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「おかえり、真希。バイト遅くまでお疲れ様」
「帰りました!すみません、こんな遅くまで!」
アパートに辿り着いたショウタと呼ばれていた少年……本名は雨宮 真希である彼がまず向かったのは自分の部屋の隣。物書きだという隣の住人は未だに起きていて、こんな非常識な時間にも関わらず笑顔で出迎えてくれる。
「構わない。あの子なら仕事の支障にもならないし気にしないで」
むしろ大人しすぎて心配だよ、と肩を竦める青年は真希がここへ越して来た時から交流がある相手だ。学校の教師以外で真希の事情を知る少ない相手でもある。青年に返す言葉がなく苦笑した時。
「にーちゃん……?」
青年の背後から声を聞き付けて起きたらしい愛らしく小さな子供が眼を擦りながら現れた。
彼が大切そうに片手に抱くのは、子供ながら家の事情を察しているのか滅多におねだりなどしない幼子がとてもとても遠慮がちにおねだりした、リュックを背負ったくまのヌイグルミ。二つ返事で買い与えて以来、ほとんど何をするにも連れて歩いている宝物。
真希としてはもう少し他の子みたいにワガママを言ってくれてもいいのに、と思うが決してそんなことはしない子供は5歳になったばかりの真希の弟である。
寝ぼけ眼だった彼は真希を見るなりパッと顔を綻ばせパタパタと駆け寄ってきた。
「真央!ごめんな、遅くなっちゃって」
「ううん、だいじょーぶ。おにーさんが遊んでくれたよ」
「隣で本を読んでいただけだけどね」
仕事中の青年の横にちょこん、と座り大人しく青年が用意してやった絵本を読み喉が渇けば自分で飲み物を用意する。時には仕事にのめり込み動きがなくなる青年の為に飲み物を運んできてくれる真希の弟、真央は同年代の子供たちに比べて手がかからず助かる反面心配にもなるのだ。恐らく子供なりに精一杯気を使って、大人と兄の邪魔にならないよう、困らせないようきつく自分を戒めて無理をしているのではないか、と。
実際昼間には幼稚園、夜には青年のところに預けられ真希と過ごせる時間が希にしかなくとも不満は言わない。ただこうして迎えに来た時に見せる笑顔は嬉しさを全面に放出しているし、預けて学校や“バイト”へ向かう真希を見送る時の笑顔には寂しさが多分に含まれている。
完全に感情を隠しきれないのに懸命に耐えている真央は真希の何よりも大切な宝物。基本土日には絶対“バイト”は入れずに一日中真央と過ごすことに決めている。
青年に手厚く礼を言って家に帰りうつらうつらと船を漕ぐ真央を寝かしつけてから風呂へ向かいようやく男に出された物を掻き出して一息。
1DKのアパートは格安。真希達の住むこの角部屋はその中でもさらに破格だ。どうやら曰く付きの部屋らしいが住んでこの方怪奇現象に悩まされた事もないし壁紙の裏から血痕が見つかった、何度変えても電気がすぐ消える、鏡に知らない人が映る、なんてホラーな事もない。隣の青年も優しいし、お買得物件だと思う。
この部屋の元々の名義は父親。2年前に病気で亡くなってからは一応真希名義で、保証人は隣の青年がなってくれた。
当時16歳、高1だった真希は父親がまだ話せていた頃、お金は口座にこれだけあるからそこからやりくりしなさい、そう言い含められていたが3歳の真央を抱え途方にくれていたから青年のその申し出は有り難かった。
けれど、相手はただの隣の住人。なのに何故そこまでしてくれるのか、と訊けば生まれたばかりの真央と真希を連れて越してきた父親は青年の著書の大ファンだったらしく実は知らない内に交流があったのだと。そして自分に何かあればどうか二人を助けてやってほしい、と言われていたと。
青年としては金銭援助も、と思わなくもなかったが自分自身大学を出たばかりの身、それに赤の他人にそこまでされては真希も居心地が悪かろうとその提案は飲み込んだ。
ちなみにこんなに格安の少し古びたアパートに住んではいるが、青年は今年大ヒットした映画の原作者、他にも色々な賞を取り今一番売れている作家の一人なのだとか。そんな相手が何故こんなところに、と尋ねたらこの自然な喧騒が落ち着くのだと言われた。ちょっと変わってるのかな、とは思ったが、しかし隣に住んでいたのが彼でなければ今頃真希は高校にも行けていなかったかもしれない、と考えれば本当に頭が上がらない。
お礼ならたまにご飯をつくってほしい、と話してくれた青年にまた今度お礼がてら晩御飯お裾分けに行こう、と考えながら就寝準備を済ませようやく眠りについた。
翌朝ふ、と目覚めると朝日は昇った後らしくカーテンごしに燦々と陽光が射し込んでいる。
(……もう、朝……)
真央は、と目を抉じ開ければ6畳の狭い部屋を見渡すまでもなく、眠る真希のすぐ側でくまのヌイグルミ相手にポソポソと喋っていた。
おさかなさんいっぱいいるんだって。おっきなのもいるんだよ。たかーいとこにジャンプもするの。すごいね。見てみたいね。
真希を起こさないように、と本当に小さな小さな声で言っている内容は真希本人にはなかなか言ってくれない真央の望み。そういえば真央と仲良くしてくれている幼稚園の友達が水族館に連れて行ってもらった!と嬉しそうにしていたのは先週の話だったか。きっとそれからこうやってくま相手に思いをぶつけていたのだろう。気付かなかった事が申し訳なく、そして悔しくて言葉がするりと滑り出た。
「真央、行こうか。水族館」
話しかけたらまさか兄が起きていると思っていなかったらしい真央が子猫のように飛び上がり、それからわたわたと振り返るのが可愛くて思わず吹き出す。
「ごめんごめん、びっくりさせたな」
「びっくりした……。にーちゃん、おはよう」
「うん、おはよ。な、真央。今から水族館行こう」
ねちっこい攻めが得意の男相手に仕事をした翌日で体はかなり怠いけれど、なかなかワガママを言ってくれない弟の望みは叶えてやりたい。重たい体に気合いを入れて起き上がると一瞬嬉しそうな顔をしたくせにすぐプルプルと首を振る。
「にーちゃん、ねむそう、だから。今度でいー……」
「大丈夫だって」
明日はスーパーの特売日で遅くなれないから今日行けなければまた来週になってしまう。来週になったらきっとこの弟は自分の中で折り合いをつけてしまって水族館の事など口にしなくなるだろうから、連れて行って気兼ねなく一番喜んでくれるのは今日しかないのだ。
「ホント?」
「ホント。兄ちゃんも真央くらいの頃に連れてってもらったきりだし久しぶりに行きたいんだ」
父も母もいる普通の家庭だったあの頃を思い出し、即記憶から消してしまう。母は生まれたばかりの真央と病気がちな父を置いて他の男と逃げてしまった。それを恨むにはもう真希の中のどこかが麻痺してしまったようで、今では特に何も感じない。ただそんな人もいて、そんなこともあったな、とぼんやり思うくらいだ。
「すいぞくかん、まおも行きたい。行ってもいーの……?」
「いいよ。時間ないから朝ご飯はコンビニで買って食べよ。顔洗っておいで」
「うん!」
今度こそ全開の笑顔になった真央がパタパタと洗面所へ駆けていく姿を見送って、着替えを用意してから寝不足と疲労でずきずき痛む頭を鎮痛剤で誤魔化した。
「あのね、あのね!まお、イルカさんが一番よかった!イルカさん、すごいね!ビューン!って飛んだよ!」
電車で1時間ほど揺られて辿り着いた、生まれて初めての水族館に緊張した顔をしていた真央は入り口で出迎えた上からも覗けるタイプの水槽に早速感嘆の声をあげてぐいぐいと真希の手を引っ張るほど大喜び。
手を振りほどかないあたりが真央らしいな、と顔を綻ばせながらついていき、すごいね、すごいね、おさかなさんいっぱいだね!などと大興奮の真央に真希も連れてきた甲斐があると嬉しくなる。
普段は大人しい真央が一番興奮したのはやはり目玉のイルカショー。イルカがジャンプをするたび、すごい、すごい、と自分も一緒に飛び跳ねるほどで周りの客も微笑ましげに見守ってくれていた。
出口のお土産屋ではじっ、とイルカのヌイグルミを見つめていたけれど何も言わず眉を寄せていたから欲しいのか訊いたら
「んーん、まおはくまさんがいるからいー」
欲しそうにしているくせに健気にもそう言われ、それならとキーホルダーが売られている場所まで連れて行って。
「好きなの選んでいいよ。くまさんのリュックにつけてあげる」
そう告げたら本当にいいの?と言いたげに見上げて、本当だとわかると同じようなイルカのキーホルダーを一個一個見比べ、真っ白なイルカを1つ手に取った。帰りの電車でくまのリュックにつけてやるとまた大喜び。
そんな真央をさらに喜ばせたのが夕飯だ。家がある駅の何個か前で降り辿り着いたファミレスは本当に時々しか連れてきてやれないから真央の中では特別な場所。またも、いいの?ホントにいいの?と何度も何度も確認してから選らんだのはお子様ハンバーグセット。ハンバーグは真央の好物で、待っている今も嬉しそうな笑顔のまま。
「にーちゃんは?にーちゃん、どのおさかなさんがよかった?」
「そうだなぁ……、やっぱりイルカさんかな。あと魚じゃないけど、ペンギンさんも可愛かった」
「ペンギンさん!ペンギンさんね、かいだんのぼるときよいしょ、よいしょ、ってかわいかったね!」
真央の笑顔に癒されながら自然と真希も笑顔になる。こうして真央と過ごす時間が何よりも楽しくて何よりも大切だ。今日何度目かの鎮痛剤をこっそり飲み下して運ばれてきたハンバーグに目を輝かせる真央を微笑みながら見つめた。
――――これは母に捨てられ、父に先立たれた兄弟の物語。
「帰りました!すみません、こんな遅くまで!」
アパートに辿り着いたショウタと呼ばれていた少年……本名は雨宮 真希である彼がまず向かったのは自分の部屋の隣。物書きだという隣の住人は未だに起きていて、こんな非常識な時間にも関わらず笑顔で出迎えてくれる。
「構わない。あの子なら仕事の支障にもならないし気にしないで」
むしろ大人しすぎて心配だよ、と肩を竦める青年は真希がここへ越して来た時から交流がある相手だ。学校の教師以外で真希の事情を知る少ない相手でもある。青年に返す言葉がなく苦笑した時。
「にーちゃん……?」
青年の背後から声を聞き付けて起きたらしい愛らしく小さな子供が眼を擦りながら現れた。
彼が大切そうに片手に抱くのは、子供ながら家の事情を察しているのか滅多におねだりなどしない幼子がとてもとても遠慮がちにおねだりした、リュックを背負ったくまのヌイグルミ。二つ返事で買い与えて以来、ほとんど何をするにも連れて歩いている宝物。
真希としてはもう少し他の子みたいにワガママを言ってくれてもいいのに、と思うが決してそんなことはしない子供は5歳になったばかりの真希の弟である。
寝ぼけ眼だった彼は真希を見るなりパッと顔を綻ばせパタパタと駆け寄ってきた。
「真央!ごめんな、遅くなっちゃって」
「ううん、だいじょーぶ。おにーさんが遊んでくれたよ」
「隣で本を読んでいただけだけどね」
仕事中の青年の横にちょこん、と座り大人しく青年が用意してやった絵本を読み喉が渇けば自分で飲み物を用意する。時には仕事にのめり込み動きがなくなる青年の為に飲み物を運んできてくれる真希の弟、真央は同年代の子供たちに比べて手がかからず助かる反面心配にもなるのだ。恐らく子供なりに精一杯気を使って、大人と兄の邪魔にならないよう、困らせないようきつく自分を戒めて無理をしているのではないか、と。
実際昼間には幼稚園、夜には青年のところに預けられ真希と過ごせる時間が希にしかなくとも不満は言わない。ただこうして迎えに来た時に見せる笑顔は嬉しさを全面に放出しているし、預けて学校や“バイト”へ向かう真希を見送る時の笑顔には寂しさが多分に含まれている。
完全に感情を隠しきれないのに懸命に耐えている真央は真希の何よりも大切な宝物。基本土日には絶対“バイト”は入れずに一日中真央と過ごすことに決めている。
青年に手厚く礼を言って家に帰りうつらうつらと船を漕ぐ真央を寝かしつけてから風呂へ向かいようやく男に出された物を掻き出して一息。
1DKのアパートは格安。真希達の住むこの角部屋はその中でもさらに破格だ。どうやら曰く付きの部屋らしいが住んでこの方怪奇現象に悩まされた事もないし壁紙の裏から血痕が見つかった、何度変えても電気がすぐ消える、鏡に知らない人が映る、なんてホラーな事もない。隣の青年も優しいし、お買得物件だと思う。
この部屋の元々の名義は父親。2年前に病気で亡くなってからは一応真希名義で、保証人は隣の青年がなってくれた。
当時16歳、高1だった真希は父親がまだ話せていた頃、お金は口座にこれだけあるからそこからやりくりしなさい、そう言い含められていたが3歳の真央を抱え途方にくれていたから青年のその申し出は有り難かった。
けれど、相手はただの隣の住人。なのに何故そこまでしてくれるのか、と訊けば生まれたばかりの真央と真希を連れて越してきた父親は青年の著書の大ファンだったらしく実は知らない内に交流があったのだと。そして自分に何かあればどうか二人を助けてやってほしい、と言われていたと。
青年としては金銭援助も、と思わなくもなかったが自分自身大学を出たばかりの身、それに赤の他人にそこまでされては真希も居心地が悪かろうとその提案は飲み込んだ。
ちなみにこんなに格安の少し古びたアパートに住んではいるが、青年は今年大ヒットした映画の原作者、他にも色々な賞を取り今一番売れている作家の一人なのだとか。そんな相手が何故こんなところに、と尋ねたらこの自然な喧騒が落ち着くのだと言われた。ちょっと変わってるのかな、とは思ったが、しかし隣に住んでいたのが彼でなければ今頃真希は高校にも行けていなかったかもしれない、と考えれば本当に頭が上がらない。
お礼ならたまにご飯をつくってほしい、と話してくれた青年にまた今度お礼がてら晩御飯お裾分けに行こう、と考えながら就寝準備を済ませようやく眠りについた。
翌朝ふ、と目覚めると朝日は昇った後らしくカーテンごしに燦々と陽光が射し込んでいる。
(……もう、朝……)
真央は、と目を抉じ開ければ6畳の狭い部屋を見渡すまでもなく、眠る真希のすぐ側でくまのヌイグルミ相手にポソポソと喋っていた。
おさかなさんいっぱいいるんだって。おっきなのもいるんだよ。たかーいとこにジャンプもするの。すごいね。見てみたいね。
真希を起こさないように、と本当に小さな小さな声で言っている内容は真希本人にはなかなか言ってくれない真央の望み。そういえば真央と仲良くしてくれている幼稚園の友達が水族館に連れて行ってもらった!と嬉しそうにしていたのは先週の話だったか。きっとそれからこうやってくま相手に思いをぶつけていたのだろう。気付かなかった事が申し訳なく、そして悔しくて言葉がするりと滑り出た。
「真央、行こうか。水族館」
話しかけたらまさか兄が起きていると思っていなかったらしい真央が子猫のように飛び上がり、それからわたわたと振り返るのが可愛くて思わず吹き出す。
「ごめんごめん、びっくりさせたな」
「びっくりした……。にーちゃん、おはよう」
「うん、おはよ。な、真央。今から水族館行こう」
ねちっこい攻めが得意の男相手に仕事をした翌日で体はかなり怠いけれど、なかなかワガママを言ってくれない弟の望みは叶えてやりたい。重たい体に気合いを入れて起き上がると一瞬嬉しそうな顔をしたくせにすぐプルプルと首を振る。
「にーちゃん、ねむそう、だから。今度でいー……」
「大丈夫だって」
明日はスーパーの特売日で遅くなれないから今日行けなければまた来週になってしまう。来週になったらきっとこの弟は自分の中で折り合いをつけてしまって水族館の事など口にしなくなるだろうから、連れて行って気兼ねなく一番喜んでくれるのは今日しかないのだ。
「ホント?」
「ホント。兄ちゃんも真央くらいの頃に連れてってもらったきりだし久しぶりに行きたいんだ」
父も母もいる普通の家庭だったあの頃を思い出し、即記憶から消してしまう。母は生まれたばかりの真央と病気がちな父を置いて他の男と逃げてしまった。それを恨むにはもう真希の中のどこかが麻痺してしまったようで、今では特に何も感じない。ただそんな人もいて、そんなこともあったな、とぼんやり思うくらいだ。
「すいぞくかん、まおも行きたい。行ってもいーの……?」
「いいよ。時間ないから朝ご飯はコンビニで買って食べよ。顔洗っておいで」
「うん!」
今度こそ全開の笑顔になった真央がパタパタと洗面所へ駆けていく姿を見送って、着替えを用意してから寝不足と疲労でずきずき痛む頭を鎮痛剤で誤魔化した。
「あのね、あのね!まお、イルカさんが一番よかった!イルカさん、すごいね!ビューン!って飛んだよ!」
電車で1時間ほど揺られて辿り着いた、生まれて初めての水族館に緊張した顔をしていた真央は入り口で出迎えた上からも覗けるタイプの水槽に早速感嘆の声をあげてぐいぐいと真希の手を引っ張るほど大喜び。
手を振りほどかないあたりが真央らしいな、と顔を綻ばせながらついていき、すごいね、すごいね、おさかなさんいっぱいだね!などと大興奮の真央に真希も連れてきた甲斐があると嬉しくなる。
普段は大人しい真央が一番興奮したのはやはり目玉のイルカショー。イルカがジャンプをするたび、すごい、すごい、と自分も一緒に飛び跳ねるほどで周りの客も微笑ましげに見守ってくれていた。
出口のお土産屋ではじっ、とイルカのヌイグルミを見つめていたけれど何も言わず眉を寄せていたから欲しいのか訊いたら
「んーん、まおはくまさんがいるからいー」
欲しそうにしているくせに健気にもそう言われ、それならとキーホルダーが売られている場所まで連れて行って。
「好きなの選んでいいよ。くまさんのリュックにつけてあげる」
そう告げたら本当にいいの?と言いたげに見上げて、本当だとわかると同じようなイルカのキーホルダーを一個一個見比べ、真っ白なイルカを1つ手に取った。帰りの電車でくまのリュックにつけてやるとまた大喜び。
そんな真央をさらに喜ばせたのが夕飯だ。家がある駅の何個か前で降り辿り着いたファミレスは本当に時々しか連れてきてやれないから真央の中では特別な場所。またも、いいの?ホントにいいの?と何度も何度も確認してから選らんだのはお子様ハンバーグセット。ハンバーグは真央の好物で、待っている今も嬉しそうな笑顔のまま。
「にーちゃんは?にーちゃん、どのおさかなさんがよかった?」
「そうだなぁ……、やっぱりイルカさんかな。あと魚じゃないけど、ペンギンさんも可愛かった」
「ペンギンさん!ペンギンさんね、かいだんのぼるときよいしょ、よいしょ、ってかわいかったね!」
真央の笑顔に癒されながら自然と真希も笑顔になる。こうして真央と過ごす時間が何よりも楽しくて何よりも大切だ。今日何度目かの鎮痛剤をこっそり飲み下して運ばれてきたハンバーグに目を輝かせる真央を微笑みながら見つめた。
――――これは母に捨てられ、父に先立たれた兄弟の物語。
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