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第一章 異世界に来ちゃった
side ディカイアス・マクシノルト
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ディカイアスはまだ微かに腕に残る温もりにそっ、と触れて僅かに表情を緩めた。
ディア、と拙く呼ぶあの甘い声。
初めて嗅ぐ、あのバニラのような甘い香り。
快感に染まりながらも不安そうに見上げる瞳。
健気に縋りつく滑らかな体。
噛まれた傷の疼きですらも全てが愛おしく、今すぐにでも引き返して共寝がしたい。
しかし騎士団長であるディカイアスにはやることが山程あるのだ。
すやすやと眠る朴をローゼンに預け、後ろ髪を引かれながら向かったのは王宮のレイアゼシカの元である。
「…ふぅん…?」
「何だ」
「んー?なーんか満足した顔しちゃってぇ。ムッツリはディアの方だったか」
「やかましい。自分がパーピュアに逃げ回られてるからと八つ当たりするな」
「顔真っ赤にして逃げ回って、かぁわいいよね!食べちゃいたい!」
パーピュアが聞いたら羞恥で…朴の言葉を借りれば「恥ずか死ぬ」のではないかという言葉を吐いてくすくす笑う。
そんな弟を第一王子テューイリングは呆れた瞳で見た。
「程々にしておかねば嫌われるぞ」
「わかってますよー。パーピュアが本気で嫌がる時はやめてます」
彼らは今、ただの昔馴染みとして集まっている。立場が変わっても彼らが兄弟のように過ごした日々は変わらず、こうして時折集まっては昔に戻ったかのように気兼ねなく談笑するのだ。しかし今日は…そう、見せかけているだけである。
「人払いは済んでいる。メイディに探らせたが間者は潜んでいない」
切り出したのはテューイリングであった。
途端に先ほどまで和やかだった空気はピリッと張りつめ、彼らは表情を引き締めた。
「テューイリング殿下。一体王宮で何が起こっているのです?」
ディカイアスが公務用の敬語に切り替えれる。
「わからん。ただ半年と数ヶ月前から謎の者が父上の私室を出入りしている、という情報もある」
「…父上がおかしくなり始めた頃ですね」
それまで賢王と讃えられていたナスダルは徐々におかしくなっていった。初めは公務の疲れからかと心配していた王子達も流石にそれがこうまで続き、より酷い有り様になっていくのはおかしい、と秘密裏に調べを始めている。
「最近の父上は神子にご執心のようだ。お前が王城を出た後も、神子を連れてこいと騒ぎ立て部屋に戻すのに苦労した」
「しかも警備の兵が父上の私室前を通り掛かると、部屋の前に男娼達の遺体が放り投げてあるそうです。もう何件も報告が上がってきています」
「何という惨いことを…」
一体この半年でナスダルに何があったと言うのか。
「その謎の人物が陛下の異変に関係がある、と?」
「タイミング的にはそうとしか思えん。それでお前に頼みがあるのだ」
「何でしょう、殿下」
改まった様子にディカイアスも居住いを正す。
「メイディを神子の旅に同行させてくれ」
「パーピュアは軍医として元から同行する事になってるけど、メイディは兄上の伴侶としての仕事もあるから同行しない事になってただろう?」
第一王子テューイリングは当然第一位王位継承候補。その伴侶であるメイディにも当然その補佐として外交関係の仕事がある。
しかしそれらを差し置いてでも旅に同行させてほしい、と言うテューイリングの金の瞳は必死な程だ。
「理由をお伺いしても?」
「……父上が、メイディにも興味を持ち始めている」
「パーピュアにも、ね。オレがパーピュアと婚姻をしないなら他に婚約者を作り、パーピュア自身は父上の側近に下賜する、って言い出してね。ーーー殺してやろうかと思った」
「不穏な発言は慎め、レイ。どこで誰に聞き止められるかわからん」
「わかってますよ、兄上」
しかしレイアゼシカの瞳には剣呑な光が瞬いており、テューイリングは肩を竦めた。レイアゼシカの気持ちは良くわかる。もし同じ事を言われたら、テューイリングとて怒りに震え殺意を持つに違いない。
「…まぁそんな有り様だ。ここに彼らを置いてはおけない。お前達と共にここを離れた方が安全だろう」
「わかりました。神子共々お二人も御守り致します。ーーーしかし、お子様方は?安全なのですか?」
テューイリングとメイディには3人の王子がいる。まだ皆幼く、一番上の子が5つになったばかり。末の子はまだ3つだった筈だ。
教育係の元で育てられる王家の子供達は両親と共にいられない事が多いが、テューイリングとメイディは共に3日に1度程度の頻度で子供達に会いに行っている。その子供達を盾にされては、メイディは身動きが取れないのではないか。ディカイアス達が朴を盾に取られたら動けなくなるように。
「それに関しては問題ない。離宮にはイリツォーネ公爵が剣技の講師として滞在してくださる。あちらもまだ鍛練が必要なご子息がおられるからな。共に指導してくださるそうだ」
「ルシアム伯爵も礼儀作法の講師として来るそうだよ」
「なるほど…。離宮にいた方が安全そうですね」
「そこにメイディがいれば何がなんでも乗り込んでくるだろうが…本人がいないのに剣聖のイリツォーネと鉄壁のルシアムから子供達を奪おうという気にはならんだろう」
パルティエータとパーピュアの養父ガルシア・イリツォーネの強さは鬼神の如く、と言われ恐れられている。
ローゼンの養父ヨークス・ルシアムの鉄壁、と言われる防衛も国内ならず国外にもその名が轟く程。
その二人が滞在すると言うことは、その家族が背後にいる、ということで、その戦闘力は一個師団に及ぶ。並大抵の兵士では赤子の手をひねるような物だ。
「マクシノルト家は我々と内部の探りを入れている。お前には無駄な仕事を増やすから伝えるなと言っていたが…神子が関わってきたのならば知った方が良いだろう」
「つまり貴族の中にも怪しい人物がいる、と言うことですね?ーー我々は一週間以内に発ちます。それまでメイディ妃殿下とパーピュア様には離宮に滞在してもらった方が良いでしょう。流石にその一週間で攻めてくる程敵も愚かではないはず」
「神子はどうする?」
「…スナオまで離宮に行けば、陛下が自棄を起こし内乱に発展する可能性があります。ーーースナオは必ず我々が守る。その為の番です」
ディア、と拙く呼ぶあの甘い声。
初めて嗅ぐ、あのバニラのような甘い香り。
快感に染まりながらも不安そうに見上げる瞳。
健気に縋りつく滑らかな体。
噛まれた傷の疼きですらも全てが愛おしく、今すぐにでも引き返して共寝がしたい。
しかし騎士団長であるディカイアスにはやることが山程あるのだ。
すやすやと眠る朴をローゼンに預け、後ろ髪を引かれながら向かったのは王宮のレイアゼシカの元である。
「…ふぅん…?」
「何だ」
「んー?なーんか満足した顔しちゃってぇ。ムッツリはディアの方だったか」
「やかましい。自分がパーピュアに逃げ回られてるからと八つ当たりするな」
「顔真っ赤にして逃げ回って、かぁわいいよね!食べちゃいたい!」
パーピュアが聞いたら羞恥で…朴の言葉を借りれば「恥ずか死ぬ」のではないかという言葉を吐いてくすくす笑う。
そんな弟を第一王子テューイリングは呆れた瞳で見た。
「程々にしておかねば嫌われるぞ」
「わかってますよー。パーピュアが本気で嫌がる時はやめてます」
彼らは今、ただの昔馴染みとして集まっている。立場が変わっても彼らが兄弟のように過ごした日々は変わらず、こうして時折集まっては昔に戻ったかのように気兼ねなく談笑するのだ。しかし今日は…そう、見せかけているだけである。
「人払いは済んでいる。メイディに探らせたが間者は潜んでいない」
切り出したのはテューイリングであった。
途端に先ほどまで和やかだった空気はピリッと張りつめ、彼らは表情を引き締めた。
「テューイリング殿下。一体王宮で何が起こっているのです?」
ディカイアスが公務用の敬語に切り替えれる。
「わからん。ただ半年と数ヶ月前から謎の者が父上の私室を出入りしている、という情報もある」
「…父上がおかしくなり始めた頃ですね」
それまで賢王と讃えられていたナスダルは徐々におかしくなっていった。初めは公務の疲れからかと心配していた王子達も流石にそれがこうまで続き、より酷い有り様になっていくのはおかしい、と秘密裏に調べを始めている。
「最近の父上は神子にご執心のようだ。お前が王城を出た後も、神子を連れてこいと騒ぎ立て部屋に戻すのに苦労した」
「しかも警備の兵が父上の私室前を通り掛かると、部屋の前に男娼達の遺体が放り投げてあるそうです。もう何件も報告が上がってきています」
「何という惨いことを…」
一体この半年でナスダルに何があったと言うのか。
「その謎の人物が陛下の異変に関係がある、と?」
「タイミング的にはそうとしか思えん。それでお前に頼みがあるのだ」
「何でしょう、殿下」
改まった様子にディカイアスも居住いを正す。
「メイディを神子の旅に同行させてくれ」
「パーピュアは軍医として元から同行する事になってるけど、メイディは兄上の伴侶としての仕事もあるから同行しない事になってただろう?」
第一王子テューイリングは当然第一位王位継承候補。その伴侶であるメイディにも当然その補佐として外交関係の仕事がある。
しかしそれらを差し置いてでも旅に同行させてほしい、と言うテューイリングの金の瞳は必死な程だ。
「理由をお伺いしても?」
「……父上が、メイディにも興味を持ち始めている」
「パーピュアにも、ね。オレがパーピュアと婚姻をしないなら他に婚約者を作り、パーピュア自身は父上の側近に下賜する、って言い出してね。ーーー殺してやろうかと思った」
「不穏な発言は慎め、レイ。どこで誰に聞き止められるかわからん」
「わかってますよ、兄上」
しかしレイアゼシカの瞳には剣呑な光が瞬いており、テューイリングは肩を竦めた。レイアゼシカの気持ちは良くわかる。もし同じ事を言われたら、テューイリングとて怒りに震え殺意を持つに違いない。
「…まぁそんな有り様だ。ここに彼らを置いてはおけない。お前達と共にここを離れた方が安全だろう」
「わかりました。神子共々お二人も御守り致します。ーーーしかし、お子様方は?安全なのですか?」
テューイリングとメイディには3人の王子がいる。まだ皆幼く、一番上の子が5つになったばかり。末の子はまだ3つだった筈だ。
教育係の元で育てられる王家の子供達は両親と共にいられない事が多いが、テューイリングとメイディは共に3日に1度程度の頻度で子供達に会いに行っている。その子供達を盾にされては、メイディは身動きが取れないのではないか。ディカイアス達が朴を盾に取られたら動けなくなるように。
「それに関しては問題ない。離宮にはイリツォーネ公爵が剣技の講師として滞在してくださる。あちらもまだ鍛練が必要なご子息がおられるからな。共に指導してくださるそうだ」
「ルシアム伯爵も礼儀作法の講師として来るそうだよ」
「なるほど…。離宮にいた方が安全そうですね」
「そこにメイディがいれば何がなんでも乗り込んでくるだろうが…本人がいないのに剣聖のイリツォーネと鉄壁のルシアムから子供達を奪おうという気にはならんだろう」
パルティエータとパーピュアの養父ガルシア・イリツォーネの強さは鬼神の如く、と言われ恐れられている。
ローゼンの養父ヨークス・ルシアムの鉄壁、と言われる防衛も国内ならず国外にもその名が轟く程。
その二人が滞在すると言うことは、その家族が背後にいる、ということで、その戦闘力は一個師団に及ぶ。並大抵の兵士では赤子の手をひねるような物だ。
「マクシノルト家は我々と内部の探りを入れている。お前には無駄な仕事を増やすから伝えるなと言っていたが…神子が関わってきたのならば知った方が良いだろう」
「つまり貴族の中にも怪しい人物がいる、と言うことですね?ーー我々は一週間以内に発ちます。それまでメイディ妃殿下とパーピュア様には離宮に滞在してもらった方が良いでしょう。流石にその一週間で攻めてくる程敵も愚かではないはず」
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