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第二章 浄化の旅
トゥンクしていなくなった
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アンリエッタさんの無情な風魔法にザックザック切られて消えていく猥褻物はその後も何度か仲間を引き連れてやってきたけど、さらにその後現れた尻型モンスターにトゥンク…ってなってみんなそっちに着いていった。一体あれは何だったんだ。何の目的で俺達の前に現れたんだ。そしてあの尻型モンスターも何だったんだ。
とりあえず…俺はドッ、と疲れてしまった。
そして今は何故だかラスカーテトさんに絡まれております。
「おいチビ。お前小せぇからこれも食え!」
「えー、もうこんなに食べれないって…」
あとまだ服乾いてなくて体に巻いた布の下は全裸なので寄らないで欲しい。というか傭兵のみんなも温泉入って、ついでに服も洗ったらしく全員ほぼほぼ全裸というこれは一体何の集まり?って状態だ。助けてくれ。猥褻物を追い払ったのに猥褻物に囲まれて、その状態で飯を食えと迫ってくる全裸の大男に困惑してしまう。
というか…こんなの騎士団の皆に見られたら…何かしらの誤解を招くのでは…。
みんな!違うからね!浮気じゃないしヌーディストキャンプなんて開催してないからねー!!
ラスカーテトさんが離れた隙にすすす、と朝陽の側に寄る。とりあえず朝陽も下は全裸でも布は巻いてるし、まだ安心だ。…まぁ、全裸でうろついてたらアンリエッタさんに布を巻けと拳骨されて渋々巻いてたんだけど。
「あの…傭兵っていつもこんな感じ…?」
確かに騎士団のみんなも水浴びとかしてたけど、こんなフルオープンじゃなかったし、水浴びの後はすぐ服着てたよ。
ちなみに俺やパーピュア、メイディに水浴びなんてさせられないと即席の風呂とテントまで持参してた時はびっくりしたけど。
「ん?おぉ!大体こんなんだな!騎士団はもっと品行方正なんだろ?」
「うん」
「俺はお堅いの嫌いだからこういう雑さが好きだけど、お前は苦手そうだなぁ」
ケラケラ笑われたけど、確かに俺はこのヌーディストキャンプ…目のやり場がわからなくて困惑しっぱなしだ。そもそも日本でだって屋外でこんな状態になった事はない。
ある意味新鮮な体験だけど、右も左も猥褻物だらけでもう俺は一体どうしたらいいんだー!!
「あいつらは野生動物だと思ってとりあえず飯食えよ」
「野生動物…」
いや無理だよ…!全裸で酒飲んで肩組んで歌い出す野生動物なんかいないよ…!!
だけどひとまず飯を食わねば!ここ最近、俺の魂が向こうに引っ張られる事はない。それはその…みんなとああいう事したお陰なんだと思う。けど、その効力っていつまで持つんだろう。魂が定着したかどうかって見てわかるもんなのかな。
ここに番のみんながいない以上食事で何とかしないとな!
そこで、ふ、と思った。朝陽はどうなんだろう?
「朝陽は…魂が向こうに引っ張られる事ってあるのか?」
「え?何だそれ?」
「俺…まだこっちに魂が定着してなくて、この世界の物を摂らないと魂引っ張られて死んじゃうんだって」
「何だそれ!怖!」
あれ?朝陽は違うのかな?もしかして俺と違ってちゃんとした神様的な人にちゃんと喚ばれて、最初から魂定着してるとか?
「なら飯食え飯!」
「いやいや!もう入らないから!」
「そんな少食で良いのか?」
「ご飯だけじゃ駄目だったけど、精液を…」
ハッ!食事時に何言ってるんだ俺は!!周りに猥褻物陳列されてたからつい口が開放的になってしまった!!
あと俺少食じゃないし!普通だし!
「精液?」
「…忘れてクダサイ」
「…あー…、なるほどな」
ポリ、と後ろ頭を掻いた朝陽はそれ以上何も言わなかったから、俺もこれ以上踏み込むなって事だと思って何も訊かない事にした。人間誰だって訊かれたくない事の一つや二つあるもんな。
元カノに「朴君は私に興味がないんでしょ!」って怒られた事もあるんだけど。
だって仲良しでもないのに人の事根掘り葉掘り訊いてくる人嫌じゃない?それくらいの線引きは出来るよ。
…まぁつまり俺は彼女の言うとおり、彼女と仲良しになったつもりもなければ興味もなかったんだな、って今更ながら思った。ごめんね。君の言い分が正しかったよ。
だって番のみんなの事は知りたいって思うもん。ただどこまで踏み込んでいいのかわからなくて、たまにポロっと教えてくれる昔の事とかが凄く嬉しいと思うくらい。
「…早く皆に会いたい」
ポツリ、と呟いたら物凄く皆に会いたくなった。と、同時に怒ってるかも…と思ったら会うのが怖くもある。
ど、どうしよう。お前みたいな迷惑な奴とはしばらく距離を置く、なんて言われたら。
想像しただけで
「う…っ」
ぽろ、と涙が出た。
「ぅえぇぇぇぇ!!?な、何だ!?どうした!!?」
そして過剰なまでにびびったのは隣で目をみはった朝陽ではなく、もはや俺の中でハスキー犬と認識されつつあるラスカーテトさんである。
その手にはまた山程の肉、肉、肉…俺に持ってきたのか?もう食えないからなー!!
「お、お頭が苛めたのか!?」
おろおろおろおろ右往左往するラスカーテトさんに違う、と言った声も涙で震えてしまう。
「うーん…ある意味ホームシック?」
こて、と首を傾げる朝陽に同じように首を傾げたラスカーテトさんが
「ほーむしっく?」
とたどたどしく繰り返すから…でっかい男の舌足らずな言い方がおかしくて…今度は吹き出してしまった。ケラケラと笑い出す俺にラスカーテトさんは困惑の表情。
うんうん。何かよくわかんないけどこの人強面なのに可愛いわ。やっぱハスキー犬だな。
なんて涙拭って、ほ、と一息ついた瞬間。
ハッと何かに気付いた朝陽が手元の剣を引き抜いて上を見上げ、何故か肉を放り投げたラスカーテトさんが俺を裸の胸に抱いてやっぱり全裸の腰にぶら下げてたサーベルを抜く。周りの傭兵達も同じように、さっきまで飲めや歌えの大騒ぎだったのが嘘のようにぴりっ、とした緊張感に包まれてる。
「な、何…!!?」
あと股間が当たるのめちゃくちゃ気まずいから離して欲しい!!
なんて思った瞬間。
ガキン!と激しい金属音が響いた。朝陽と誰かが斬り結んでる!
しかもあの赤毛は。
「ま、待って!!ティエ!!!」
とりあえず…俺はドッ、と疲れてしまった。
そして今は何故だかラスカーテトさんに絡まれております。
「おいチビ。お前小せぇからこれも食え!」
「えー、もうこんなに食べれないって…」
あとまだ服乾いてなくて体に巻いた布の下は全裸なので寄らないで欲しい。というか傭兵のみんなも温泉入って、ついでに服も洗ったらしく全員ほぼほぼ全裸というこれは一体何の集まり?って状態だ。助けてくれ。猥褻物を追い払ったのに猥褻物に囲まれて、その状態で飯を食えと迫ってくる全裸の大男に困惑してしまう。
というか…こんなの騎士団の皆に見られたら…何かしらの誤解を招くのでは…。
みんな!違うからね!浮気じゃないしヌーディストキャンプなんて開催してないからねー!!
ラスカーテトさんが離れた隙にすすす、と朝陽の側に寄る。とりあえず朝陽も下は全裸でも布は巻いてるし、まだ安心だ。…まぁ、全裸でうろついてたらアンリエッタさんに布を巻けと拳骨されて渋々巻いてたんだけど。
「あの…傭兵っていつもこんな感じ…?」
確かに騎士団のみんなも水浴びとかしてたけど、こんなフルオープンじゃなかったし、水浴びの後はすぐ服着てたよ。
ちなみに俺やパーピュア、メイディに水浴びなんてさせられないと即席の風呂とテントまで持参してた時はびっくりしたけど。
「ん?おぉ!大体こんなんだな!騎士団はもっと品行方正なんだろ?」
「うん」
「俺はお堅いの嫌いだからこういう雑さが好きだけど、お前は苦手そうだなぁ」
ケラケラ笑われたけど、確かに俺はこのヌーディストキャンプ…目のやり場がわからなくて困惑しっぱなしだ。そもそも日本でだって屋外でこんな状態になった事はない。
ある意味新鮮な体験だけど、右も左も猥褻物だらけでもう俺は一体どうしたらいいんだー!!
「あいつらは野生動物だと思ってとりあえず飯食えよ」
「野生動物…」
いや無理だよ…!全裸で酒飲んで肩組んで歌い出す野生動物なんかいないよ…!!
だけどひとまず飯を食わねば!ここ最近、俺の魂が向こうに引っ張られる事はない。それはその…みんなとああいう事したお陰なんだと思う。けど、その効力っていつまで持つんだろう。魂が定着したかどうかって見てわかるもんなのかな。
ここに番のみんながいない以上食事で何とかしないとな!
そこで、ふ、と思った。朝陽はどうなんだろう?
「朝陽は…魂が向こうに引っ張られる事ってあるのか?」
「え?何だそれ?」
「俺…まだこっちに魂が定着してなくて、この世界の物を摂らないと魂引っ張られて死んじゃうんだって」
「何だそれ!怖!」
あれ?朝陽は違うのかな?もしかして俺と違ってちゃんとした神様的な人にちゃんと喚ばれて、最初から魂定着してるとか?
「なら飯食え飯!」
「いやいや!もう入らないから!」
「そんな少食で良いのか?」
「ご飯だけじゃ駄目だったけど、精液を…」
ハッ!食事時に何言ってるんだ俺は!!周りに猥褻物陳列されてたからつい口が開放的になってしまった!!
あと俺少食じゃないし!普通だし!
「精液?」
「…忘れてクダサイ」
「…あー…、なるほどな」
ポリ、と後ろ頭を掻いた朝陽はそれ以上何も言わなかったから、俺もこれ以上踏み込むなって事だと思って何も訊かない事にした。人間誰だって訊かれたくない事の一つや二つあるもんな。
元カノに「朴君は私に興味がないんでしょ!」って怒られた事もあるんだけど。
だって仲良しでもないのに人の事根掘り葉掘り訊いてくる人嫌じゃない?それくらいの線引きは出来るよ。
…まぁつまり俺は彼女の言うとおり、彼女と仲良しになったつもりもなければ興味もなかったんだな、って今更ながら思った。ごめんね。君の言い分が正しかったよ。
だって番のみんなの事は知りたいって思うもん。ただどこまで踏み込んでいいのかわからなくて、たまにポロっと教えてくれる昔の事とかが凄く嬉しいと思うくらい。
「…早く皆に会いたい」
ポツリ、と呟いたら物凄く皆に会いたくなった。と、同時に怒ってるかも…と思ったら会うのが怖くもある。
ど、どうしよう。お前みたいな迷惑な奴とはしばらく距離を置く、なんて言われたら。
想像しただけで
「う…っ」
ぽろ、と涙が出た。
「ぅえぇぇぇぇ!!?な、何だ!?どうした!!?」
そして過剰なまでにびびったのは隣で目をみはった朝陽ではなく、もはや俺の中でハスキー犬と認識されつつあるラスカーテトさんである。
その手にはまた山程の肉、肉、肉…俺に持ってきたのか?もう食えないからなー!!
「お、お頭が苛めたのか!?」
おろおろおろおろ右往左往するラスカーテトさんに違う、と言った声も涙で震えてしまう。
「うーん…ある意味ホームシック?」
こて、と首を傾げる朝陽に同じように首を傾げたラスカーテトさんが
「ほーむしっく?」
とたどたどしく繰り返すから…でっかい男の舌足らずな言い方がおかしくて…今度は吹き出してしまった。ケラケラと笑い出す俺にラスカーテトさんは困惑の表情。
うんうん。何かよくわかんないけどこの人強面なのに可愛いわ。やっぱハスキー犬だな。
なんて涙拭って、ほ、と一息ついた瞬間。
ハッと何かに気付いた朝陽が手元の剣を引き抜いて上を見上げ、何故か肉を放り投げたラスカーテトさんが俺を裸の胸に抱いてやっぱり全裸の腰にぶら下げてたサーベルを抜く。周りの傭兵達も同じように、さっきまで飲めや歌えの大騒ぎだったのが嘘のようにぴりっ、とした緊張感に包まれてる。
「な、何…!!?」
あと股間が当たるのめちゃくちゃ気まずいから離して欲しい!!
なんて思った瞬間。
ガキン!と激しい金属音が響いた。朝陽と誰かが斬り結んでる!
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「ま、待って!!ティエ!!!」
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