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第二章 浄化の旅

内乱と侵攻

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あれから3ヶ月。
モンスターが多いところや病気が流行ってる所を中心に浄化して回って、ナルデビルやヘルクロウみたいな危険種にも出会わずやっと国の4分の1が浄化出来たかなぁ、って頃。
今いる町で一旦休憩、ってなってみんな思い思いに過ごしてたんだけどーーー随分と険しい顔をしたディアが町に散らばっていたみんなを呼び戻した。

「ナフィーリアが国境を越えて攻めてきた。浄化は一旦中止だ。王都へ戻る」

いつも定期連絡をしていたレイアゼシカとも、休憩の時には単身転移で離宮に戻ってるメイディとも連絡がつかなくなったみたい。
影部隊が先行して王都に向かってるけど、ここから王都までどんなに急いだって半月はかかる距離。
一体何が起きてるのか全くわからないまま王都に向けて駆ける。本当はきっちり何が起きてるのか情報を集めてからの方が良いんだろうけど、王都にいる他の騎士団とも連絡がつけられないから情報を集めようがないし、まだ集団転移を使って半年経ってなくて一斉に転移出来ない以上もう少し王都の近くに行きたい。その途中で先行した影から情報をもらって今後の動きを決めるそうだ。

そしてその情報は王都まで後半分という所でもたらされた。

「王都で内乱が起こっています!国王陛下率いる神殿兵とレイアゼシカ殿下率いる騎士団が王宮前にて戦闘中です!」

「何だって!?」

「一体何が起きたんだ!」

騎士団がざわめく中、先行していた影部隊は言う。

「王都では一月前から国王陛下の側妃、その子息達が暗殺される事件が起こっていました」

後宮に残った側妃の他に、国王の乱心を恐れて実家に戻っていた側妃達も含めてほぼ全滅状態なのだとか。その中で第一王子であるテューイリングの妻メイディが無事なのは、テューイリングが謀反を画策しているからだと国王が騒ぎ立てテューイリング及びメイディの身柄を拘束しようとした。神殿兵が王宮を包囲すると同時にナフィーリア軍が国境を越えて進軍。
直ぐ様レイアゼシカがまとめあげた騎士団は騎士団寮を砦に変えて現在交戦中らしい。

「レイアゼシカ殿下から書状を預かっております」

手渡されたそれを開き読み進めるにつれてディアの眉間の皺が深くなる。

「…砦の一部は既に突破された。東は死守している。そこから王宮へ戻れと」

「急がねば東も突破される恐れがありますね。相手も何故そこだけ死守しているか予測はついてるでしょう」

第一騎士団がいるのが東であること、東には大森林ハルルがあり少人数なら別名迷いの森とも言われるハルルを通過して国外脱出できること、逆に過去エルフからの襲撃に備え東の国境は堅牢に作られていること、大軍を待機させる為に東の街は国境付近が開けた作りになっており、国境砦に立てこもれば王宮側から来る敵も国境の外から来る敵も見渡せること。
戦うのに最適なのは東の国境砦。だから真っ先にレイアゼシカはそこを押さえた。

ディアが開いた地図に影が見た最後の陣形を書き込んでいく。
王宮にレイアゼシカ達主軍の第2騎士団。
王宮前に第6、第7騎士団。
残った騎士団寮砦に第3騎士団と第5騎士団。
東の国境砦に王都警備の第4騎士団と第8騎士団。
遊軍に朝陽達グレイブ・アンヘル含む一部の傭兵団。

「残りの傭兵は?」

グレイブ・アンヘルの他に名前が上がったのはたったの6つ。個人の傭兵じゃなく、騎士団のように統率力のある傭兵団は20はいた筈だ。

「傭兵は金で動く。相手側の方が金払いが良かったんだろう」

「例え内心おかしいと思っててもそれだけで傭兵は動かないわ。主軸を金に置かないと、正義を掲げてたら精神が保たないのよ」

それだけ傭兵の仕事は汚れ仕事なのだと言われて、なら朝陽達はどうしてあんなに明るくいられるのかと思う。
出会ったら聞いてみないと。だから…だから死なないで。
無事を祈って、そこでハッとした。レイアゼシカも戦線真っ只中だ。

「…パーピュア」

顔色は悪いけど、それでもいつもの通り

「なんだ」

と不遜に言ってくるパーピュアの手は僅かに震えてる。
大丈夫、なんて無責任な励ましは出来ないからただその手を握った。無言で握り返してくるその手を強く握り締めて続きを聞く。

「北側の第6騎士団寮砦が突破されたが、そこならまだ直に王宮には辿り着けない」

第6騎士団寮砦の後ろには離宮がある。そこはティエ達のお父さんとローゼンのお父さんが親族一同と第6騎士団寮砦にいた騎士で守ってるらしい。
離宮にいたメイディの子供達は無事なんだろうか。

「まだ戦線は押されていないが、これ以上時間をかければこちらが不利だ。ナフィーリア軍は補給路も確保している。先に奴らの補給路を断つ」

隊分けを指示するディアの表情は厳しい。
ナフィーリアが何故国王の軍に手を貸しているのかもわからないし、何より神殿兵という事は裏にはやっぱりあいつがいるんだろう。

「…スナオ。気を付けろ」

俺が思ったのと同時、パーピュアも同じことを考えたらしい。

「裏で糸を引いてるのは間違いなくパワハルだ」

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