鳴けない金糸雀(カナリア)

ナナメ

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初めて ※

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 男の舌が薄いスレイブの舌に絡んでするりと引き出してしまう。まるで甘い菓子を取り上げられたような心地で追いかけて口から出た舌を吸い上げられ頭がじんと痺れた。
 幾重にも重なった薄い布ごとスレイブの形を変えたそこに男の指が絡み付いて擦り上げるけれど、最早そこへの刺激だけでイく事の出来ないスレイブはイヤイヤと首を横に振る。
 薄衣は腿からスリットになっていて膝を立てれば捲れた布から白くしなやかな足が覗いた。男の服はまだ乱れていないし、目線をやった股の物が反応している様子もない。

(早く……早く欲しい……!)

 スレイブは膝で男のそこをスリスリと擦る。
 他の客にやると喜ばれあっという間にほとんど布などない下着を脱がされて入れてくれるのに、男はほんの少し動きを止めてスレイブをちら、と見上げた。
 冷たい瞳はやはり冷たいままで全然昂ってくれない男に泣きたくなってくる。
 早く入れてめちゃくちゃにして欲しいのに。
 奥が疼いて仕方ないのに。
 自身の指では届かない所だと分かっているから、震える指で男の手を掴んだ。

(ここ……ここに……)

 男が擦っていた場所のさらに奥。
 とろとろと潤滑液が滑り落ちてくる後孔に男の手を当てる。
 擦って欲しい場所を察したらしい男の武骨な指が入ってくるけれど柔らかく綻んだそこは指ではなくもっと太い物を欲してゆるゆると口を開いた。
 それでもスレイブが望む物は貰えなくて、2本、3本と指が増えるだけで奥まで届かない。
 もどかしくて苦しくて何度も何度も首を振る。
 それからふとスレイブは男の顔を引き寄せた。舌先に集めた魔力を相手に送って、お互いの魔力を循環させる方法を取る為だ。
 最初に魔力を送られる相手は気持ち良くなれるけれど相手からの魔力はスレイブにとっては毒のように回って、媚薬で高められた体が戻ると必ず反発する魔力を放出するのに体調を崩してしまう。だから普段は出来るだけやりたくない方法なのだけれど、いつまで経ってもスレイブばかりを高めようとする男に疼く後孔を埋めて欲しくて舌を絡めた。

(……甘い……)

 滅多に口に入ることのない大好きな果物のような甘味。普段は苦いとしか思えないのに、何故か男から戻ってくる魔力が甘い。
 加えて男もびくっ、と体を揺らし向こうからもゆるゆると魔力を送り込んでくる。
 ほわほわと甘く、ゆっくりと体を巡る暖かい流れが気持ち良くて夢中で男の唇を吸った。
 ふと膝に当たる感覚に違和感を覚えて唇を離すと細く糸がひいてふつりと切れる。
 先程までどんなに刺激しても兆しのなかった男のそこが熱く硬くなっていた。それなのに入れようとしない男にスレイブはほろほろと涙を溢しながらサイドテーブルの板を手に取る。

『いれて』

 指だけじゃない、奥まで擦って欲しい。
 我慢が出来ない。いつもなら苦しいだけの魔力の循環が凄く気持ち良くて、いつも以上に体が熱いから。
 だからお願い、早く、と尻を男のそこへと擦り付ける。
 男が微かに呻いて……小さく息を吐いた。
 少し前まで冷たく冷めていた瞳がぎらぎらと肉食獣のような光を湛えてスレイブを見下ろしている。

 早く、早く、と急いていたスレイブの柔らかく綻んだ後孔に男の硬くなった熱杭が入り込むまでそう時間はかからなかった。指で散々慣らしたからでもあるし、この4年使われ続けたそこは高ぶれば勝手に柔らかく綻んでしまうからだ。

 半分くらいを一気に押し込まれスレイブの体は大きくしなった。

「……っ!!!!」

 声の出ない喉から空気が漏れる音が出るくらいの衝撃。声が出ていたらきっと叫んでいただろう。
 頭の中がチカチカして満点の星空が見えるようだ。

「大丈夫か」

 ガクガク震える体は知らない間に達していたようで布が濡れて張り付いていて気持ちが悪い。けれどそれ以上にゆる、と動くその動きにまた口をはくはくと開けた。
 熱くて、体にぴったりはまるようで、気持ちが良い。
 こんなに気持ちが良いと思えた事など一度もない程に気持ちが良くてまたほろほろ涙が溢れてくる。

「どうした、苦しいのか」
 
 違う、と首を横に振って男の首に腕を回す。
 もっと、もっと奥まで入れてちゃんと動いて。
 あまりの気持ち良さで爪が鉤爪状になってしまっている事も分からずに男の肩に縋った。
 一瞬痛みに顔をしかめた男だったが一度スレイブの表情を確認してからまたずるりと奥へ自身を押し込んでいく。
 入れる度に腹の間でスレイブの勃ち上がったままのそこからトロトロと白濁が押し出されているのだから苦痛はないだろう、と彼の身を包む薄衣を脱がしてやった。
 鳥人族は空を飛ぶ者もいる為細い者が多いけれど、スレイブもまた客に抱き心地が悪いと思われない程度には細い。
 性奴隷が逃げない為に魔力で入れられる刻印が腹で淡く光っているのが見えた。
 くるりと体を返して後ろから突けば細い腰をくねらせながら、鳥人族にしては小さな尾羽がふるふると震えている。
 そして男は肩甲骨辺りの小さな羽を撫でた。

「切られたのか」

 小さな黄色い羽が根本の辺りで羽ばたくように動いている。
 スレイブは首を振った。
 正直昔の事はあまり覚えていないし、この羽が元からだったのか男の言う通り切られたのかすらわからない。
 今明確に分かるのは、せっかく奥まで入った熱杭が全然動いてくれなくてもどかしい事だけだ。
 鉤爪のままの手が枕に食い込んで最低限の綿が詰められた布に穴が開いてしまうくらい必死に男を求めた。

 もう一度吐息を溢してからの男はスレイブが望む物をこれでもかと与えてくれた。
 背後から突いて絶頂を迎えている途中のスレイブをまた表に戻し正面から突いて、舌を絡めあった。横向きになったり、上に乗せられたり、全てを搾り尽くされる程に。

 男が中に出す度にスレイブは震える。

(お腹……パチパチする……!)

 男の魔力が腹の中でパチパチと弾けている。気持ち良くて頭も体も蕩けてしまいそうだ。
 だから本来最後客と風呂に入る時はスレイブが客を洗わなければいけないのに逆にスレイブの方が男に洗われてしまったくらいだった。

 申し訳なくて縮こまるスレイブに男はまた小さく笑ったようだ。

「疲れただろう。寝ていろ」

 客を送るまでは寝てはいけない、と教え込まれたスレイブは耳羽から髪にかけて優しく撫でるその手の平に抗おうとしていたのに……気付けばこてりと夢の中に旅立ってしまっていた。
 
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