだ。
「お財布届けたし、もう帰るから!」
そう言って立ち上がろうとしたのに。
「『こっちに来い』」
「や、やだ……ッ!」
頭の中は激しく抵抗してるのに体は勝手におじさん達に向かっていってしまう。
お酒臭い腕の中に閉じ込められて嫌だ、って懸命に足を後ろに下げようとするのにおじさんのところに辿り着いた体は動かなくて。
「へぇ~、今まで何回か『コマンド』使った事あったけどあの頃は本当にSubとして欠陥品だったんだな~」
そうか、このおじさんと話した時妙に気持ち悪かったのはたまに『コマンド』使われてたからなんだ。
「あの店の娼婦もみんなべっぴん揃いで気に入ってたけどよ、やっぱSubを無理矢理泣かせるのが一番楽しいんだよなぁ。ほら、ウルちゃん『脱げよ』」
「い、いやだ……」
ぷつり、ぷつり、とボタンを1つずつ外していく自分の指が信じられない。
叫びたいのに叫ぼうとした口に布を押し込まれて叫べなくなった。
小説のウルと同じだ。
時期と場所が違うだけ。もしかして僕、今日ここでこの人達に犯されて魔王になっちゃうんだろうか。
せっかくオーナーの側にいられたのに。
魔王になったらオーナーの側にいられなくなっちゃう。そんなの嫌だ。
最後のボタンを外し終えた手がする、っと服を脱いでしまう。
外気に晒された肌が寒くてカタカタ震える僕をおじさん達の手が撫で回してきた。
気持ち悪い筈なのにSubの本能が支配されたがってる。
気持ちいい筈ないのに体が勝手にDomから与えられるものを快楽に置き換えようとする。
気持ち悪いのに気持ちいい、そんなわけのわからない感情で頭がおかしくなりそう。
でも今気を失ったら、何されるかわからない。
「ん……っ」
背中の傷をするすると撫でられて勝手に上擦った声が出てしまった事が自分でも信じられなくて。
「すげぇ傷じゃねえか。ウルちゃん、誰か激しいDomにでも飼われてたの?」
「こんな傷だらけになるくらい可愛がられてたなら俺らも同じくらいしてもいいよな」
ぷつん、と何かが切れるような音がして――でも同時にハーブの良い香りがした。
最初に目の前のおじさんが小屋の端まで吹っ飛んでいった。
次に僕を抱えてるおじさんの怯えた顔が誰かの拳でぐしゃりと嫌な音をたてる。
『ぴぃ!』
「あ……ルピ……」
口に詰められた布を吐き出して、いつもは肩に止まるルピがどうして地面に降りたんだろう、って首を傾げて気付いた。
そうだった。僕上半身裸じゃん!
慌てて自分で落としたシャツを拾って腕を通したんだけど。
「あ、あれ……」
Subドロップしかけてたのかガタガタ震える指と揺れる視界じゃうまくボタンが掛けられない。
背後から何だかすさまじい音が聞こえてる気がするけど、あっちが終わる前にちゃんと服を着なきゃ。
ちゃんとして。
いつもみたいに。
気持ち悪い。どうしよう。吐きそうかも。
頭グラグラしてる。
でもダメ。ちゃんと笑わないと。
いつの間にか後ろから音はしなくなってて、前に回ったオーナーが黙って僕の震える指を避けてボタンを1つずつとめていってくれる。
「オ、オーナー、流石だね!おじさん達飛んでいっちゃった!っていうか助けてくれてありがとう!どうしてここがわかったの?」
笑え。
僕はちゃんと笑える。
魔王になんてなりたくないから、笑わなきゃ。
でもオーナーは何も答えてくれないから少し悲しい。
怒ってるのかな?僕が勝手に外に出たから。
そうだよね。常連さんの持ち物だったら待ってたらすぐ取りに来たかも知れないもんね。
でもなかったら困ると思ったから、なんて取り留めのない言葉が次々僕の口から飛び出すんだけど。
「笑うな」
オーナーの口から出たのはそんな言葉だった。
抱き寄せられた体からはハーブみたいな良い香りがしてる。
料理中だったのかな?悪いことしたな。
「あ、あのごめんね。オーナー……」
「『良い子だ』。だから笑うな」
オーナーから褒められた瞬間あんなに気持ち悪かった体から力が抜けた。
代わりに何だかふわふわとした気持ち良さが体を巡る。
「あ、何これ……」
「すぐ家に帰るぞ。掴まれ」
今のは『コマンド』じゃなかったけど、オーナーの声が心地良くてその太い首にぎゅっとしがみついた。
『ぴぃ!』
「るぴ……」
僕の口から漏れる声が何だか甘ったるい。上手く舌が回らなくて混乱してしまう。
「落ち着け。大丈夫だ。今楽にしてやるから」
「ん……」
何の事かわからないけど、オーナーが言うなら大丈夫なんだろう。
オーナーが動くたび服とか色々擦れて何だか体がゾワゾワするのは何なんだろう。
(え……っていうか、僕……た、勃ってない……!?)
えぇ!?何で!?どうして!!?どうなってるのコレ!!
隠したくてもしっかりとオーナーにくっついた体からオーナーにも僕の異変は伝わってしまってると思う。
何が何だかわからなくて恥ずかしくて意識が飛んでしまいそうな僕にオーナーが何度も言ってくれた。
「良く耐えた。『良い子だ』。もう何も怖くないからな」
その度にふわふわして、体が熱くて、わけがわかんなくて。
僕はどうなっちゃったんだろう、って不安で。
だけど笑わないと、って思って笑うとオーナーの意外に柔らかい唇が額に落ちてくるんだ。
「笑うな。大丈夫だから」
何が大丈夫なのかわからなくて、だけどオーナーが言うなら大丈夫なんだろう、って思って柴犬みたいな手触りの髪に指を絡ませる。
気が付いたら家の風呂場まで戻ってきてた。
「おーなー、おじさんたちは……」
「あいつらは気にしなくて良い。ジェクトが警邏を呼びに行った」
いつも僕のお尻を揉んでくるおじさんだ。
そういえばあの人守衛騎士のちょっと偉い人だったな。
尻揉むのはセクハラだから上官として問題では……?
「ウル、『こっちを見ろ』」
「んん……っ」
オーナーの『コマンド』を聞くたびに体がゾワゾワしてしまう。
さっきのおじさん達のはひたすら気持ちが悪かったのに、オーナーの声は耳に心地よくて大好きな胸筋に顔を擦り付けながら見上げた。
夕焼け色の瞳が僕を見てる。
どうしてそんなどこか痛い、みたいな顔してるんだろう?もしかして僕無意識にオーナーに噛みついたりしちゃったかな?
「おーなー……?」
「『口を開け』、ウル。出来るか?」
「できる……」
あ、と言われた通り口を開いたら、僕のよりも熱くて厚い舌がちろりと僕の薄くて冷えた舌を舐めてきた。
一瞬びっくりして引っ込んだ舌を追いかけるように奥に入ってきたオーナーの舌が器用に動いて僕の口から舌を引きずり出してしまう。
「ん……う、ん……」
何これ、気持ちいい。
頭ボーッとする。でもさっきおじさん達に『コマンド』を使われた時みたいに嫌で意識が遠退く感じじゃなくて。
気持ち良すぎて意識が飛んでしまいそう。
「気持ちいいか?『言え』」
命令口調のオーナーの声が優しくてぼんやりしたまま頷いた。
「きもちい……」
また良い子って褒められて、思わずふふ、って笑ってしまう。
今度は笑うな、って言われなくて顔中にキスが降ってきた。
「『服を脱げ』」
「ん……」
おじさん達に言われた時は絶対嫌だって思ったのに、オーナーに言われるのは全然嫌じゃない。
だってオーナーは僕の神様だから。
神様に何言われたって嫌なわけないもんね。
だから言われるまま服を脱いだ。
上も、もちろん下も。
「おーなー……はずかしい」
「本当か?」
意地悪そうに訊かれて頷いたのに、オーナーの手が僕のぴょこんと勃ち上がったそれに触れる。
Ω×Subのペニスは妊娠させる為に使うものじゃないから総じて小さいんだ。授乳に使わない人に乳首がついてるみたいなものだから。
でもそこの感度は人一倍強い。
だから触られただけでもびくん、と大きく体がしなった。
「お、おーなー……!?」
「奴らに『コマンド』使われただろ。Subドロップ起こしかけてたから応急処置で上書きする。『暴れるな』」
「あ……ッ、だってそんな、さわったら……っんう……」
僕の口を塞ぐオーナーの柔らかくて大きな唇。
無精髭がチクチク痛いけど、キスは温かくて気持ちいい。
恥ずかしくて抵抗しようとしてた体はくったりと弛緩してオーナーの大きな体で支えてもらってないと床に崩れ落ちてしまいそう。
クチュクチュという音が上からなのか下からなのかもうわからないくらいで。
「あ、おーなー、……おーなー、きもちぃ……っ、おーなー……!」
精子を含まない透明で粘ついた体液を吹き出すと同時、オーナーから最後の『良い子だ』が聞こえて僕の意識はブラックアウトした。
※皆様のおかげでHOTリストに載ることが出来ました。ありがとうございます🤗
「ウルはまぁだ言ってんのか」
いつも尻揉んでくるお客さんが呆れたように笑うけど、そんなもん何度言ったって言い足りないくらいだよ。
当のオーナーも厨房で苦笑いしてるんだけどさ。
「だって本当にかっこ良かったんだもん!」
あのマッドベアの件から1ヶ月。
あの日オーナーが来てからの現場はオーナーとティールだけで足りてしまうくらいあっけないものだった。
尤もティールの至らない所をオーナーがフォローしながら自分の獲物も倒す、みたいな事をやってのけててもうほぼオーナーが倒したようなもんだ。本当にかっこ良すぎてより推せる。
現場が血生臭い凄惨な状態じゃなかったら「抱いて」ってうちわ持ってオーナーの髪の色に合わせた赤のサイリウム振り回してる所だったよ!
そのティールは自分だけじゃマッドベアの群れに対処出来なかった事にショックを受けてしばらく武者修行に出てしまった。
そういやティールってまだ光魔法使えないけど、どうやって光の勇者になったんだったけな?今みたいに修行して、だったんなら武者修行もいいんだろうけど……いや、魔王的には良くないけど、僕は魔王じゃないからね!
というか教会の方の用心棒的な役割はどうしたんだよ、と思ったけどそっちはマリオットの護衛騎士が担ってくれてるらしい。
っていうかもう普通に教会の人みたいに馴染んでたよ……。屋根の修理の人かと思ったら護衛の人だった時は二度見しちゃったよね。
「ルピは見てなかったんだよね。勿体ないな~!」
『ぴぃ!』
僕の肩から元気な声がする。
実はあの魔力欠乏症で孵らなかった卵の中身。僕らが同じ道を帰ってたらあの蜘蛛の巣の近くで瀕死状態で落っこちてたんだ。
マリオット曰くギガントタランチュラが殻の部分を溶かした事で中にいた未熟なハルピュイアが外に出てしまったんじゃないかって。
体の形はもうちゃんとハルピュイアになってるけど魔力もほとんどない、僕の手のひらより少しだけ大きなくらいのハルピュイア。
小さな声でぴぃぴぃ鳴いてて、今にも力尽きそうな様が小説のウルと重なって思わず両手でそっと持ち上げてしまった。
頭の形はヒヨコみたいで、体は胸が控えめな女の子みたい。腕の部分は鳥の羽、腰から下は普通の鳥と同じ。本来若草色なんだけど冷えた体の所為で羽毛のないところがどどめ色みたいになってる。手のひらで包んだら弱々しい呼吸が伝わってきた。
「マリオット……」
2級危険種だから孵すつもりはない、って言ってた。大体僕も農村が危険だから孵したらダメ、って言ったし……だからきっと無理だろうな、って思いながら見たマリオットは盛大なため息を1つ。
それからハルピュイアの体を隅々まで調べて、魔力を通して全体のサーチもして、ふ、っと息を吐く。
「弱ってるから普通のハルピュイアみたいな大きさにはならないし強くもならない。形のおかしい小鳥みたいなもんだな」
ちら、っと見たオーナーもため息を1つ溢して飼うことを了承してくれた。
安易だと思うけどルピと名付けたハルピュイアは僕の影を家にして住んでて気ままに出てきては僕の肩に乗って過ごしてる。
流石に初日は驚いてたお姉さんやお客さん達も1ヶ月も経てば慣れたもんだ。
本物のハルピュイアは恐ろしくて見たくないけど、ハルピュイアになり損ねた小さなルピなら見てみたいってお客さんも多いからお店にいる間はルピもご機嫌で僕の肩に乗ってるんだ。だってみんなおやつくれるからね。
「それにしたって魔物も懐くんだな~」
「ルピが特別なんだよ。魔物みたいな魔力も攻撃性もないから」
だから自分も魔物を手懐けようなんて思わないでね~、って言ったらそんな命知らずな事試すのはお前くらいなもんだ、って大笑いされちゃった。
(ルピが僕に懐くのはもう1つ理由があるけどね……)
あとからマリオットがこっそり教えてくれた。
本来魔物は懐かない。でも凶鳥と言いこのハルピュイアといい、どちらかと言えば賢い部類に入る魔物達が僕を頼るのは僕が魔王だからじゃないか、って。
魔王の定義がなんなのか良くわからないけど、それならあのマッドベアの群れも僕が頼んだら帰ってくれたかな?って訊いたら、『本能だけで生きてる魔物には本物の魔王じゃないと通用しないと思う』って事だったから平和的に解決しようと群れに飛び込んでいかなくて良かったよ。危うく美味しくいただかれてしまう所だった。
でも1つ言いたい。僕は魔王じゃないからね!魔王になんてならないんだから!
そんなこんなでお客さん達にからかわれたりオーナーの手伝いで厨房に入ったりしながらいつもみたいに過ごしてたんだけど。
「あれっ」
お客さんがいなくなったテーブルを拭いてたらお財布が床に落ちてるのに気が付いた。
多分さっき出ていったお客さんのだ。あの人連れの人が払ってたからお財布出さなかったし、落としてるの気付いてないんだろう。
パッと見たらオーナーは丁度部屋の空調が悪いとかで呼ばれて2階に上がったところだったから、近くにいたリリアナ姉さんに声をかける。
「リリアナ姉さん、落とし物届けてくるからちょっとだけお店お願いね!」
「え、ちょっとウル――」
姉さんの声がドアの向こうに消える。
確かさっきの2人組が帰ってからそんなに時間も経ってない筈。お酒飲んでたし、ここでお姉さん達と夜過ごさないなら他の酒場に行ったのかもしれない。近くを捜していなかったら諦めよう、って敷地から出て少しだけ進んだ所で。
「んん……ッ!?」
がば、と後ろから抱え込まれたと思ったら口には分厚い布の感触。
え、何々!?誘拐!?僕なんか誘拐しても身代金払ってくれる人なんていないよ!?
びっくりしてジタバタ暴れたんだけど、いつの間にか目の前に来たおじさんが暴れる僕の足を抱えてしまって、後ろから僕の口を押さえてる人も体を抱えるから僕は宙ぶらりんの体勢になってしまった。
っていうかこの人財布落とした疑惑の人じゃん!まさか最初から誘拐が目的!?
「んー!!んんーーーー!!!」
必死で叫ぶんだけど、防音に優れたお店の中の喧騒は聞こえないものの出てくる前も賑やかだったお店に僕のくぐもった叫びが届くわけない。
だったらルピに呼んでもらおうと思って影を見るけど、それを見越してたらしいおじさんが網で捕まえてしまった。
『ぴぃ!ぴぃぃぃぃ!!!』
網の中でジタバタ暴れるルピをぽい、っと茂みに投げてそのまま僕を抱えたまますたこら歩き出す。
体に回った腕はこんなに必死で暴れてるのに全然解けなくて逆に変な風に動いた所為で体中痛くて最悪だ。
もしかして僕がまだ公爵家の人だって誤解してるのかな?
そう思ってさっきのルピみたいにぽい、っと汚い小屋に投げ込まれて手が外れた時に言ってみたんだ。
「僕お金持ってないし、オーナーも僕なんかに身代金なんて払わないよ?」
教会のみんなとかお店のお姉さん達ならまだしも、ここに押し掛けてきて半年経ってないような僕に払うお金なんてないだろう。
そう言って首を傾げる僕をおじさん達はバカにしたような顔で笑った。
(あ、しかもこのおじさんリリアナ姉さんが好きじゃないねちっこいお客さんじゃん)
にやにや見下ろしてくる1人はお店の常連さんだから僕も顔見知りだ。もう1人は知らないけど。
「お、財布ちゃんと持ってきてくれたんだな~。偉いぞ、ウルちゃん」
「おじさんの忘れ物であってた?」
「おお、合ってる合ってる。店で預かる方向にならなくて助かったぜ」
なんかさっきから体がゾワゾワ変な感じがする。
小さな虫が体を這ってる、みたいな不快感が気持ち悪くて身動ろいだ。
何か変。何か、って言えないんだけど、何かが。
「ウルちゃん、『おすわり』」
――瞬間、体をビリっとした電気が走ったみたいな感覚があって。
「え……」
どうして?
どうして今僕は跪いてるの?
だって今のは『命令』だ。
僕のSubとしての本能はダメになってた筈。なのに、体が言うことを聞かない。
嫌なのに、気持ち悪くて今すぐここから去りたいのにおじさんの手が僕の頬を撫で回すのを黙って許してしまう。
「やっぱりな!最近どうにもSubくせぇと思ってたんだ!あの店にいるSubはウルちゃんだけだもんなぁ」
「本当はエオローと夜な夜なセックスしてたんだろ?俺達にもちょっとわけてもらおうと思ってさ」
「か、勝手な事言わないで!オーナーはこんな事しない!」
そもそもオーナーも僕の本能がダメになってるって知ってるし。
……ダメになってる筈なんだ。
だからこれはびっくりして従ってしまっただけなんだ。
「お財布届けたし、もう帰るから!」
そう言って立ち上がろうとしたのに。
「『こっちに来い』」
「や、やだ……ッ!」
頭の中は激しく抵抗してるのに体は勝手におじさん達に向かっていってしまう。
お酒臭い腕の中に閉じ込められて嫌だ、って懸命に足を後ろに下げようとするのにおじさんのところに辿り着いた体は動かなくて。
「へぇ~、今まで何回か『コマンド』使った事あったけどあの頃は本当にSubとして欠陥品だったんだな~」
そうか、このおじさんと話した時妙に気持ち悪かったのはたまに『コマンド』使われてたからなんだ。
「あの店の娼婦もみんなべっぴん揃いで気に入ってたけどよ、やっぱSubを無理矢理泣かせるのが一番楽しいんだよなぁ。ほら、ウルちゃん『脱げよ』」
「い、いやだ……」
ぷつり、ぷつり、とボタンを1つずつ外していく自分の指が信じられない。
叫びたいのに叫ぼうとした口に布を押し込まれて叫べなくなった。
小説のウルと同じだ。
時期と場所が違うだけ。もしかして僕、今日ここでこの人達に犯されて魔王になっちゃうんだろうか。
せっかくオーナーの側にいられたのに。
魔王になったらオーナーの側にいられなくなっちゃう。そんなの嫌だ。
最後のボタンを外し終えた手がする、っと服を脱いでしまう。
外気に晒された肌が寒くてカタカタ震える僕をおじさん達の手が撫で回してきた。
気持ち悪い筈なのにSubの本能が支配されたがってる。
気持ちいい筈ないのに体が勝手にDomから与えられるものを快楽に置き換えようとする。
気持ち悪いのに気持ちいい、そんなわけのわからない感情で頭がおかしくなりそう。
でも今気を失ったら、何されるかわからない。
「ん……っ」
背中の傷をするすると撫でられて勝手に上擦った声が出てしまった事が自分でも信じられなくて。
「すげぇ傷じゃねえか。ウルちゃん、誰か激しいDomにでも飼われてたの?」
「こんな傷だらけになるくらい可愛がられてたなら俺らも同じくらいしてもいいよな」
ぷつん、と何かが切れるような音がして――でも同時にハーブの良い香りがした。
最初に目の前のおじさんが小屋の端まで吹っ飛んでいった。
次に僕を抱えてるおじさんの怯えた顔が誰かの拳でぐしゃりと嫌な音をたてる。
『ぴぃ!』
「あ……ルピ……」
口に詰められた布を吐き出して、いつもは肩に止まるルピがどうして地面に降りたんだろう、って首を傾げて気付いた。
そうだった。僕上半身裸じゃん!
慌てて自分で落としたシャツを拾って腕を通したんだけど。
「あ、あれ……」
Subドロップしかけてたのかガタガタ震える指と揺れる視界じゃうまくボタンが掛けられない。
背後から何だかすさまじい音が聞こえてる気がするけど、あっちが終わる前にちゃんと服を着なきゃ。
ちゃんとして。
いつもみたいに。
気持ち悪い。どうしよう。吐きそうかも。
頭グラグラしてる。
でもダメ。ちゃんと笑わないと。
いつの間にか後ろから音はしなくなってて、前に回ったオーナーが黙って僕の震える指を避けてボタンを1つずつとめていってくれる。
「オ、オーナー、流石だね!おじさん達飛んでいっちゃった!っていうか助けてくれてありがとう!どうしてここがわかったの?」
笑え。
僕はちゃんと笑える。
魔王になんてなりたくないから、笑わなきゃ。
でもオーナーは何も答えてくれないから少し悲しい。
怒ってるのかな?僕が勝手に外に出たから。
そうだよね。常連さんの持ち物だったら待ってたらすぐ取りに来たかも知れないもんね。
でもなかったら困ると思ったから、なんて取り留めのない言葉が次々僕の口から飛び出すんだけど。
「笑うな」
オーナーの口から出たのはそんな言葉だった。
抱き寄せられた体からはハーブみたいな良い香りがしてる。
料理中だったのかな?悪いことしたな。
「あ、あのごめんね。オーナー……」
「『良い子だ』。だから笑うな」
オーナーから褒められた瞬間あんなに気持ち悪かった体から力が抜けた。
代わりに何だかふわふわとした気持ち良さが体を巡る。
「あ、何これ……」
「すぐ家に帰るぞ。掴まれ」
今のは『コマンド』じゃなかったけど、オーナーの声が心地良くてその太い首にぎゅっとしがみついた。
『ぴぃ!』
「るぴ……」
僕の口から漏れる声が何だか甘ったるい。上手く舌が回らなくて混乱してしまう。
「落ち着け。大丈夫だ。今楽にしてやるから」
「ん……」
何の事かわからないけど、オーナーが言うなら大丈夫なんだろう。
オーナーが動くたび服とか色々擦れて何だか体がゾワゾワするのは何なんだろう。
(え……っていうか、僕……た、勃ってない……!?)
えぇ!?何で!?どうして!!?どうなってるのコレ!!
隠したくてもしっかりとオーナーにくっついた体からオーナーにも僕の異変は伝わってしまってると思う。
何が何だかわからなくて恥ずかしくて意識が飛んでしまいそうな僕にオーナーが何度も言ってくれた。
「良く耐えた。『良い子だ』。もう何も怖くないからな」
その度にふわふわして、体が熱くて、わけがわかんなくて。
僕はどうなっちゃったんだろう、って不安で。
だけど笑わないと、って思って笑うとオーナーの意外に柔らかい唇が額に落ちてくるんだ。
「笑うな。大丈夫だから」
何が大丈夫なのかわからなくて、だけどオーナーが言うなら大丈夫なんだろう、って思って柴犬みたいな手触りの髪に指を絡ませる。
気が付いたら家の風呂場まで戻ってきてた。
「おーなー、おじさんたちは……」
「あいつらは気にしなくて良い。ジェクトが警邏を呼びに行った」
いつも僕のお尻を揉んでくるおじさんだ。
そういえばあの人守衛騎士のちょっと偉い人だったな。
尻揉むのはセクハラだから上官として問題では……?
「ウル、『こっちを見ろ』」
「んん……っ」
オーナーの『コマンド』を聞くたびに体がゾワゾワしてしまう。
さっきのおじさん達のはひたすら気持ちが悪かったのに、オーナーの声は耳に心地よくて大好きな胸筋に顔を擦り付けながら見上げた。
夕焼け色の瞳が僕を見てる。
どうしてそんなどこか痛い、みたいな顔してるんだろう?もしかして僕無意識にオーナーに噛みついたりしちゃったかな?
「おーなー……?」
「『口を開け』、ウル。出来るか?」
「できる……」
あ、と言われた通り口を開いたら、僕のよりも熱くて厚い舌がちろりと僕の薄くて冷えた舌を舐めてきた。
一瞬びっくりして引っ込んだ舌を追いかけるように奥に入ってきたオーナーの舌が器用に動いて僕の口から舌を引きずり出してしまう。
「ん……う、ん……」
何これ、気持ちいい。
頭ボーッとする。でもさっきおじさん達に『コマンド』を使われた時みたいに嫌で意識が遠退く感じじゃなくて。
気持ち良すぎて意識が飛んでしまいそう。
「気持ちいいか?『言え』」
命令口調のオーナーの声が優しくてぼんやりしたまま頷いた。
「きもちい……」
また良い子って褒められて、思わずふふ、って笑ってしまう。
今度は笑うな、って言われなくて顔中にキスが降ってきた。
「『服を脱げ』」
「ん……」
おじさん達に言われた時は絶対嫌だって思ったのに、オーナーに言われるのは全然嫌じゃない。
だってオーナーは僕の神様だから。
神様に何言われたって嫌なわけないもんね。
だから言われるまま服を脱いだ。
上も、もちろん下も。
「おーなー……はずかしい」
「本当か?」
意地悪そうに訊かれて頷いたのに、オーナーの手が僕のぴょこんと勃ち上がったそれに触れる。
Ω×Subのペニスは妊娠させる為に使うものじゃないから総じて小さいんだ。授乳に使わない人に乳首がついてるみたいなものだから。
でもそこの感度は人一倍強い。
だから触られただけでもびくん、と大きく体がしなった。
「お、おーなー……!?」
「奴らに『コマンド』使われただろ。Subドロップ起こしかけてたから応急処置で上書きする。『暴れるな』」
「あ……ッ、だってそんな、さわったら……っんう……」
僕の口を塞ぐオーナーの柔らかくて大きな唇。
無精髭がチクチク痛いけど、キスは温かくて気持ちいい。
恥ずかしくて抵抗しようとしてた体はくったりと弛緩してオーナーの大きな体で支えてもらってないと床に崩れ落ちてしまいそう。
クチュクチュという音が上からなのか下からなのかもうわからないくらいで。
「あ、おーなー、……おーなー、きもちぃ……っ、おーなー……!」
精子を含まない透明で粘ついた体液を吹き出すと同時、オーナーから最後の『良い子だ』が聞こえて僕の意識はブラックアウトした。
※皆様のおかげでHOTリストに載ることが出来ました。ありがとうございます🤗
72
お気に入りに追加
2,592
あなたにおすすめの小説
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる